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人材育成あるある 目標管理とモンテッソーリ教育

Hundreds Colorsです。
今回の「学び直し」は幼児教育の側面から考えることにします。

人材育成や組織開発の研修を開催していると、次のような出来事にしょっちゅう出会う。
決まって、私の答えは
「それは、わかるんですけどね、仕事の内容に問わずもっと楽に楽しく時間を過ごせるようにするためには、どうしたらできるか?を考えませんか?」である。

この記事の写真のように、ビルの合間から相手が本当は目指したい山に立ち返ることができますようにと祈りながら。

 目標管理研修での出来事

2000年くらいからかな?
日本に「目標管理」や「成果主義」がスルスルーと導入されて、評価、考課とか成果が話題になっている。

一般論として、目標を組み立てる場面で「私の目標はこれでいいですか?何が正しいのかわからなくなって」ということがよく聞こえてくる。
そして、「あとはPDCAを回して・・・やってみます!」とは言いつつ、
本人の顔はワクワクしていない。

人材育成の潮流の1つとして、1950年くらいに世界が「仕事の型」として工場労働を前提にしていた「働き方」から、最近は変化してきている。
OKRとかOODA、No Ratingとか形を変えて議論されることがある。
それぞれの概念はもちろん理解している。
要は、何かのゴールに向かって結果としてどのようなプロセスを経ていくのかということではないだろうか?

ここで1つ思い出すことがある。
「目標管理」はManagement by Objectivesの頭文字をとってMBOと略される。これは、どうも、結果として日本のビジネスパーソンに誤訳に近い印象を与えている気がしている。

(理由1)
Managementという英語は、日本語では「管理」ということなっている。
しかし、実務で何かに到達しようと仕事をするとき、管理しきれるほど予定通りのことが起こるわけではない。現実は、ゴール地点は見えるけど、目の前でいろいろな出来事が起こるために、そのゴールが霞んで見えたり、視界から消えたりする感覚になることがある。
だから、私は日本語でいう「調整する、どうにか〜する」という意味の方が実態とあっていると思う。

(理由2)
Management by Objectivesという表現を使い始めた人を挙げるとすると、ドラッカーという有名な人がいる。実は、MBOの後には、続きがあるのだ。
Management by Objectives and self-control”なのである。
鋭い人はここで「おーーー!」となると思う。
目標に到達するまでの出来事を調整したり管理したりするのは、「会社」ではなく結局は「自分自身」なのである。
Self-controlが欠落した状態で、目標とその過程を組み立てることを想像すると、ワクワクするはずがない。なぜならば、その状態ではどこまでいっても他人事の目標だからである。

私がよく伝えるのは「セリフ目標管理」。
「どんな人に、どんな場面で、何て言ってもらいたい?」である。
すると、「え!そんなこと考えていいんですか?」となる。
私は良いと思う。

なぜなら、楽に楽しく仕事をする人と一緒にいた方が、もっと楽しいからである。

モンテッソーリ教育の日常

企業での目標管理を考えるとき、いつも思い出す人がいる。
マリア・モンテッソーリである。
たまたま私が学生時代にモンテッソーリ教育について学ぶ機会があったこととや、自分の子どもの教育を考えた時、相良敦子先生の書籍を全て読んで学び直したこともある。
最近、勘違いされていることを見かけるが、モンテッソーリ教育は天才児を生むための英才教育ではない。

私がモンテッソーリを思う時、次の3つが大好きであり、深い要点であると思っている。

1. 自分で目標を決める
2. 自分で失敗を繰り返しながら実行する
3. 弱さを見せる勇気を持つ

モンテッソーリとはイタリアの女医である。
もともとは医師として障害児の感覚器の治療に何が良いのかを研究したところが原点である。
この教育では、毎日子どもは自分でやるべきことを決め、
全ての活動を「お仕事」と呼ぶ。

子どもは何かに向かって活動する。
大きさの違うピンク色のタワーを何かの順に並べたり、色のついた2色の水を混ぜ合わせたり、木に登ったり、線上歩行といって床に貼ってあるテープの上をゆっくり歩いたり、洗濯板で洗濯してみたり。。。

子どもたちは決して遊んでいるのではない。
「敏感期」と言って、その時に自分が一歩チャレンジしてみたいことについて、できるまで取り組むのである。気が済むまで、スッキリするまで取り組むのである。
その子どもが興味を持つものは年齢順に決まっているものではない。だから、画一的な評価基準というかルーブリックのようなものは機能しない

そして、子どもたちは年齢別に区切られた集団ではなく、色々な年齢の子供たちがが混ざって「お仕事」をする。
助けてあげることだけでなく、助けてもらうことの両方が大切にされる。弱さを見せて、つながる力の社会訓練である。

幼児と一緒に時間を過ごすとよくわかるが、大人よりも子どもの方が物事をシンプルに考え、自分が大切にしたい価値観や美意識に沿って「お仕事」をするように感じられる。
そして、子どもの話を聞いてみると、理路整然とよく考えられたものなのである。

ここで問いが1つ。
モンテッソーリ教育とビジネスはどこか似たようなことがあるのではないだろうか?
どこか、現実のビジネス活動にそっくりなのではないだろうか?
大人に近づくにつれて、内なる声を忘れていく時がある。

だから、「目標管理」をするときくらい、立ち止まってじっと考える時間が必要なのだと思う。

【考えたこと】自分の北極星を言葉にしておくこと

Management by Objectives and self-controlとモンテッソーリ教育から、私がみる共通点は「自分の北極星を言葉にする」ことのパワーである。

要は、自分ごとになるためには少し時間をとって自分がやりたいことを紙に落書きしてみるとワクワクするものが見つかるのではないだろうか?

組織開発や人材育成の仕事をする中で、私が常に繰り返す質問はシンプルになってきた。
 「それで、どうしますか?」
 「もし、私が代わりに目標を立てたら、●●さんは実行したくないですよね?」
 「その目的を口に出した時、ワクワクしますか?」
 「っで、本当にやってみたいですか?」
 「本当は、誰をハッピーにしようとしていますか?」

最近は、「私の目標はこれでいいですか?」という質問に出会うことはめっきり少なくなった。
大人がもともと持っている原点のような、自分事のような場所に還って行ったように見えて、研修帰りの参加者の背中をみると嬉しくなる。

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