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”大吉”って嬉しい

”大吉”って嬉しい

「そんなの当たり前じゃん。」
「何を今更。」
って、言われちゃうかもしれないけど。

改めて、歳をいくら重ねたとしても
純粋に喜ばしいことを嬉しいと思えることってすごく大切だ。
と思わされた出来事があった。

一瞬の照れ笑い

アルバイトしているカフェ。
平日ということもあり、閑散としていてお客さんもまばら。

食事が終わった後のテーブルを片付けていると、
耳馴染みのベルの音。

軽い登山くらいは出来そうなカジュアルな装いのご夫婦がご来店。
歳は40代半ばから後半くらいだと予想。

「いらっしゃいませ。」
と声をかけて、海がよく見える窓際のカウンター席を促す。
いつも通りメニューやカトラリーをセットし、注文を取り、商品を提供する。
2人は淡々と私を受け流し、食事と会話を続けた。

一通りの食事が終わり、ご婦人が化粧室へ。
そろそろお帰りかな。と思いながらいると、

席に残った男性が、縦長で均等に折り目の入った紙を眺めている。
お店が暇だったことも相まって、お冷やを注ぎ足すことを口実にテーブルへ。

男性が見ていたのは、一枚の"おみくじ"
「おみくじ引いてきたんですか?」
「近くの神社に行ってきたんです。」
結果を聞くのも野暮かもしれないと判断し、
それとなく会話を締めてそこを後にしよう、と思った時。

「大吉、だったんです。」
と、これまであまり表情を変えなかった男性が言葉と共にふふっと照れ笑いした。

「あめでとうございます!きっとこれからいいことありますね。」
何気なく言葉を返して、私はその場を後にした。


気づかされた大切なこと

営業しているうちに減ってしまったストローを補充したり、
ポットの中のお湯の残量を確認すべく、立ち上る湯気と格闘したりしていると、

先ほどの男性の照れ笑いする横顔が浮かんだ。

なんだか、心が少しづつ温かくなってくる。

私はどこか冷めていて、良く言えば冷静で客観的。
裏を返せば感情の起伏が少なく、一歩引いているような性格だ。

だからなのか、
「大吉、だったんです。」
照れ笑いを含んだセリフに私は強く心を動かされていた。
ただ微笑ましかったのか、羨ましかったのか、わからないけれど。

喜ばしいと感じたことを、純粋に嬉しいと思えること。
そしてそれを誰かに話すこと。

ただやり過ごしてしまえばなんでもないことだけど、ふと立ち止まってみると、
すごく大切なことだと気づかされた。

なんでもいい、毎日起こるちょっとしたポジティブな出来事。
それをなんとなく通り過ぎるのか、少し立ち止まって自分の感情で思いのままに色をつけてみるのか。

一瞬の引っ掛かりが、その後の一時間を、1日を、毎日を、より色鮮やかにするのかもしれない。
そして、時に自分以外の誰かの気持ちを意図せず温めるのかもしれない。

明日はどんな出来事が起きて、私はどんな気持ちになるんだろう。

自分の中の感情の器がいっぱいになったら、誰かに話してみよう。

こんな風に記事にしてもいいな。

ではまた。

P.S.:Siriに「おみくじ」と言うと、占ってくれました。


末吉でした。

やっぱり大吉が出るってすごいこと。
出たら嬉しいもんな。

みれえ

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