見出し画像

「働かざる者食うべからず」ということわざは、実はとても残酷なものなのかもしれない “はふぽのコラム”

こんにちは。ハフポスト日本版の榊原すずみです。
今週も、よりすぐりの3本をご紹介する“はふぽのコラム”の時間がやってまいりました。
今週もバラエティに富んだ記事ばかりです。

ハフポスト日本版は、新型コロナ対策のため3月からリモートワークを実施中。そのおかげで、最上階に住む我が家の大家さんと平日の昼間に顔を合わせることが増えました。

お昼に食事に行く時。
ちょっと郵便局や銀行に行く時。
宅急便を玄関先で受け取っている時…。

そうしたら先日、大家さんに「あなた、仕事はどうしたの?入居のときの書類には仕事をしているって書いてあったけれど、こんなに家にいて、辞めちゃったの? 働かざるもの食うべからずよ」と言われてしまったんです。

きちんと説明して、大家さんには「働いています!」とわかってもらったのですが、「働かざる者食うべからず」ということわざについて改めて考えさせられました。
今回の新型コロナの影響で、仕事を失った人。
様々な事情で、働くことができない人。
一生懸命仕事探しをしても、なかなか採用が決まらない人。
今の日本には働きたくても、働けない人が少なくありません。
そういう人たちにとっては、このことわざはとても残酷に響くことでしょう。

今週の1本目はそんなお話です。

おすすめ①
障害者手帳をもつ私は「死んでもいい命」?「働かざる者、食うべからず」の日本は生きにくい。

先日起きたALS(筋萎縮性側索硬化症)患者への医師による嘱託殺人事件、知的障害者施設「津久井やまゆり園」での障害者連続殺傷事件、そして日本にはかつてあった旧優生保護法などにより、日本における「優生思想」が話題に上ることが増えてきたように感じます。

旧優生保護法とは1948〜1996年にかけて施行されていた政策です。優生学上の見地から、障害者の強制不妊手術を行なっていたというもの。
1996年なんて、たった25年の話です。25年前まで、こんなことが行われていたのかと、驚かれる人も多いのではないでしょうか。

文筆家で漫画家の小林エリコさんは、旧優生保護法が施行されていた当時、精神科に通院していました。旧優生保護法の存在を知り、「自分は子供を産むべきではない存在、または生まれてこない方がいい人間」という意識だけが植え付けられたと綴ります。

命はみんな平等である。
そんな当たり前のことが通じない、不穏な空気が日本の中でむくむくと育っていっている気配を感じているのは、私だけではないはずです。

「どうして、命を選別しちゃいけないの?」 もし誰かに問われたら、何て答えればいいのか。みんな平等だからだよ。それが通じなくなってしまったら…。

小林さんの言葉を噛み締めながら、ぜひ考えてみてください。

おすすめ②
「家事は労働か?」「労働なら、報酬は?」家事を「見える化」することの必要性

『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)、『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)、『きょうの猫村さん』(テレビ東京系)と、今年は男性が演じる家政夫のドラマが花盛りです。

そしてちょっと前には世間に「恋ダンス」で一大ブームを巻き起こした『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が不払い労働としての家事に焦点を当てました。

もし家事が労働なのだとしたら、報酬が発生するのが普通です。
もし家政婦/家政夫じゃなくても、家事に報酬が発生するなら働きながら家事をしている人は副収入が得られることになるわけで、こんなに素晴らしいことはありません。


でも、家政婦/家政夫などの職業にならない限り、一般の主婦/主夫の場合報酬は発生しません。
だからこそ、共働きの家事分担をめぐる喧嘩や、離婚後のシングルマザーの貧困につながっていくわけです。

そして、家族の中で誰か1人が家事を負担していて、それ以外の人たちが整った家を当たり前と思っている場合は、家事が労働だという意識すら持っていない可能性があります。
だから感謝の気持ちが生まれない。1人だけほかの人のために奉仕しているこのとき、家事は確かに労働になっていて、報酬を求めたくなってしまう。

そんな時はどうすれば?
作家・生活史研究家の阿古真理さんが、そんな時に効果抜群の対抗策を教えてくれます。
答えは記事で確かめて!

おすすめ③
拝啓、ロリエ様。生理の個性についてお伝えしたいことがあります

さて3本目はさらに打って変わって、生理と広告のお話。

つい先日、花王が打ち出した生理用品「ロリエ」の「kosei-fulプロジェクト」がSNSなどで話題になりました。

生理を“個性”ととらえれば、私たちはもっと生きやすくなる

このメッセージの生理を個性で済ませていいのか、それで本当に生きやすくなるのか、というのがその主な内容です。

自身も広告会社に務め、日々こうしたプロジェクトや広告制作に携わり、フェミニストの笛美さんが、今回のこのキャンペーンから拭きれない“モヤモヤ感”を分析してくれました。

・誰も受け止めてくれなかった、生理についての暗い側面を受け止めてほしい。
・社会が生理について持っているタブーを、私たちと一緒に変えていってほしい。
・男性社会の生理に対する気が遠くなるような無理解に、一緒に働きかけてほしい。
・キラキラできないときの自分を、無理に輝かせようとせず肯定してほしい。

多くの女性が生理について複雑な思いを抱えています。
だからこそ、生理用品を製造している会社の方たちは、女性たちの思いを受け止めて、解決に導いてほしい。
そんな願いが込められた記事になっています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?