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ミルクティーとスコーンのこぼれ話
どうも、はつざつひじりです。
先日ニコニコ動画とYouTubeにミルクティーとスコーンについての動画を投稿しました(見てね!)。
ここでは、その中で動画に入りきらなかった話をしていきたいと思いますので、ぜひ動画を見ながら読んでいただけると幸いです。
ミルクティーの茶葉
動画内で市販のミルクティーを始め、多くのミルクティーではアッサムの茶葉が使われていると言いました。
実際、有名メーカー3種のミルクティーの成分表を覗いたところ、すべてのメーカーがアッサムの茶葉を使っていると表記しており、ここからも一般的にミルクティーと言えばアッサムの茶葉であることがわかります。
なぜアッサムをミルクティーに使うかは動画で解説した通り、味が濃くミルクで割ったときに味が薄くならないためです。
なので、動画内で上げたアッサム以外のミルクティーに使われる茶葉も味や香りが強い物ばかりです。ミルクに負けない味の茶葉を使うのが大切ってことですね。
自宅でミルクティーを作るときはぜひ濃い味の物を選んでくださいね。
日本とイギリスの牛乳事情
動画内では『ロイヤルミルクティとして牛乳を煮詰めることで、昔の日本の牛乳特有の味の薄さを補った』と言いましたが、実は現代においてはむしろ日本の方が濃い味の牛乳が多いと言われているんですね。
ただこれは乳成分の違いではなく、殺菌方法が関係していると言われています。
牛乳は食品衛生法によって、出荷する際には殺菌(主に加熱)をしなくてはいけないと言われています。しかし、その殺菌方法はいくつか存在し、当然味や風味も殺菌方法によって変わってしまうんですね。
日本のほとんどの牛乳は超高温瞬間殺菌(UHT)という120~130℃で1~3秒ほど加熱殺菌するという手法によって作られています。
この手法はとても殺菌能力が強く、この方法で作られた牛乳は他の方法で殺菌されたものと比べ、長い期間の保存ができると言われています。
一方、高温で殺菌するため牛乳の風味が変質してしまうというデメリットもあります。独特の牛乳臭さや粘りが生まれ、濃い味わいになってしまうとも言われています。ただ慣れ親しんでる日本人にとってはこの牛乳の風味が逆に好まれていたりもするんですが。
大してイギリスの牛乳は、高温短時間殺菌(HTST)と言う72℃以上で15秒以上加熱殺菌するという手法で作られたものが多いです。
この手法のメリットは、たんぱく質が変質しないため、牛乳本来の風味が楽しめることです。逆にデメリットは、先ほど述べたUHTなどの方法と比べて殺菌力が弱いことですね。なので日持ちもあまりせず、飲む分だけをいちいち買わないといけないのが面倒なところです。
ただ、イギリスは日本と比べ牛乳の消費量が多く、腐る前に使い切ってしまうので問題ないのかもしれませんね。
もし牛乳が「臭くて苦手」と言う人は殺菌方法までこだわってみてはいかがでしょうか?
スコーンは国によって形が違う?
イギリス発祥のスコーンですが、実はアメリカでもよく食べられているんです。そしてアメリカとイギリスではスコーンの形も味も大きく異なります。
今回動画内で作ったこのスコーン
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41331046/picture_pc_1838660d906886030f117eaebcfcf65f.jpg?width=800)
材料や味わいはイギリス式なんですが、実は形はアメリカ式と言うかなり特殊なスコーンでした。
イギリス式スコーンは
・バターや乳成分少な目
・何も混ぜ込まないものが基本、混ぜても小さいものが多い
・丸い形、もしくは四角
・横に割れ目がある
と言った特徴があります。
対してアメリカ式スコーンは
・バターがやや多め
・チョコやフルーツを混ぜることが多い
・三角形
・割れ目は特に気にしない
と言った特徴があります。
実際にイギリス式のスコーンを買ってきたので、味や形を比べながら食べてみましょう。
スコーンの見た目
最初は形に注目して見ていきましょう。
先ずはイギリス式のスコーンから
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41331494/picture_pc_0ff4fbc61ef4931da1f5d845da31caa1.jpg?width=800)
ベノアさんのイギリス式スコーン。こちらではクロテッドクリームも取り扱っており、かなり本格的です。
見た目は丸く、やや高さがありますね。そしてよく見ると真ん中に割れ目もあります。
プレーンを買ったので当然何か入っているという事はないですが、売っていたほかのスコーンも紅茶風味の物や少しのクルミや果物の香りが付いた物などばかりで、大きく形が変わるような大きい具材が入ったスコーンはありませんでした。
対してアメリカ式スコーンの代表、スターバックスのチョコレートスコーンです。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41331572/picture_pc_c8ac5a9b3de9d0266e55e1404d81b8f0.jpg?width=800)
形は三角形で平たく、特に割れ目もありません。
大きなチョコチップが入ったものや、キャラメルがかかったものなど、甘みの強い具材が多く、形や見た目も大きな特徴があります。また、プレーンも私が見たメニューにはありませんでした。
なぜ同じスコーンなのにここまで見た目が違うのでしょうか?それはイギリス式のスコーンがある物をモチーフに作られているからです。
動画でも説明しましたが、イギリスのスコーンはスコットランド発祥です。
スコットランド王家の守護石であり、1296年にエドワード1世がイングランドに戦利品として奪ったエピソードなどの由来を持つStone of Scone(スクーンの石)をモチーフに作られた(また名前を付けられた)ことがスコーン発祥であり、名前の由来です。
だからこそイギリス式のスコーンは、その形を象った四角形や石柱をモチーフにした円形なんですね。
なのでイギリスでは、スクーンの石に敬意を払い、その形を象ったスコーンを崩さないよう、真ん中の割れ目に沿って横に割ってからクリームを乗せて食べるというのが正しいマナーだとされています。イギリス式スコーンに割れ目が必要なのはそんな理由からなんです。
対してアメリカ式のスコーンは何かをモチーフにしているという事もないですし、特にこれと言ったマナーもありません。なのでわざわざ決まった形を作る必要が無く、厚みを出して割れ目を作る必要もなかったので現在の形に落ち着きました。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41331277/picture_pc_9f23b9689a3397112a4baee17ed18b9d.jpg?width=800)
スクーンの石(とされているもの)
スコーンの味
では続いて味の比較をしていきましょう。
こちらもイギリス式から
イギリス式のスコーンはかなりあっさりした味わいです、これはバターも砂糖も控えめに作られていることに起因しています。
その分イギリス式のスコーンにはクロテッドクリーム(※)とジャムが欠かせません。
※クロテッドクリーム
英国デボンシャー地方に伝わる伝統的なクリーム、脂肪分の高いミルクを煮詰め作られる。
生クリームとバターの中間の様な味わい。牧場でバター作り体験をした人はその味に近いと言えばわかりやすいかも?
