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創作

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2019年3月の記事一覧

義体不幸鳥急行殺人事件Ⅱ

つづきです。やっつけです。まだつづきます。

 「だからオルルルルルルルェはやっていないよ!チェックインを終えたらすぐに街へ観光しにいったの!!助手のチベスナちゃんを連れてね!あの子も言ってたろう!!trust me!!」
ベレー帽を被り、四分の一を覆う仮面を着けた女は喚き立てる。サングラスをかけた長髪の警官は腕を組み、長く息を吐きながら背もたれへ寄り掛かった。
「トラスト・ミーはとっくに意味をな

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蒔く男 摘む男

 男が種を蒔いた。ひとつぶ種を蒔いた。種は芽を出し、育ち、花開き。また新たな種を生んだ。男はそれをまた蒔くだろう。それを続ける。ただ蒔き続ける。狂気の種を。
 男は芽を摘んだ。種から芽吹いたそれを、見付け次第に摘んでった。はじめは容易い作業だった。いずれ蒔かれる種は増えていった。あちらこちらで芽を出し、育っていった。狂気が。男は芽を摘む。地道に、ひとつひとつ。兄の蒔いた狂気を。

 「にいさん。も

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犠牲

 少女の本棚には、ヒーローものの絵本が並ぶ。魔法少女が戦う絵本も。その内ひとつを手に取り、読んでみる。街で人を襲う怪人。現れるヒーロー。ヒーローは戦う。しかし、ピンチが訪れる。味方を人質に取られてしまったのだ。ヒーローはどうする。次のページをめくると、そこは油性マジックでぐちゃぐちゃに塗りつぶされていた。そして、最後のページ。そこにはいないはずのヒーローが、ペンで描き足されている。文章も、書き換え

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義体不幸鳥急行殺人事件Ⅲ

つづきでーす ある人物登場!

チベスナは手洗いに消えたまま帰ってこない不幸鳥を探していた。手洗い入り口に立て掛けられていた、不幸鳥愛用の大筆を握り。個室の中には誰もいないようだったし、その周辺をくまなく探した。どこに行ったというのだろう。チベスナは、路地裏に不思議なものを見た。一言で言えば、空間のねじれのようなものがそこに浮かんでいた。それは白とピンクに渦巻き、発光していた。チベスナは思わずそれ

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義体不幸鳥急行殺人事件Ⅳ

つづきでーす 明らかにされる真実──!

 チベスナは呆然としていた。センセイが死んだ?容疑者にされただけでなく、誰かに殺された……?わけがわからない。悪意だ、なにかの悪意しか感じられない。どくどく庵女将は、そんなチベスナに何も言葉を掛けられなかった。するとある人影がチベスナへ向かっていった。若女将は止めようとした。
「大変なことになりましたわね。どうか気を落とされないで?」
駄目仙人だった。チベ

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