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月記(2023.05)

5月のはなし。

〔写真:OLYMPUS XA2 & cinestill800T〕



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「#RAY_Bloom」。O-WESTには笑顔の怪獣たちがいた。


誰もが孤独であり、その孤独な誰もの周りには、広大なフロンティアが広がっている。なにもかも。「スワイプ」、「フリック」、あなたはこれらの単語にどんな印象を抱くだろう?この日披露された『フロンティア』は、そんな僕らの指先ひとつに希望を宿す曲に聴こえた。


点から線が伸び、つないだ点からまた新たな線が伸びる。『サイン』でグラフモデルが球体を描いていたのは、『フロンティア』が指す「この星」を示していた。おそらくは、何年も前から変わらずに。


「Re:」という文字列をみてなにを思い出すだろうか。僕ならアジカンのあの曲を思い出す。2004年ごろ、メールがコミュニケーションのアイコンだった時代の懐かしい文字列。『Bloom』を聴きながら「Re:」を眺めていたら、この文字列が愛おしく思えてきた。これはコミュニケーションの履歴の象徴であり、ここまで続いてきた一瞬の連なりの証であり、自らの足跡を思い出させてくれるものだ。それがデジタルなフォントの配列であることは、それを愛さない理由になどならない。



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久しぶりにmy new gear…をした。

YAMAHAのミニキーボード「PSS-A50」。37鍵、だいたい2オクターブちょっとをカバーできる。電池駆動のためケーブルの邪魔もない。スイッチを入れればすぐに音が出る。ふと気になった音があったらパッと手に取って確認できる。ドラム音源も入っているので、いわゆる指ドラムで遊んでいるだけで時間が融ける。

僕はギター育ちなのだけど、ギターはちょくちょくチューニングをしないといけない。音を出したいと思ってパッと手に取ったとき、調子はずれの音が聴こえた瞬間どうしても気が散ってしまう。その点、キーボードはどうだ。鍵盤を押せば、音が鳴る。誰でも(ある意味)すぐに弾ける。効率化がすべてだとは思いたくないけど、こればかりは認めざるを得ない。ミニキーボードは便利だし、鍵盤楽器は偉大な発明である。先人の知恵。YAMAHAはだいたい間違いない。



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「plant」と題されたライブを見た。

これをもって、クロスノエシスは無期限活動休止となった。寂しくないわけがない。でも不思議と喜びに溢れてもいる。たぶん、クロスノエシスを好きな人たちは、これからも生きていける。そういうふうに世界を変えてしまったのだ。大袈裟ではないと思っている。

これで済むわけがないのだけど、これでほとんどが済む話な気もする。今後なにかあればnoteに投稿するし、マガジンにもまとめます。

クロスノエシスに関わったすべての人は、きっと何かを見つけられる。そういうふうに世界は出来ている。



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先月すこし話題に出したVTuber・大浦るかこさんが、タレント活動の無期限休止を発表した。今後は所属事務所の運営スタッフとして活動する予定になっている。

運営スタッフへの転向は彼女が志願したものではなく、運営側からの提案だった。さらに彼女はその提案を受けるにあたって、「所属タレント全員からの合意があるなら」という条件付きで回答した。結果、タレント全員から合意が集まり、彼女は運営スタッフとして事務所に留まることになった。
(※経緯に関する発言があった動画は非公開になっており、一連の記述はあくまで僕の記憶に基づいたものである。)

タレントとしての大浦るかこは魅力的であった。同時に、彼女がみせる企画力やエンターテインメント観、タレントやスタッフ、リスナーに対しての真摯な姿勢といったキャラクターは、運営スタッフとしての適性も感じさせるものだった。個人的には、彼女は運営スタッフとして事務所全体に良い影響をもたらしてくれると期待している。
同時に、運営スタッフとしての適性に見えるそれらの要素もまた、「タレントとしての大浦るかこ」の魅力の一端を担っていたはずだ。タレント活動が止まってしまうことには寂しさを覚えてしまう。もちろん、彼女はこのようなファン心理も(無論、全く異なる形のファン心理も)想像しているだろう。それでもなお「タレントに徹しきれない自分」に悩み、そこに真摯に向き合えてしまうからこそ、今回のような結果になったのだろう。
(※「タレントに徹しきれない自分」に類する発言があった動画は非公開になっており、一連の記述はあくまで僕の記憶に基づいたものである。)

舞台の表と裏があるとして、どちらかだけ知っていればいい、どちらかだけに立っていればいい、といった類の言説はどうも時代遅れに思える。そもそも舞台の表にも裏にも監視カメラが配備されているのが現代であり、全体像を把握し、状況に合わせ、適切なバランス配分をし、パフォーマンスできることこそ、現代を生きる「技」なのだと思う。うまいことやればいいのだ。

みんなうまいことやっている。すごいなぁ、と思ってきたけれど。僕の想像力はまだ足りてない。



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27日。借り物の種に水をやった。




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30日。なにかつくったものを公開したかった。

もどかしいけど、痛いうちはまだ生きている。






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