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41331610/picture_pc_0b4a2a192fb6b378579357ae52e2b3d9.jpg?width=800)
クリームとジャムによって控えめな油脂成分と甘みを補う感じですね。
また、クリームやジャムを乗せるという事が前提なので、中に何か混ぜ込むときにもそこまで味が強く変化する物は入れず、あくまで風味をつけるために入れている程度です。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41331645/picture_pc_de2627e73f36cac3b85991898cce2ae1.jpg?width=800)
(このクリームとジャムの順番でも論争が起きる...らしいです)
一方、アメリカ式のスコーンはかなりバターも砂糖の量も多いです。物によってはイギリス式と比べて3倍ものバターを使うこともあるとか。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41331705/picture_pc_6eb3a5b59c087e68bea6005e44a36464.jpg?width=800)
そしてアメリカ式のスコーンは、ほとんどが中に甘い果物やチョコレートなどが混ぜ込んであり、プレーン味は少数派です。
味わいもドーナッツのオールドファッションに近いものがあります。
まとめると、イギリス式のスコーンはトーストのように何かを乗せることが前提のあっさりとした味わい、対してアメリカ式はどっしりとしたドーナッツのような味わいといった感じです。
同じスコーンでも国によってこんなに味も見た目も違うんですね。
アフタヌーンティーの軽食
さて、動画内ではスコーンの他にきゅうりのサンドイッチをアフタヌーンティーにおける代表的軽食と言いました。スコーンの話題からは少し外れますが、ここではそれについて少しだけ触れていこうと思います。
まず、アフタヌーンティーとは何でしょうか?
日本のイメージではイギリスの貴族がお茶とお菓子を楽しむ時間...と言った印象があると思いますが、実は少しだけ違います。
確かにイギリス貴族文化では夕食が遅かったことから、その間食としてお茶と軽食を食べ始めた、というから出来事から生まれたものですし、その当時は社会的ステータスや礼儀作法、教養が求められる場でした。しかし現在では上流階級、労働者階級にかかわらずあらゆる層に広く普及しており、その内容もどちらかと言うとホームパーティーの様な礼儀作法などを気にしない、気軽な文化としてあらゆる層に幅広く浸透しています。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41331810/picture_pc_ec8359cad35240f30d6d74f74caf01d2.jpg?width=800)
(お気に入りの茶器を使ってするアフタヌーンティーは楽しい)
そんなイギリス人にとって当たり前の文化である、アフタヌーンティーの代表的な軽食がスコーンとキュウリのサンドイッチです。
でもスコーンは動画でもこの記事の中でも触れたとおり、イギリス文化に深いかかわりを持つので納得できますが、キュウリのサンドイッチってあんまりパッとしないですよね?
そもそもキュウリって栄養ないし、日本でもサンドイッチは売ってるけど別なサンドイッチの付け合わせとしてだし...
と、そんなパッとしない(と言ったら悪いですが)キュウリのサンドイッチ、逆にそのパッとしないがゆえにイギリス貴族の中で大ウケしたんです。
先ほども言いましたがキュウリはほとんど栄養がありません、それに生のままではあまり日持ちせず、すぐに鮮度が落ちてしまいます。その上当時のイギリスの環境では育てるのも難しく、専用の設備を作るか大金を払って輸入するしか食べる手段がありませんでした。
ハッキリ言っていいところが全くないですね...
でもこの良いところが無いがゆえに、イギリス国内ではキュウリの普及率はとても低く、逆に希少で高価な存在になったんですね。そういった高価で道楽品であるキュウリ、それを客人にふるまうことで自分の力や経済力を誇示できるとして、産業革命時からイギリス貴族階級の間ではこのキュウリを使ったサンドイッチが爆発的に流行しました。
その後キュウリが安価になっても、キュウリのサンドイッチをアフタヌーンティーの時に食べるという文化が残り、現代のイギリスにおいても欠かせない料理の一つとなりました。
そんな理由でキュウリのサンドイッチはスコーンと並ぶ代表的な軽食となったわけです。
最後に
と言うわけで動画の中で語れなかった小ネタなどを解説していきました。気が付いたら結構な長さになってますね...元々料理の文化や歴史が好きなのでついつい調べ過ぎてしまいました。
これ以降も動画内で紹介しきれなった小ネタや雑学、レシピなどをnoteにあげていきたいと思いますので、ニコニコ動画、YouTube、Twitterと一緒にnoteもお気に入り登録していただければ幸いです。
それでは次の記事でお会いしましょう。
おわり
ニコニコ動画→https://www.nicovideo.jp/watch/sm37965702
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