見出し画像

「世の終わり」 本多裕樹 詩

「世の終わり」


主のお言葉を聴いていた

神々の世界に僕たちはあった

そこは天空の地であり、エデンの園に

アダムがエヴァを妻帯し

地上の楽園で遊んでいた

あらゆる楽に暇すら忘れた

彼らは暇知らずであったのか

主のお言葉を聞いた

人は堕落して、その子孫も増えたが

大地を汚し、この天空の地もいずれ滅ぼす

主が滅ぼすのでなく

人の手で

人の生活で

滅んでいく

人はその生命の息を売り

メタバーズのエネルギーになっていく

アダムの種は奴隷になっていく

エヴァはその生命活動を知恵に奪われていく

機械の、

電子の、

中にわれわれは依存して

心まで売ってしまうのだった

人は楽園を滅ぼしたが。

人は楽園を創造するのだった

主はそれをお怒りになるだろう

もしくは、見過ごすのか

なすがままにさせるのか

デジタルに人は移行するのを計画していたのか

人の堕落はこうして極にまで達して

新たなるデジタルにおけるバベルを作った

主は沈黙し、

人々を眺め、

選ばれた者を助けつつ

人の歴史を傍観するだろう

知恵ある者は気付き

そのバベル

もしくはノアの方舟を

避けるだろう



2022年6月3日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?