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羽後燦樹
2016年9月2日 08:22
「おい、彦九郎。久しぶりじゃの」 「おっ、これは了以殿。大変ご無沙汰致しております。お元気でいらっしゃいまするか?」 「おう、おかげさんでの。おぬしも息災か?」 「はっ、おかげさまで。最近は排ガス規制のおかげでこの辺りの空気もずいぶんきれいになり申した」 「そうか。それは何よりじゃ」 「ところで了以殿、今日はまた何用で三条大橋くんだりまで?」 「いやさ、ここ数年京都市内にもマンション
2016年8月29日 07:57
シャリン、シャリン。鉦の音が近づいてくる。鉾を先頭に神輿が続く長い隊列は御旅所を出て通りを北上してくる。たいして広くない通りの両側には見物客がひしめいている。 よく晴れた5月の空の下を、祭りの列はゆっくりと進んでくる。 鉾の長さは電柱の高さを超える。男性の脛くらいの太さがあって先端には鉾の切っ先が、その下には金色の房飾りがあって鉦がついている。さらに幟まで下がっているので相当な重さだ。これを