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(コラム)古代ローマの休日 その2~古代ローマ人と水(お題「公園」「ひび割れ」「てんかん」)

「公園」「ひび割れ」「てんかん」
この三つで再びお題をいただき、古代ローマ人がどんな生活送っていたのか?をかいつまんでみる。

公園に健在する水道橋

映画や漫画で描かれる古代ローマの公衆浴場と、そのまわりで営まれた生活には上水道と下水道が不可欠だった。

300年かけて建造されたローマ水道は現代の日本でも300万人分の水を供給できるほどの能力を有していた。

当時、ローマに住む100万の市民はは212箇所ある公共水槽から水を汲み、各自の家へと運ばれてゆく。

この水運びを代行するアクアリウスというという商売も存在した。
現在は彫刻もほどこされ、観光名所となったトレビの泉も古代ローマの人々が使っていた公共水槽の一つだった。

トレヴィの泉へ供給する上水道もいまだ現存するものがあり、ローマ市の南東に位置する水道橋公園には西暦38年、当時のローマ皇帝カリグラによって建造開始したクラウディア水道はいまも健在である。

ひびわれとスキンケア

各自の家に運ばれた水は生活用水として使用された。
洗面台で顔を洗ったり、水を張ったタライ等で食器等を洗う光景も古今東西変わらぬ光景であろう。

その顔や皮膚のスキンケア、外傷、火傷、水仕事のひびわれ等に油脂や薬草の成分を塗るのも同じく変わらない光景といえる。

古代ローマ時代のスキンケア用品として多種多様なものが使われた。
あまりにも豊富なので一部を箇条書きにする。

・蜂蜜
・植物の種子
・牝牛の胎盤
・牡牛の胆汁
・レンズマメ
・バター
・重曹
・メロンの根
・クミン

庶民なら入手が容易で安価なバターやメロンの根、レンズマメ等でひびわれ等にも対処したことだろう。

シーザーの家系はてんかんの家系?

ローマ市民百万の生活用水がローマ水道が供給する水全体の30%程度だったとされ、残り70%はローマ皇帝と貴族が使っていたとされる。

しかし、クラウディア水道を建造させたカリグラはその恩恵にあずかりきれなかった。

スエトニウスの『皇帝伝』によれば、カリグラは水を恐れて水泳しなかった。
当時、水泳は帝王学として貴族の子弟の必須科目とされた。
なのに、泳がなかったのはてんかんの疑いがあるとされる。

水面からの光の乱反射がてんかん発作を誘発することから、てんかん患者が泳ぐことは奨励されないからである。

カリグラ帝はジュリアス・シーザーことユリウス・カエサルを先祖とするユリウス=クラウディウス朝の皇帝なのだが、ご先祖様であるシーザーもてんかんを疑われるエピソードが多い。

カリグラ以降に即位したネロは先代皇帝クラウディウスの実子ブリタンニクスを暗殺したさい、死因は癲癇であると釈明していた。

よって、この一族はてんかんもちが多かった可能性がある。

あくまでも仮説であり、これらを証拠づけるものはいまだない。

わたしの抱く古代ローマとは、巨大なローマの公衆浴場である。

カリグラは悪名高いエピソードが多い暴君とされるが、あの大浴槽に入れなかったと思うと、可愛そうな人ともいえる。

おわりに~古代ローマと性愛

今現在、同時並行で「古代ローマと性愛」についてリサーチを進めている。

ここで取り上げたカリグラは二人の妹ユリア・ドルシッラ、小アグリッピナと近親相姦の関係にあったとの記述があった。

小アグリッピナの産んだ子はネロと名付けられ、後に皇帝となる。
そして、母と近親相姦の関係にいたった果てに、この母を暗殺する。

などなど…参考文献を読めば読むほど、歴代ローマ皇帝の性的放縦さ、逸脱さだけでもエグイことこの上ない。

公序良俗を考慮すると、とても無料での公開はできない。
金額はおいおい考えるとして有料になるのは、ご容赦いただきたい。

参考文献

古代ローマ人の24時間 ---よみがえる帝都ローマの民衆生活 (河出文庫)
アルベルト・アンジェラ (著), 関口 英子 (翻訳)

ローマ皇帝伝 (岩波文庫)
スエトニウス (著), 國原 吉之助 (翻訳)


参考サイト

手前みそだが、過去に自分が書いてきたサイトも忘備録として役立った。


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