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神奈川県内の自治体と社協は(後編)

2022年度、自治体と社協が動き出す

 近年、不登校とおとなのひきこもりの分野でも、自治体や社会福祉協議会のような公的民間団体にひきこもり支援の強化を働きかけたり、支援現場に関与したりする経験者や家族が増えています。私も、横浜市→逗子市→藤沢市(地元)というふうに関わる地域が増えています。

 横浜市は2022年度、年齢無制限の1次相談窓口を担う「ひきこもり支援課」を新設。5月28日から電話相談を開設しました。また、それに先立って昨年度はひきこもり家族会「KHJ横浜ばらの会」(ばらの会)の協力を得て家族向けに特化したパンフレットを初めて制作しました。

 横浜市がひきこもり支援体制の強化を検討し始めた5年前、私が代表の「ひきこもり つながる・かんがえる神奈川ネットワーク」(つなかん神ネット)が、ひきこもり支援強化の要望書をばらの会と共同提出したのは、偶然の一致でした。しかも前述の「年齢制限撤廃」や「1次相談窓口の設置」は、まさに要望書に盛り込んでいたことでした。
 それもあって、要望書提出の翌年度から、横浜市はつなかん神ネットとばらの会に、同じ神奈川県内のひきこもり家族会「KHJ神奈川・虹の会」を加えた3団体を毎年度招いて意見交換会を開催しており、2022年度も「ひきこもり支援課」についての説明や私たちからの状況報告と意見伝達、そして情報交換などが行なわれました。

 次に、当スタジオが3か月に1度開催している家族会「しゃべるの会」(しゃ会)の「不登校編」と「ひきこもり編」のどちらかを必ず開催していた逗子市では、近年社会福祉協議会がひきこもり支援に関心を寄せ、しゃ会や地元の家族会「ゆずり葉の会」を見学したりして、私ともつながりができつつありました。
 そこへ2022年度、お隣葉山町の社会福祉協議会も加わって、同年度からゆずり葉の会を葉山町でも開催するなど、逗子市と葉山町を合わせた逗葉地区全体としてひきこもり対応していく兆しが見えてきました。
 同年6月に開催したイベント(転載者注:ヘッダー画像とリンク先参照)も、私が「逗葉地区が支援につながり/つなぎやすい地域になるようにする第一歩はイベント」と提案して池上正樹さんにつないだところから企画が始まったという経緯です。

 最後に藤沢市ですが『ごかいの部屋』でもお知らせしたように、2021年私が市の社会福祉協議会から「不登校・ひきこもり分野の相談とソーシャルワーカー支援(助言・研修)」を依頼されたところから、市の担当課の方からも施策について相談を受けるようになり、年々ひきこもり支援を強化していくにあたり、まず今年度は研修会をやってほしいと依頼されました。

 ここまではおとなのひきこもりに関する動きですが、4月の下旬には平塚市の不登校関係部署の方々との意見交換会にも出席しました。
 きっかけは、しゃ会の不登校編を年2回平塚市で開催する際に共催していただいている不登校親の会の代表の方からサポートを依頼されたという、前述の逗子市の場合と似た経緯です。
 依頼された私は、前年1月に開催したしゃ会不登校編に参加者した、教育委員会と連携して親の会を立ち上げた方を引き合わせて一緒にレクチャーを受けました。これが当日大いに役立ったのでした。

 このように、経験者やその家族が自治体や公的民間団体に生の声を届けることは、当事者や家族が望むことを施策に反映させる手段のひとつです。自分の地域で声を上げる方が増えることを願っています。

初出:「当方見聞読」欄『『2022年度、自治体と社協が動き出す』<メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』第261号(2022年5月30日)

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※2年前に書いた記事を転載しました。神奈川県内では、当時すでに座間市(断らない支援)や大和市(「こもりびと支援窓口」という名称を採用)が意識の高い考え方でひきこもり対応に臨んでいましたが、このふたつの文章に挙げた自治体や社協もそれらに負けない熱心さで現在も動いています。

※前編で取り上げたオンライン連続講座「ヒュースタゼミナール」ですが、今月から7年目がスタートします。不登校/おとなひきこもり状態の心理と家族支援を講義と演習で体系的に学べる稀有な講座。通年(全8回)の「一般コース」は23日(木)夜から、前半のみ(全4回)の「家族コース」は25日(土)夜からです。もちろん各回の単発受講もOK。ご関心の方は ↓ の公式ブログ記事をご一読いただき、末尾にリンクした告知ページで詳細ご確認のうえ、ご受講またはご紹介をお願いいたします。

※今月はさらに、今年度の新規業務としておとなひきこもりの定期相談会を毎月1回開催することになりました。私と旧知の精神科医・関口宏氏が組んで、一般的な内容から専門的な内容まで、おとなひきこもりに関するあらゆるご質問・ご相談をお受けします。各回定員6名。ご本人やご家族はもとより相談窓口など関係者の方もOKですので、会場最寄り駅の多摩センター駅に交通の便が良い方やそのような方をご存じの方は、 ↓ の公式ブログ記事をご一読いただき、末尾にリンクした告知ページで詳細ご確認のうえ、ご参加またはご紹介をお願いいたします。

※来たる6月2日(日)と7月7日(日)、おとなひきこもり家族会「KHJ埼玉・けやきの会」の月例会で講師をつとめます。会員の方はもとより、参加したことがない非会員の方(1回限定)も、同会の案内ページ ↓ をご覧のうえ、ぜひご参加ください。




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