20240305 サンプルG-26④


「その紳士はこう言うんです。"ところで、すまないがね、キミ、私の頼みを聞いてもらえないだろうか"」

「もちろんその頼みとは一体何なのか聞き返しましたが、彼は聞こえていないかのようにそのまま続けます。」

「"私もそろそろ潮時かもしれない。こう見えて歳はキミたちと同じようにとるからね。ハッハッハッハ。いや何も病を患っているとかそういうことではないのだよ。あくまで潮時かもしれないということなんだ。そんな怪訝な顔をしないでくれよ。私だってやりたくてやっているわけではないんだ。これはずっと昔から延々と繰り返されてきた、そう、いわゆる儀式みたいなものなんだよ。私だって無理矢理継がされ…おっと、少し話を急ぎすぎたね。いや、実を言うとだね"」

「その紳士は一旦黙ると、急に声のトーンを落としてこう続けるんです。」

「"私の中にある力をどうかキミに受け継いでもらえないだろうか"と。」






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