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白井俊氏による講演ー2021年度第1回広島SDGsコンソーシアム研修会ー

2021年度第1回広島SDGsコンソーシアム研修会まで3週間を切りました。現在、日本全国から200名以上の方よりご応募いただいています。


今回は、オンラインによる開催ということで、みなさまに多くの学びをお届けできるよう、こつこつと広報を行っています。公式ホームページがもうすぐできますので、より多くのみなさまに知っていただけることがとても楽しみです。

さて、本日は、当日ご講演くださる
白井俊氏 のご紹介をします。

白井俊
1976年生まれ。東京大学法学部卒業。コロンビア大学法科大学院修士課程修了。2000年、文部省(当時)に入省。2009年、徳島県教育委員会に出向。同教育委員会学校政策課長、教職員課長、教育総務課長を経て、2012年より文部科学省高等教育局大学振興課課長補佐。2015年、OECD(経済協力開発機構)教育スキル局アナリスト。2017年、文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長。2019年より独立行政法人大学入試センターに出向し、現在、試験・研究統括補佐官(兼)試験企画部長。国立教育政策研究所フェロー、関西国際大学客員教授も務める。    (著書より)

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OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来
エージェンシー、資質・能力とカリキュラム


OECDのEducation2030プロジェクトは、「AIの発達やグローバル化や多様性の増進、環境変化、情報化など、複雑で曖昧な世界を生き抜くための資質・能力や、それを育むためのカリキュラムの方向性を示すもの」です。

ところで、OECD(経済協力開発機構)というと、経済協力を、世界的に円滑に進めるための機関のはずなのに、どうして教育を扱っているのか?と思われた方もいるかと思います。ブログの筆者も、そう思いながら本を開きました。

その答えは、読み進めると少しずつわかってきたような気がしています。

Education2030プロジェクトにおいて、「ラーニング・コンパス(直訳:学びの羅針盤)」という、学習枠組みが策定されています。これは、学校の中だけでなく、一人ひとりの生涯において、家庭や地域コミュニティを含めたさまざまな学習の場面全体を通して育成されるものです。

生徒が直面するコンテクストを大きく分けると、“Time“(時間的コンテクスト;過去・現在・未来)と“Space”(空間的コンテクスト;家族、コミュニティ、地域、国家、デジタル空間などの社会的空間)があり、人生の様々な場面で積極的に行動していくためには、こうしたコンテクストを縦横無尽に動いていかなければならない(OECD,2018b) 。そのために必要なのが、自分のアイデンティティをしっかりもちながら、自分がしたいこと、すべきと考えることを、行動に移すことである。大切なのは、「誰かの行動の結果を受け止めることよりも、自分で行動することである。誰かが決めたり選んだことを受け入れることよりも、自分で決定したり、選択すること」(OECD,2019)である。(P.75より)

一人ひとりがwell-beingの実現に向けて、自身をナビゲートしていくための学びとはどのようなもので、どうデザインしていくべきなのでしょうか。

さらに、ラーニング・コンパスの中核的な概念として、「エージェンシー」が位置付けられています。

エージェンシーとは、他人に自分のことを決めさせるのではなく自身で決断することであり、他人に行動されるのではなく自分で行動することである。すなわち、自分の未来を自分で形作ることである。(P.76 OECD作成資料より)
エージェンシーは、主体的に社会の形成に参画していくことを意味するが、それは単に自分が希望するからということでなく、それぞれが属する社会における自らの役割や責任を認識したうえで、一人一人が主体的に行動していくことが含意されている。(P.85 Column4 日本の学校教育におけるエージェンシーより)

上記のようなエージェンシーを踏まえた上で、2030年に求められるコンピテンシー(資質・能力)の要素について、本書では項目ごとに詳しく述べられています。

また、教育におけるカリキュラム・オーバーロードについても言及されています。

一般に、カリキュラム・オーバーロードは、カリキュラムにおいて、学校や教師、生徒に過大な負荷がかかっている状態として理解されている。(P.203より)
オーバーロードの原因としては、主として、①新たなコンピテンシーやコンテンツに対するニーズの発生、②教師や生徒・保護者の反応、といった点が挙げられている(OECD,2019a)。(P.206より)

日々の生活の中でやらなければならないことがたくさんあるので、新しいことを取り入れるには余裕がなかったり、そのための知識がなかったりして、なかなか受け入れる準備が整わないこともしばしばあります。本書では、他国の事例も挙げつつ、そういった現状に対する提案がされています。

⭐︎こんな人におすすめ⭐︎
・未来の教育に関心がある人
・なぜOECDが教育に関する事業を行っているのか知りたい人
・教育の最先端について知りたい人

少し難しい内容ではありますが、日ごろ教育に携わることのあまりない人にもおすすめです。

ぜひ、講演の予習として手に取ってみられてくださいね。



お申し込みは下記のフォームにて、お待ちしています!


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