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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第十二集①

サブタイトル「痕跡なくとも」。私の大好きな回の一つで、観るたびにだいたい泣いてる回でもある。

虽然他换了名字 易了容貌 我还是认出了他

穆青は無事に周先生を連れて来ることができ、議論は誉王側が勝つことができた。穆青と共に送られる周先生を城外(都の外)で梅長蘇は迎えた。

玉蝉は周先生の兄弟子のもので、数少ないその愛弟子も把握しているが、周先生は梅長蘇を知らないと言う。第十一集のサブタイトル「恩師」は梅長蘇(=林殊)の恩師であり、周先生の兄弟子・黎崇のことのようだ。

黎先生が、玉蝉を持っていた理由は三国時代の曹植による「蝉賦」にある心意気を表しているらしい。周先生は、ある黎先生の武人でもある愛弟子の話をして去った。その愛弟子には梅長蘇は会えることはないらしい。もしや・・・?

穆青と周先生が去った後、霓凰郡主がやって来て「梅長蘇」の正体について核心をつく話になった。霓凰が過去に戦場で窮地に陥った時に敵陣を破る戦法を伝えに来た人物について話している。

虽然他换了名字 易了容貌 我还是认出了他
ーたとえ名を変え変装しても私には分かる

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第12話
霓凰

「~ではあるけれども」と言う意味の「虽然」と後方の「还是」が呼応している。「他换了名字」は「彼は名前を取り換えていた」で、「易了容貌」は「容貌を交換していた」という意味である。いずれの文にもある「了」は動態助詞で動作や行為の完了を表す。

「认出了」は、「見分ける」という意味の動詞「认」と方向補語「出」、先ほどと同じ動態助詞の「了」の組み合わせである。方向補語「出」は隠れた状態から明らかな状態への方向性を表し、発見や識別のニュアンスを帯びる。

文章全体を直訳すると「彼は名前を(別の名前に)換え、(本来とは別の)見た目になっていたけれども、私は(既知の)彼だと分かった」となる。ここで霓凰が指していた人物は、赤焔軍の衛崢と言う人物だった。

第三集で梅長蘇と蒙大統領の会話にも出てきたのを覚えているだろうか。霓凰は衛崢が赤焔軍におり、林殊の副将だったことも知っていた。

我知道是你 我知道你就是我的林殊哥哥

琅琊榜首位で江左盟の宗主である梅長蘇が、衛崢のことを知らないわけがないという前提で霓凰は話を続ける。そんな衛崢を従えている梅長蘇に「あなたは誰?」と。「林殊」の名前まで出したところ、梅長蘇が林殊に敬称をつけないことを霓凰は指摘する(後に赤焔軍がどんな軍で、林殊の立ち位置が明確に分かると、最もな指摘)。

それでも自分を林殊とは言わない梅長蘇。霓凰は林殊の身体にあるはずの痣をむりやり確認するが、それも見つからない。林殊だという確たる証拠がないのに霓凰は梅長蘇を抱き締めて言う。

我知道是你 我知道你就是我的林殊哥哥
ーやっぱりそうよ あなたこそ林殊兄さんだわ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第12話
霓凰

「我知道」は「私はわかっている」、直後の「是你」で「あなただ」。この「是」はシンプルな話し手の肯定判断で「~だ」に相当する。

もう一度「我知道」があり、何を霓凰がわかっているかが再度続く。「你就是我的林殊哥哥」の中の「就」は、肯定を強める副詞で「絶対に」という意味である。この「就」を省いた「你是我的林殊哥哥」は「あなたは林殊兄さんである」になり、「就」はあると「あなたは絶対に林殊兄さんである」と強調される。

文章全体を直訳調にすると「私はわかっている、あなだと。あなたは絶対に林殊兄さんだと私はわかっている」となる。字幕の方が霓凰の気持ちが伝わる自然なセリフになるよう言葉が省かれている。

私が学生時代に中国語を習い始めた時、教科書のかなり序盤で出てきた文法と単語で構成されている。これを例文で習いたかったな、と思ってしまう。この梅長蘇と霓凰のシーンはお気に入りなので、次回も続きます。

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