異界巡礼走⑴ まえがき
まえがき
この話は全て実話である。
西国巡礼を通して、自分の身に起こったこと、感じたことを、ありのまま書いていきたいと思う。余計な脚色はせず、事実だけを淡々と書くことに専念するつもりだ。
だが、正直なところ、これを書いて本当にいいものなのか躊躇している。よくある旅行記などではなく、現実離れした突飛な内容であるため、あまりの荒唐無稽さに、一部の読者は腹を立ててしまうかもしれない。そして、筆者自身の人間性を疑われかねない内容であるというのもその理由だ。
また、修行僧や、極地へ赴く冒険家の話ならまだしも、ただの凡人が、何の変哲も無い日常的な場所を長い間走って体験しただけのことである。そんな話を長々と語られても、何の共感も得られないだろうし、そんなものは個人の妄想か、ただのオカルトだと一蹴されてしまうかもしれない。おそらく、それが良識ある読者の見解だと思う。
だから、読者に対して共感、ましてや理解をしてもらおうなどとは考えてもいない。奇想天外な読み物、あるいはただの娯楽として、気軽に読み流して頂けたら、これ以上の事はないと思っている。
最後に、その地域にあるはずの無いことを、幻覚症状等により、あたかもそうであるように書いてしまうことがあると思うが、実際にはそのような事実は一切ない。また、知らず知らずのうちに、私有地に侵入してしまっていることもある。意図したことではないにせよ、これは決して許されることではない。そして、西国三十三所の各札所で起きた出来事は、あくまで個人的な体験であり、各札所とは一切関係ない事を断っておく。
ぜひ一読して頂ければ幸いである。
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