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「人が集まる空間を作りたい」 コワーキングスペースで空間デザインを手がけるまで

Impact HUB Tokyo(以下IHT)は起業家による起業家のためのコミュニティ。そんなコミュニティでお送りする、#IHTの中の人紹介 はIHTで働く人々にフォーカスを当て、人物像を深掘りするシリーズ連載です。

今回は2020年3月よりチームに参画したコワーキングスペースの空間デザインやアート系プロジェクトに携わっているRinaさんにインタビューを行いました。

過去、日本各地の食品や工芸品などを販売する店舗で副店長として働いていたRinaさん、


「数字や売り上げ、働くスタッフのことは考えていたけれど、自分のことは考えられていなかったと体調を崩し入院してはじめて気づきました。」

「ここにいる方達は、起業家として自分の事業を行っている方が多く、それぞれの軸を持っているからこそ、ここにいると刺激がもらえて、自分はどう考えるか、なぜそう思うのか、自分は何者なんだろうと今まで以上に考える時間ができました。私にとって、とても魅力のある場所です。」

Whyを深堀する起業家と過ごす中で生まれた変化。店舗で副店長として働いていた過去から、空間デザイン担当として、IHTに参画するまでどういうストーリーを歩んできたのでしょうか。今回のインタビューではRinaさんのWhyに迫ります!

作り手の思いを汲み取って販売。起業家伴走にも通じる過去のお仕事


——IHTに参画する前はどんなお仕事をしていたのでしょうか。

日本各地の食品や職人さんが作っている工芸品を直接お店で販売、作り手と買い手が出会える場所をコンセプトにしているお店の副店長として働いていました。作り手さんのなぜこんな風に作っているのか?などの想いをお客さんに伝えながら、試食してもらったり、実際にワークショップなども行っていました。

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——作り手の想いを汲み取って販売をするというのは、起業家の強い想いに伴走しているというところで、IHTにも通じるものがありそうですね。

そうですね。もともと前の会社で出会うメーカーさんや作り手さんも熱い想いを持っていて、うちのが一番美味しい!と情熱をもって話してくれていました。そういう場面を思い出すと、ここのメンバーさんと似ているなと感じます。

売上については考えていたけれど、自分のことについては考えていなかった副店長時代

入って一年半くらいで、店長に一緒にやりたいと声をかけてもらい、力になりたいと思って、新規の店舗の立ち上げに副店長として携わることになりました。

ただすごく忙しくて休む暇もなかったんです。無事オープンしたのですが、店長と副店長以外はみんなパートとアルバイトで、彼らのやりたいことにつながるように、そして、楽しく働いてもらうにはどうしたらいいかと常に考えていました。

能動的に働いて貰えば、お客さんにも楽しい雰囲気が伝わって、売り上げにも繋がっていきます。作り手さんや、商品のことを知ってもらえてファンになってもらえたり、ブランドとして作り手の思いも伝わりやすくなるし、作り手の人にもお金が回ります。そういった循環を作りたくて奮闘していました。

ただ新店舗立ち上げ当初は、売り上げがなかなか思ったように上がらず、数字をずっと追いかけていて、途中で体調を崩して入院をしてしまったのです。体が限界だったのか、ずっと高熱が下がらず、1ヶ月くらい入院してしまいました。

今まで会社のため、一緒に働いているみんなのため、売上のことばっかり考えていて、自分のことを考えていなかったとそこではじめて気づいたんです。病院の先生に「入院しましょう」といわれたときに安心してしまったんです。私休んでいいんだって。

入院しているときに、そもそも自分は何がやりたくてこの会社にはいったんだったけ?と自分に向き合って過ごしました。今まで色々なことを自分で選択して生きていなかったなあと思って、変わりたいと思いました。この出来事が自分のやりたいことを見つけて具体的に動きはじめようと思ったきっかけでした。

——入院が自分に向き合うきっかけに。いままでの選択は自分で考えたものではなく、友達が基準だったり、本当に自分が考えて選択するものではなかったと語るRinaさん。Rinaさんが自分に向き合ってみつけた自分の軸はなんだったのでしょうか。

自分に向き合いながら繋がったIHTとの縁

考えてみると、もともと人が集まる空間を作りたいと思っていたんです。けれどそれが何なのかはわからなくて、もやもやしていた中、IHTで働いているKieさんと出会い「うちで働いてみたら?」とお声がけをもらったんです。

——入った当初はどんなお仕事をされていたのですか?

