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僕は生まれつき鼻が大きい…
だから鼻の事で不愉快な事を言われたり、からかわれた事もありコンプレックスになってしまいました。そこである日芥川龍之介の「鼻」を読んでみる事にしました。鼻のコンプレックスを解消するヒントになるかも知れないと思っだからです。

芥川龍之介の小説の主人公禅智内供も鼻が約20cmもあり、アゴの下まで垂れ下がっています。弟子に細長い板で鼻を持ち上げてもらわないと一人でご飯も食べられない程鼻が大きいのです!いったいそんな人間が現実に存在するのか⁈僕の鼻もそこまでは大きくはないです。

内供は社会的地位のある僧侶なので直接人に鼻について直接悪口を言われたりしません。

ただし内心では鼻が大きく垂れ下がっている事を大変気にしていました。

他人から言われ自分で鼻を気にしていると云う事を、人に知られるのが嫌だったからである。内供は日常の談話の中に、鼻と云う語が出て来るのを何よりも惧ていた。(中略) 決して鼻を苦に病んだ重おもな理由ではない。内供は実にこの鼻によって傷つけられる自尊心のために苦しんだのである。

なんというプライドの高さでしょう!

だから内供は色々な方法で鼻を小さく見せようとしたり、他人の鼻と比較して安心しようとしたり痛ましい努力をします。勿論、鼻を小さくする方法を色々試します。
そしてその内の一つな方法が上手くいきました。それは顔が火傷しないように穴の開いた盆から鼻を熱湯に垂らした後、鼻を弟子に床の上で踏ませるというもの。

「なんじゃそりゃ!」と思いました。そんな方法で鼻が小さくなるなら自分も試してみたいくらいですw

しかし鼻が小さくなるとかえって人々が露骨にジロジロと内供の鼻を見てきます。抑えきれずにクスクスと内供が気付いているのにもかかわらず笑う者もいます。
気を病んだ内供は普賢菩薩の絵の前で考え込みました。

人間の心には互に矛盾した二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥れて見たいような気にさえなる。

ある日、内供の鼻は一夜でまた元の通り長くなりました。そうしてそれと同時に、鼻が短くなった時と同じような、はればれした心もちが、どこからともなく帰ってくるのを感じたみたいです。

こうなれば、もう誰も哂うものはないにちがいない。
内供は心の中でこう自分に囁ささやいた。長い鼻をあけ方の秋風にぶらつかせながら。

なんとも言えない気持ちの悪い読了感…

闇が深すぎる!

内供みたいに常に他人の視線を意識して、針のムシロの様に感じる世間を生きていくのはいったいどんな気持ちなのでしょうか。それって無限ループの生き地獄みたいなものですよね?

結局、コンプレックスやプライドは鼻をかんで鼻水と一緒にゴミ箱にポイって捨てるのが一番だと思いました。きっとスッキリするはずですw

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