東方原曲というメルクマール
えーい御託はなしだ!東方原曲を語るぞ~~~
1. スプートニク幻夜(The Grimoire of Marisa)
ピアノがえっちすぎる。ギターもえっち。ドラムもえっち。実はペットが一番えっち。スタンディングオベーション。
2:20からの畳みかけるようなフレーズは空っぽの心に注がれる升いっぱいの日本酒のごとし。東方の感性がどちゃどちゃに詰まった良い曲。ちゃんと書籍の「The Grimoire of Marisa」を買ってくれ!
と言いたいところなんですが、どうも絶版らしく定価(1500円+税)で購入することが困難らしい。惜しい。
2. 可愛い大戦争のリフレーン(妖精大戦争)
なんですかこの可愛い曲は!!カワイイ!!!
一ループ目冒頭はピアノが無いんですが、0:40からピアノの音が入ってきて0:53あたりから盛り上がりを見せてゆき、1:46あたりで0:15に戻って二ループ目に入っていく。一ループ目と二ループ目で大きく印象が変わってくる。ゲーム音楽のループ性を利用したイリュージョンな曲です。カワイイ!!
3. 旧世界の冒険酒場(旧約酒場)
お酒飲んだ帰り道に聴きたくなっちゃうんだよね~~。旧約酒場の良さがわかる成人になってしまった。
終止落ち着かない旧約酒場は、逆説的にそこに落ち着きを求める聴き方が適している。耳を傾けていくと、音を捕まえていくと、思わずにやけちゃうよね~~~~~。マスクをしているから電車の中でニヤニヤしても気付かれにくい。ひっひっひ。
4. ビーストメトロポリス(鬼形獣)
今年のナンバーワン!!!チェイサーの様に聴いていた。
このすべるようなピアノのライン。東方だ。落ち着く。ただひたすらに、頭のなかをぐるぐると。0:33からはじまる念押しのようなパートと、0:55から入ってくるハープシコードのような高い金属音が好きです。いや、そんな言葉では表せないくらいに好きです。好き。
5. 今昔幻想郷 ~ Flower Land(花映塚)
これに帰ってきちゃった。風見幽香のテーマ。
花映塚といったらやはりこれですよ。あんまりごちゃごちゃしすぎるのも好きではないので、実はここらへんのが好きだったりする。東方の原曲、実際にステージ上で演奏している楽団(プリズムリバーあたりが楽しい)がいると思いながら聴く遊びを提唱したいんですが、今昔幻想郷はまさにそんな感じで、ソロパートの終わったところで拍手をしたくなっちゃう。楽しいねえ。
6. 旧地獄街道を行く(地霊殿)
旧地獄街道を行きたいよお!つい歩きながら口遊みたくなる。
わくわくしちゃうよね。そんでもってこの曲は優しい。イントロが終わりパッと目の前が明けてから、メインのフレーズの後ろで奏でられるフルートの音が感情を解放してくれる。1:02~はその追い打ちなのでもう満々足。
7. 業火マントル(地霊殿)
6面道中すばらしいね!!めちゃくちゃアツい曲だった。
「霊知の太陽信仰 ~ Nuclear Fusion」の前座かと思っていたらとんでもない。0:57~とか実質二週目じゃん?とか思っていたらとんでもないポテンシャルを秘めていた。1:20あたりからバックに登場するピアノがですね、6面ボスを迎え入れるための演出装置としてですね、爆発的な効果を持っていたということに恥ずかしながらまっっったく気付いておりませんでした。地霊殿は落ち着いた曲多いですからね、この曲が地霊殿を支えておりました。
8. 輝く針の小人族 ~ Little Princess(輝針城)
結局さ、シンプルなのがいいのよ。
「みんなで決めるゲーム音楽」のような偏屈なオタクの集まりでも高評価を保ち続けている、つまりはわかりやすく好まれている曲であり、M-1で優勝しそうな曲。急がずゆっくりとボルテージを高めていき、最高潮に達したところで好きなだけ浸らせてくれる。クラシックのような技巧的な構成は用いない。EDMのような押し付けがましいハイテンションはない。ゲーム音楽として、シンプルイズベストでありましょう。
9. 幻想機械 ~ Phantom Factory(夢違科学世紀)
救いと創造性の音楽。
「夢と現の境界」でゆったりとゆらぎと爆発、そしてゆらぎへの回帰を迎えたあとに、ひっそりと遠くから聞こえてくるのが幻想機械。良い……。
10. 永遠の巫女(蓬莱人形)
原点を語らずして、何が言えようか。
原曲の聴き方として、自分が楽団の指揮の位置に立つというものがあります。この曲、大きく4拍子と3拍子のパートに分かれていて、~0:19と0:43~2:53が前者にあたります。冒頭の3拍子→4拍子で予告された展開が2:53で再演される。中盤の4拍子のパートのところで一旦の爆発、ゆるやかな爆発をみせて2:22以降はさながら映画のエンドロールのような気分に浸らせてくれるわけですが、2:53で新章の幕開けが轟きを伴ってループのなかに提示される。それはループではない。最後の最後まで走り抜けていき、もう一つの答えが提示され、人々は安心する。「原曲」の様式であり、単なるゲーム音楽に留まらない、音楽鑑賞の可能性を見せてくれている。それを語ってみることが必要なのだ。
謝辞
本記事は、GUTアドベントカレンダー2021の12月19日の記事として書かれました。は?12月31日だが????
クリスマスすぎてますね。本当にすみません。年内に思いつきで書いたような記事になってしまったこともごめんなさい。しかしやはり、原曲を語らずにはいられなかった。
本当は映画評をやろうと思ったり、原曲をもっと社会哲学の観点から語ろうとか思ってたりしてたんですが、後者はそんな技量が私にはなく、前者は書きながら気持ち悪さを感じてしまったので、原曲10曲を一曲ずつ語りました。原曲は気持ちよく語れるのに映画は語れないの、何なんですかね。たぶん映画は解釈の問題になるので、未熟な表現力では語ることなんぞ無理なんだと思います。音楽は基本的に鑑賞者に優しいのです。
そしてこの記事は、去年と、
一昨年
の続きでもあります。原曲をどう聴いてみるか。様々な音楽との出会いを経ながら、変容していく自分の聴き方を捉えるメルクマールとして、この企画を今年もできて良かったと思います。今年は人気投票も投票しそびれちゃってたので、本当に危なかった。
なお、12月13日にはそうした「様々な音楽」との出会いを中心にもうひと記事書いているので、そちらもよければぜひ!
ではでは。2022年が良い年になりますように!!
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