ふんと/Six fleuves

駒場の院生になってしまった!!!専攻は合意論、社会学、社会思想史。 せっかく書いたもの…

ふんと/Six fleuves

駒場の院生になってしまった!!!専攻は合意論、社会学、社会思想史。 せっかく書いたものがパソコンのCドライブに眠ったままなのは寂しいので、未熟な自分の足跡をここに残します。 成長した自分が振り返る目的と、ネットの海に放り投げる目的に資す。

最近の記事

〈総長対話〉に向けて「私たち」が本当にできること──東大授業料引き上げ問題に寄せて

 今回の〈総長対話〉について、藤井総長はその目的を「できるだけ多くの学生と、対話を通じて多様な意見を理解し合うこと」(回答2)と説明しながら、「理解を得られるまで複数回行うことは考えていません」(回答4)と回答している。理解し合うことを目的としながら、理解を目指していないという一見矛盾している回答に、私は当惑した。学生の様々な意見のなかには、ある理想的な対話の理念を掲げて、今回の〈総長対話〉の不誠実さを糾弾するものもあるだろう。しかし、あえて藤井総長を信頼して、彼の掲げる〈対

    • 学振デザインガチ勢を目指す:UDフォント編

      つい先ほどDC1を書き終えました。 申請者は、日本学術振興会特別研究員(DC)の申請書のデザインを強化する能力に優れています。 申請書のデザインは、読み手となる審査員の可読性を向上させるほか、心証を良くする効果を有しています。 特に、内容面での負荷が高まりやすい学説・理論研究において、デザイン面での工夫は不可欠です。 ゆえに、本ノートは、申請者が用いたデザイン面での工夫を、備忘録的にまとめます。 ここでの工夫が審査に与える影響は、天命の知るところです。 1. 最高のフォン

      • 2023年に聴いた音楽とゆるやかなコメント:シムシティからレディオヘッド、そしてライヒまで

        今年も沢山の音楽を聴いた。普段触れない音楽を誰かに聴かせてもらったり、まだ見つけられていない音楽を誰かが教えてくれたりと、出会いに恵まれた一年であったのは幸いであった。音楽の趣味が保守化しているきらいがあるのではと心配しており、それは全くの杞憂とは言えないものの、まだまだ開かれる可能性がある、むしろ地が固まってきた感すら覚えるのは自惚れだろうか。 ともあれ数年ぶりに、今の自分がちゃんと満足のいくプレイリストを作れたような気がします。一年を振り返りながら、各曲にコメントを。

        • 「3.11音楽」というジャンルがある:RADWIMPSから佐藤那美まで

          世の中に、愛を歌った曲は数えきれない。愛は多くの人にとって共通の経験であるが、それはそれぞれ異なっている。だからこそ、人はその愛を、歌詞にのせて、音楽として、表現したがるものなのだ。 3.11もまた、その時代に生きた者たちが共通に経験した、しかしそれはそれぞれ異なっていた出来事であった。家族を失った者も、故郷に帰れなくなった者も、歩いて家に帰った者も。テレビを通じて、津波の映像が、放射能の情報が、そして被害の甚大さが、世界中に伝わった。あの一瞬の出来事は何だったのか、死者を

        〈総長対話〉に向けて「私たち」が本当にできること──東大授業料引き上げ問題に寄せて

          同意と合意:多様性のなかの社会統合

          note投稿に寄せて  このnoteは、私が様々な機会に作った習作をネットの海に放り投げることで、自己満足することを目的に作られています。  あくまで「習作」として、自分なりにそれなりに満足する出来のものを放り投げられるようには心掛けているので、何らかのリアクションをくれるととても喜ぶかもしれません。 __________  同意を契約論的概念として、合意とカントの美学的概念として区別を与えてみると、コンセンサス理論を深めることができるのではないか、という実験的なレポー

          同意と合意:多様性のなかの社会統合

          東方原曲というメルクマール

          えーい御託はなしだ!東方原曲を語るぞ~~~ 1. スプートニク幻夜(The Grimoire of Marisa)ピアノがえっちすぎる。ギターもえっち。ドラムもえっち。実はペットが一番えっち。スタンディングオベーション。 2:20からの畳みかけるようなフレーズは空っぽの心に注がれる升いっぱいの日本酒のごとし。東方の感性がどちゃどちゃに詰まった良い曲。ちゃんと書籍の「The Grimoire of Marisa」を買ってくれ! と言いたいところなんですが、どうも絶版らしく

          東方原曲というメルクマール

          2021年、今年の10曲

          早いもので、今年も今年を振り返る時期がやってきました。 この記事は、10の音楽について語るものです。 開扉 Apple Musicに加入してから二年半が経ち、聴く音楽の幅が広がったかと思いきや、実は限られたところをぐるぐる巡っている。そんな気がしてきた今日この頃です。 年末にその年に聴いていた音楽を10曲選びだして一つのプレイリストを作る、という遊びを一昨年からやっています。2021年も一年を思い出しながら自己満足に浸ろう、人に音楽の好みを押し付けようというのが本記事の

          2021年、今年の10曲

          新しい眼鏡と私

          長いもので、眼鏡との付き合いも今年で17年目になりました。 お世話になっている下北沢の眼科には、私の17年分のカルテが保管されていることになります。 これだけ小さいときから眼鏡を掛けていると、眼鏡にちなんだあだ名は一つや二つは持っているもので、メガネザルとか赤メガネとかトンボとか。ほとんど蔑称ですね、森大〇朗許さねえ。 ともあれ、眼鏡というものは、私のアイデンティティーの一部、大部分とは言わずとも少なからざる領域を占めるものとして、私のなかにあり続けてきたわけです。

