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石垣島② 職人おじさんと出会った話

少し歩くと、こちらで取れる珊瑚や木を使った工芸品を展示、売っているお家があった。

気にいったものがあれば勝手にお金を置いて持って帰ってくれスタイルだった。

こっちでは当たり前に落ちている珊瑚の死骸や綺麗な貝殻。

お土産を渡すならそういったもので何か作りたいとずっと思っていた。

そのお手本がここにあった。

僕が気に入ったのは珊瑚の風鈴だ。めちゃくちゃいい音、、

珊瑚の個体差で音色が変わるのも面白い。

どうやって作られているのか目を凝らしてよく見てみる。

僕にも作れるかも。と思った。


家から家主が出てきた。

「こんにちは」と声をかけてみた。

「お茶でも飲んでくか?」と返してくれた。

庭にあるテーブルに座り、さんぴん茶を出してきてくれた。

家主はビールを持っている。


そこから随分長い間話を聞いていた。

たまに、引き寄せられてきた旅人を捕まえては話し相手になってもらうのが楽しみの一つらしい。


佐藤さんと言う方で、今は63歳?だったかな。。

20年前に東京からこちらに移り住み、今の家に嫁さんと暮らしている。

ずいぶん立派な家と庭なのだが、佐藤さんがいちから建てたらしい。

東京時代は大手ゼネコンで設計士として勤めていたらしいので、そんなこともできちゃうらしい。

「おーい、なんかラーメンかなんか作ってやってくれぇい!」と佐藤さん。

途中、奥さんがご飯を作ってくれました。

美味かった。もずく酢が美味かった。

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釣りをするにはどこがいいとか、ダイビングをするにはどこが良いとか、聞きたかった情報も聞けたのでちょうど良かった。

今鳴いた鳥の鳴き声は何だとか、あの木はなんて言う木だとか、そんな質問にも丁寧に確実に答えてくれる。僕は佐藤さんが気に入った。

土産もここで作って行くことにした。

いつでも誰でも作って行けるように、全ての準備がなされている。

庭の倉庫から珊瑚がいっぱい入った引き出しを出してくれる。

「この中から、8本選びなさい。あまり音が鳴らない硬いのを2本入れると、いいぞ。」と教えてくれた。

僕は数ある珊瑚を一本一本地面に落とし、音を確かめる。

どれも綺麗な音だ。より鳴る珊瑚を選ぶ。作ろうと思えば楽器も作れるんだろう。


珊瑚を選び終わると風鈴作りの作業が始まった。

釣り糸を使って、珊瑚や貝殻をつなげあわせていった。

およそ1時間ほどで完成した。

作った方をお土産用に、売っているやつを自分用に購入した。

作る方も、売ってる方もどちらも1000円。

「作るのを教えるのが面倒クセェから本当は買って欲しいんだよな。」

と佐藤さんは笑いながらボソッと言った。

ありがとうございました。。


佐藤さんに礼を言い、僕はまた歩き始めた。


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