《突然の風景》のための市内キャラバン 初回レポート[4/4(木)]

 今年のHUB-IBARAKIの3つ目のプログラム「《突然の風景》のための市内キャラバン」が始まりました!このプログラムは、5月26日(日)の《突然の風景》作品発表に向けて、広報活動を兼ねながら、プロジェクト全体や作品内容に関する理解を深めていただくために、市内各所に出向いて、様々な茨木市民のみなさんと交流・対話を重ねていくことを狙いとしています。キャラバンの形式や手法も様々で、これから約1か月半の間に週1~2日のペースでの実施を予定しています。

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 第1回のキャラバンは4月4日(木)に、特定の方との対談形式で実施しました。市内で建築事務所を営みながら、市役所前のグラウンドで秋から冬の時期に毎年開催されている「茨木ヴィンテージカーショー」の主催者でもある橋本健二さんにお話を伺いました。

 《突然の風景》の発表で車を使用することもあり、車に関するお話を主にお聞きする目的で伺ったのですが、実は橋本さんは以前から現代美術と深い関わりがありました。冬木さんと山本ディレクターの大学時代の指導教員である藤本由紀夫さんの展覧会企画に関わられていたり、本業の建築のお仕事でも現代美術の作家の自宅やアトリエの設計もされていました。橋本さんからご自身と交流のある作家や美術関係者の方のお名前が次々と出てくるたびに、私たちからも驚きの声の連続でした(笑)。こういうバックグラウンドがあられる橋本さんでしたので、HUB-IBARAKIのことは以前よりご存じで、今年の《突然の風景》の作品形態や新たなプロジェクトの展開にもご理解を示してくださいました。

 肝心の車のことについても、外国の昔の車のクラクションの構造の違いなどたくさんの情報を教えていただき、さらには車の機構に詳しい市内在住の方を新たにご紹介いただきました。今回の1時間余りの対談の中で様々なお話を聞かせていただきましたが、中でもとても興味深かったのは、これまでの橋本さんの茨木のまちとの関わりについてのお話でした。現在企画運営をされている「茨木ヴィンテージカーショー」の以前にも、約25年前に故郷の茨木に戻って建築事務所を開いてから、橋本さんは茨木のまちなかで文化や芸術に関わる様々な活動を有志の市民の方々と共に長年取り組まれていました。代表的な活動として、春日商店街での「茨木美術環」というアートイベントの企画運営や、ご自身の事務所と蔵書を活用した図書室バーの運営のお話も聞かせていただきました。当時は、市内の民間の活動と行政が手を組むということは難しく、そのやり取りでのご苦労も多かったようですが、いまその両者をつなぐ役割をHUB-IBARAKIが担いつつあることが興味深いと、励ましのお言葉もたくさんいただきました。

 このキャラバンは市民との対話をベースとしていますので、私たちの知らない茨木のエピソードを拾い上げていくこともキャラバンの目的の一つとしています。今回は橋本さんの活動されてきた範囲がHUB-IBARAKIと近いこともあって、直接的に私たちとも結びつく話題がとても多かったように思います。今後の予定では、様々な立場で茨木に関わり、住まわれている方々とお会いすることになっています。このキャラバンを介して、たくさんの「突然の風景」に出会えることをとても楽しみに取り組みたいと思います。

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橋本健二 建築設計事務所 http://www.kenjihashimoto.com/
茨木ヴィンテージカーショー http://www.vintagecar-ibaraki.com/

執筆:チーフディレクター 山中 俊広

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