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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第二十八集

サブタイトルは「次なる対抗者」。靖王にとっての話か、それとも・・・


让母亲费心了

第二十七集で、中秋節の宴が催されない代わりに静妃のところへ来た靖王。第二十六集から出て来た梅長蘇が注釈を書いている旅行記は靖王が借りた後、静妃の手にあった。

静妃はこれまでの話から梅長蘇の正体に気付いた様子。靖王に梅長蘇のことをくれぐれも大切にするよう伝える。しかも息子の靖王と同じ点心を梅長蘇にも渡すようにと手渡した。

靖王は自分と梅長蘇の点心を受け取りながら言った。

让母亲费心了
ー感謝します

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第28話
靖王

▼让母亲(ràng mǔqīn)
よく出てくる「让」は、「~させる」という意味で頻出の使役の兼語文。直後に使役の対象人物が来る。ここでは「母亲」で「お母さん」。靖王が言うならば「母上」だろうか。

▼费心了(fèi xīn le)
「费心」は「気を使う」。「了」は文末助詞で状況の変化、新しい事態の発生を表す。

全体で「母上に気を使わせてしまった」となる。字幕ではお礼の言葉になっている。真意はたしかに同じである。それにしても「让」はいろいろなところで出てくる。

静妃が殊の外、梅長蘇を気にかけるので靖王は旅行記の返却を遅らせて本をつぶさに読んだりもしたが、手掛かりは得られなかった。会ったことがないのにこの段階で梅長蘇の正体に気づく静妃の鋭さがすごい。

この後ついに靖王は親王に冊封され、誉王に対抗する立場になった。誉王はこれを良く思わず、梅長蘇を以前のようには信用しなくなった。

今年的灾情 虽然没有承平七年那么重 但是呢 也要立即安排各项赈灾事宜

親王になってバリバリ働く靖王のところへ戸部尚書の沈追がやってきた。二人は皇太子が関与する闇炮坊を調査していた頃に面識をもっていた。わざわざ夜に靖王を訪ねたのは、干ばつや虫の害で被災した地域の救済措置の任務を誉王ではなく靖王に勝ち取ってほしかったからだ。

過去に皇太子や誉王が同様に任務を行った時は、救済金を関係する官吏と着服していた。民が救済されないばかりか、救済金が行きわたらず、もし民が暴動を起こした場合は、その鎮圧をするのは靖王になる。そんな理不尽な事態を回避するために、沈追は靖王に救済措置を担ってほしかったのだ。

沈追の思いを受け取った靖王は、救済の任務を勝ち取ると約束して御前に臨んだ。その臨んだ場で、皇帝が悠長な話を始めた。

今年的灾情虽然没有承平七年那么重 
但是呢 也要立即安排各项赈灾事宜
ー今年は承平7年ほど深刻ではない
 だが各地への救援は急を要する

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第28話
皇帝・蕭選

▼今年的灾情(jīnnián de zāiqíng)
「今年的」は「今年の」。
「灾情」は「災害の状況」「災害の程度」の意味。

▼虽然(suīrán) ~ではあるけれども
後に出てくる「也」と構文になっている。

▼没有承平七年那么重
(méiyǒu chéngpíng qīnián nàme zhòng)
ここの「没有」+「那么」+「形容詞」は比較表現で程度が及ばないことを表す。「没有(~ではない)」+「承平七年」+「那么(~のように)」+「重(程度が甚だしい)」という構成になる。

「承平七年」はこの物語に舞台「梁」の国の年号表現。この「承平七年」が現在から考えると遠い時期なので「那么」を使っているが、近い時期ならば「这么」になり得る。

この部分は「承平7年のように(災害の状況が)ひどくはない」となる。

▼但是呢(dànshi ne)
「但是」は「しかし」「けれども」、「呢」は文中でポーズを置く時に用いる。

▼也要立即(yě yào lì jí)
「也」は「虽然」と呼応して事実に関わりなく、結果は同じだというニュアンスを表す。「要」は「~しなければならない」という助動詞、「立即」は「直ちに」「即座に」。

▼安排各项赈灾事宜(ānpái gè xiàng zhènzāi shìyí)
「安排」は「手配する」、「各」はそのまま「各」「それぞれの」、「项」は任務や措置の量詞、「赈灾」は「罹災者を救済する」、「事宜」は「事柄」で公文書に使われるような言葉。

文章全体を直訳調にすると「今年の災害の状況は、承平7年ほどひどくはないけれども、しかしな、やはりただちに各罹災者救済事項を手配しなくてはならない」となる。

靖王はこの任務を担いたいと皇帝に頑張って訴えるが、誉王が私財を投入してでも救済すると主張し、最終的に誉王が主導することになった。沈追と靖王の心配はどうなるか。

🖌今回の気になる単語帳

老东西 lǎo dōngxi
「老いぼれめ」という意味。「东西」は「もの」だが、ここでは憎しみや可愛げをこめて人や動物に用いる表現。心にもない民を思いやる発言をする誉王に対し、後ろで控えていた老官吏がたまらず笑い出してそれを取り繕った。その時に皇帝が老官吏に向けて言った言葉である。

誉王の性格(そこまで善良ではない)を分かっている皇帝だが、老官吏に笑われるのはちょっと憎たらしかったのだろう。

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