          新しい眼鏡と私

          〈相関社会科学〉という呪縛・考

          〈相関社会科学〉とは何か、進学選択でこのコースを選んで以来、幾度となく考えさせられている。「社会科学」とはいかなる方法なのか、「相関」とは何を意味するのか。 先生方も口を揃えて言う。〈相関社会科学〉とは何か。院生の方々と話していても、同期と話していても、ついこの話になってしまう。同じ分科の国際関係論は明快で、(色々と怒られそうな話だが)「国際」の二文字が付けばこのコースで扱う対象となる。であれば、我々の所属するこのコースは何なのか、本郷の諸学との違いは、この学で何ができるの

          〈相関社会科学〉という呪縛・考

          Pocock, J. G. A., "The Ancient Constitution and the Feudal Law" Chapter I - I 和訳

          Pocock, J. G. A., 1957→1987, "The Ancient Constitution and the Feudal Law", Cambridge University Press: Cambridge. ・Chapter I の冒頭部数ページのみの和訳(私訳)です ・パラグラフごとに区切っています ・ページ数は原著におけるパラグラフの開始位置を示しています ・パラグラフごとの小見出しは原著にはなく、訳者が加えたものなのでズレている場合がありま

          Pocock, J. G. A., "The Ancient Constitution and the Feudal Law" Chapter I - I 和訳

          東方「原曲」雑記—時間をテーマに

          時間:東方「原曲」と、時間一年前、「東方『原曲』を語る」と題した文章で、「原曲」を語ることに挑戦した。 本記事は、また東方「原曲」について語ってみる。今年の様々な体験をもとに、「原曲」を語ることに再挑戦したい。ただし、テーマを一つ設定してみよう。テーマは、時間—— 「原曲」とは、ここでは、同人サークル「上海アリス幻樂団」を主宰するZUNが作曲した音楽のことを指す。東方Projectと総称される作品に収録されている音楽がその大部分を占めている。 「原曲」を語ろうとすると、

          東方「原曲」雑記—時間をテーマに

          それでも貴方はTwitterを続けますか?―〈コミュニケーション〉について

          〈追記〉PDF版をつくりました 少し長くなってしまってnoteだと読みづらいので、PDF版を用意しました。noteに書いた文章を底にしており、強調の太線などは基本的に反映していません。あくまで、noteの文章がメインであり、今後も加筆修正するときは、最新版ではないかもしれませんので悪しからず。 はしがき:新しい生活様式のなかで本論には何も関わらないので、第2章まで飛ばしてもらっても構わない。  投稿日から一年と13日前、中国湖北省武漢市の保健機関が、原因不明の肺炎患者を初

          それでも貴方はTwitterを続けますか?―〈コミュニケーション〉について

          オンライン授業攻略グッズ5選

          朝夕の鉄道、今日も日本の中高生やサラリーマンはマスクを免罪符の様に振りかざし、新型コロナウイルスをあざ笑うかのように、通学通勤という無意味な苦行を修めている。 そんな彼らを家で嘲笑っていられる大学生は幸せである。 現代のマスコミの発達によって常に第三者の目に晒され、社会的規範の内面化に最も成功している大学当局は、早々にオンライン授業の仕組みを整え、学生が家から一歩も出ずとも春学期を修了できる環境の構築を成し遂げた。 当初のオンライン授業は、あくまで対面授業の「代替」とし

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          #BlackLivesMatter の暴力を社会学はどう語れるか

          note投稿によせて このnoteは、私が様々な機会に作った習作をネットの海に放り投げることで、自己満足することを目的に作られています。  一方で、あくまで「習作」として、自分なりにそれなりに満足する出来のものを放り投げられるようには心掛けているので、何らかのリアクションをくれるととても喜ぶかもしれません。 __________  今回の記事は、私が2年生の春学期に大学で受けていた教養課程の社会学の授業、「社会Ⅰ」(小山先生)の中間レポートに一部改変を加えたものです。

          #BlackLivesMatter の暴力を社会学はどう語れるか

          東方「原曲」を語る

          12月14日です。クリスマスまであと11日! おことわり この記事は、東方Projectの「原曲」を少し知る人から愛好家までを対象に書きました。 これまでレポート公開の様なことを何本かしてきましたが、これはただの私的な音楽趣味の話です。しかもちょっとかなりオタク的な。 まあ、コンセプト的には書いたものを保存し、ネットに放流するものなので、一貫性は保たれているということで。そもそも、そろそろ学期末なので本物のレポートを書かなきゃいけない時期…。どう見てもこれは現実逃

          東方「原曲」を語る

          科学と技術の関係から考える科研費問題

          0.おことわり このnoteは、私が様々な機会に作った習作をネットの海に放り投げることで,自己満足することを目的に作られています。  一方で、あくまで「習作」として、自分なりにそれなりに満足する出来のものを放り投げられるようには心掛けているので、何らかのリアクションをくれるととても喜ぶかもしれません。 ___________  今回の記事は、私が春学期に大学で受けていた授業である「科学技術基礎論Ⅱ」(佐野先生)の学期末レポートに一部改変を加えたものです。  「科学」と「

          科学と技術の関係から考える科研費問題