去年の3月にはいったのですが、はじめは今の勤務時間の半分で、施設のオープン、クローズ作業、消毒作業などを行っていました。今はそれにプラスして、業務委託として空間デザインのプロジェクトに関わらせてもらっています。


自分が何者なのかを考えるきっかけを与えてくれた場所

——働いてみて感じたことはありますか。

色々な方々と出会えて話ができるのは魅力だし、その中にいるとエネルギーがすごいんです!ここにいると自分のことも考える時間ができる。刺激をもらえるのと同時に、自分ってどうなんだろう、何者なんだろうみたいなのを今まで以上に考える時間ができました。

自分はどう思うか、なぜそう思うのかを、ここにいる方々は日常的に考えていているから、自分の軸をみんなしっかり持っているように思います。私は恥ずかしながら、自分のことをあまり深堀したことがなかったんです。進学先を決めるときも真剣に考えなかったし、そうやって考えてきた人たちと自分の時間の密度は全然違うと思って焦りもあります。

——働き始めて一年。変わったなと思うところはありますか。

入社当時、チームメンバーに、ここのフィロソフィーやチームのあり方を教えてもらって、そのときに自己開示をすることが大切というのを聞いたんです。正直、自分の意見や考えを言うことは苦手で不安でしたが、できているかはわからないけれど、最近は自分の意見を意識的に言葉にするようにしています。ここは主語を私にして自分の意見を言うことが求められます。言ったところで否定もされないし、間違っていたら間違っていると言ってくれたり、さまざまな視点を受け入れてくれる環境なので、そういうところは入ってから変わったなと思います。

チームもそうですけど、海外の大学卒だったり、海外で働いていたり、すごい経験をしている方ばかりで、自分はここにいていいのかなと差を感じていましたが、やっとここにいていいんだなっていうのを最近感じてきています。メンバーさんとご飯に行ったり、自分の経験を話してくれたりとか、メンバーさんやチームのみなさんと話をする中で、受け入れられているような気持ちになって、安心できる場所になってきました。

人が集う空間をつくりたいという想いが、実現した空間プロジェクト

——現在は空間デザインも担当されているとのことですが、どんなことをしているのでしょうか。

コロナでリモートやオンライン会議などが多くなってきた中、メンバーさんのたちのニーズが変わって、コミュニティも変化しています。そんな中、空間も合わせて変化させていくべきという考え方にもとづいて、それぞれラウンジ、イベントスペース、コワーキングスペースの家具を選んだり、場所ごとにコンセプトを決めています。

まずは今のメンバーさんがどういうふうに空間を使っているかを観察して、みんなで考えながら進めているところです。いまは「ブロック」というまるでLEGOブロックのように多様に組み立てられる部品と大きな積み木を使って空間を作ってみようとしているところです。

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副店長として働いているときも、思いや良さを伝えるためのポップを書いたり、売り場作りをするのがすごく好きだったんです。接客というより、お客さんと日常的な会話をしながら販売をしていて、翌日に「おいしかったよ」って声をかけてもらえたり、「こういうのほしいんだけど」って相談されたりして、”お客さんを知る”という楽しいと思っていた部分が、今の空間のプロジェクトでも同じようにあって、そこがつながっていると思います。

仕事をしているというより、ミーティングをしながら、プロジェクトをやりながら、経験を積ませてもらい、色々なことを学ばせてもらっているような感覚があります!


——メンバーさんとのヒアリングも楽しそうですよね。

気軽に日常会話をする中で聞いているのですが、人の行動、気持ちという部分が空間に大きく関係しているなと思います。文化人類学者の比嘉夏子さんにも顧問としてプロジェクトに参画していただき、エスノグラフィーや人の行動の観察をはじめて、その部分も含めて楽しいと感じています。

——人の行動や心理をデザインに生かすというのはおもしろいですね。

この人にとって、ここはとても居心地がいい場所なんだなとか、じゃあそこにある要素ってなんだろうと考えたり。人それぞれ違う行動だけど、それぞれをまとめていって、自分たちの考えたものと一緒に空間で表現できたら、おもしろいと思います。メンバーさんにとっても安心できたり、IHTがあってよかったって思えるような場所になってもらえたらと思い、担当しています。

——自分に向き合いながら、ぼんやりとした自分の軸をすこしずつ確立しながら、やりたいことを実現している姿が印象的なRinaさんのストーリー。

今回も、またそれぞれ違った背景をもつチームメンバーの背景に迫ることができました。

次回はどんなチームメンバーが登場するでしょうか。乞うご期待です。
今までのチームメンバーの記事は#IHT中の人の紹介でも
お読みいただけます。

ぜひご一読ください。


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