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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第十三集②

サブタイトル「消えた火薬」の続き。前回紹介した範囲ではまだ火薬の話が出ていない。


梅長蘇の屋敷で言豫津と蕭景睿が蜜柑を食べたり話したりしているシーンから皇宮のシーンへ。

江左盟が調べていた不審な積み荷について、第十二集で戸部尚書の沈追も調べており、江左盟と同じ答えにたどり着き靖王に報告した。その後靖王は母親の静嬪から倒れた皇后についての話も聞き、梅長蘇の屋敷にやってきた。横になっていた梅長蘇が何で靖王が来たのか尋ねたところの靖王の答えから。

我就不能来探病吗

我就不能来探病吗
ー見舞いではダメか?

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第13話
靖王

一人称で主語は「我(私)」、「不能」は「~できる」という助動詞「能」の否定に見えるが、ここでは条件的に「~できる」という「可以」の否定と考えた方が良さそう。

「来」はそのまま「来る」の意味で、後ろの動詞「探病」と合わせて第五集でも出てきた連動文になる。「探病」は「病気のお見舞いをする」という意味である。「私はお見舞いに来てはいけない」と言う意味の文章に、強調する「就」と疑問の文末助詞「吗」がつくことで「私はお見舞いに来てはいけないのか?」という感じになる。

そう言ったものの靖王は、やはり用事があるから来たのであり、静嬪から聞いた皇后の症状が、毒草の効果で四肢が脱力し食欲減退が7日ほど続くものだと梅長蘇に告げた。

苏先生在想事情的时候 手里也会无意识地搓着什么东西吗

誰が皇后に毒をもったのか、なぜそんなことをしたのか思案を始める梅長蘇。同時に指先をこする動作をし始める。第十二集でフォーカスされた指先の動きだ。

その梅長蘇の様子を見て訝し気にする靖王。話しながらも梅長蘇がその動作を続けていると靖王がついに気になって質問した。

苏先生在想事情的时候 手里也会无意识地搓着什么东西吗
ー先生は思案する時無意識に指をこするのか?

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第13話
靖王

「苏先生」は梅長蘇のこと。「在」は進行を表し「~している」、「想」は「考える」という動詞としてここでは出て来る。「事情」は「事」「事柄」、「的」は連体修飾で「时候(時)」を修飾する。つまり「在想事情的时候」の部分は、「事を考えている時」と直訳でき、もう少し日本語として自然にすると「考え事をしている時」になる。

人体の一部分の名詞「手」と「里」を組み合わせて、手のことを指す。中国語は単音節で動詞を使いたがらない傾向があると昔教授が言っていた気がする。「手の中」と読むこともできるが、靖王が言いたいのは指をこする動作の事なので、「手元のあたり」というニュアンスとも取れる。

「也」は「~も」という副詞だが、前の言葉と連携する場合もあれば、後ろの言葉と連携する場合もある。今回は前半の進行を表す部分についてだろうか。日本語にする分には、同時性が表せるといいか。

「会」はここでは「~できる」ではなく可能性を表す「~だろう」の方と思われる。「无意识」は「無意識」で、「地」が直後につくことで「無意識に~する」というように動詞を修飾する。

無意識に何の動作をしているかというと「搓(こする)」+「着(進行と持続を表す助詞)」で「こすっている」となり、「什么(不確定な「何か」)」+「东西(もの)」で「何か(もの)」となる。

最後に疑問の文末助詞「吗」がついて、「蘇先生は考え事をしている時、手が無意識に何かをこすっている(動作)もするのだろうか」になる。字幕の訳がシンプルで自然だ。「也」や「会」の雰囲気を無理に出そうとする不自然な日本語になってしまう。

こう言われてはっとして指をこするのをやめた梅長蘇。場の雰囲気に緊張感が漂い出したところは次回に。

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