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「月夜の酔い 女子は何処」 本多裕樹 詩

「月夜の酔い 女子は何処」

まだ、好きなのかあの人を
誰でもいいわけでない
恋の萌芽がまだあるというのか
時が過ぎて朽ちることもあろう

その思いは定着すると
胸に残る思いは刻まれる
だが、あなたはもういない
居たとしても遠くに行った

恋は若い人の遊び
遊びに火遊びなんでもあれば
花も焼け落ちて灰になる
その灰こそが心地よいことを

私は詩を書き
それは意味のあることか
わからない
若き日の恋こそ良き霊感かと思う

まだ、女の幻影を思い浮かべ
苦悶するのだろうか
年甲斐もなく恋をする
何人との人と

様々な女子があって
その女子たちをまわりめぐり
源氏のごとく
巡りゆく

いつしか、藤壺を見つけ
その心に刻まれた思いに呪われていく
もう、その女だけ
しかし、他の女子とも関係を持つ

別段、色男でなくとも
言葉で
美を語り
女子をとりこにする

花の名前を聞けば
女の名前に短歌を譲渡する
影多ければ
ともに過ごし秘密を伝える

夜、月に照らされて水の音を聞く
かすかに聞こえる音
さわやかな風、
静かに、音の流れにあなたはいた

日々の終わりの月夜は
神々の栄る花
人の世も
恋の苦悶の時間

いずれ女も去っていく
賭けもせず
引き止めず
去るに任せる

ダメな青年はいない
若い男であれば
抱きしめるだろうそんな甲斐性がある
男の機能を失っていないなら

ワインを飲んで酔いを楽しみ
草むらで寝転びながら
月を眺める
月の黄金が、あれは死んだ星であった

いつまで、酒に酔うのか
いつまで、女子に耽るのか
眠りはお前の安らぎか
現実を知らないのか、逃げているのか

さらば夢よ
さらば夜よ
私は起きなくてはならない
私はまどろみから去らねばならない

そうして私は嫌われて
青年たちから糾弾される
私は今、どこにあっても
隠棲し、地味に仕事して生きている

かつての花の栄華は消えていった
花の御殿は今は無い
女子を追いかけた過去はもうない
今は、ひっそり暮らしている

お前の知恵はどこまであっても
それは表さない
ただ、お前の中にあるだけ
教えることもしない秘密

女子の心に秘めたるもの
光の知恵は内包された宝石
その石からすべての記憶がある
光の可能性は知恵となって秘められる

そこに源氏の君もあったろう
落ちぶれた男の姿も
今の終わりもまた来たり
どこまでも、思い出として

日々の終わりもあったとして
今日という日もまた幸い
月の夜も忘れれば
魔もまた去っていく月はすでに死んでいた

輝く照は太陽の
思いは外に投げ放たれ
あらゆる光の元を見れば
生命の種もまた生成する

時の終わりに私はいて
0時をまわり
6時になることに
月の終わりも近づくのだ

太陽の朝焼けに
私たちは光明を見て
月の思い出は
ただ、懐かしき夢であったということ

令和6年5月25日本多裕樹 記


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