妻は幸せ恐怖症「アフェクト・フォビア(感情恐怖症)」とビリーフの書き換え
「私、今の幸せな状態がずっと続くと思われへんわ」
これは結婚直後に妻が度々、口にしていた言葉だ。
何度も口癖のように繰り返していた。
僕は最初、どういう意図で言っているのかわからず戸惑っていた。
うちの夫婦は交際、一ヵ月で結婚したこともあり、それが不安の種になっていた可能性はあるだろう。
特定の感情を受け取るのが苦手な人を「感情恐怖症(アフェクト・フォビア)」というらしい。
妻は、幸福感を受け取ることに苦手意識があったのだ。
彼女は「幸せすぎて怖い」「こんな状態がずっと続くわけがない」とよく不安になっていた。
不安が大きい人は、ネガティブな感情を受け取ることに慣れやすい。
そしていつしか「ネガティブな感情を感じているのが私にとって当たり前の状態」と思い込むようになり、それが信念になる。
この信念は心理学で「ビリーフ(Belief)」と呼ばれるものだ。
「ビリーフ」は、ずっと一定なわけではない。
経験とともに書き換わる。
「ビリーフ」が書き換わることを、ビリーフチェンジと呼ぶ。
マインドブロックをどんどん外せる人は、ビリーフチェンジが得意なのだろう。
中には、ビリーフチェンジに恐怖を覚える人も。
「現状を維持したい」と考える人にとって、慣れ親しんだ状態から出るのは恐怖でしかない。
ネガティブな状態を受け取ることに慣れすぎると、ポジティブな状態が続くことに違和感が生まれる。
信念は、経験と解釈を通じてできあがる。
繊細で心に傷が刻まれやすい妻は、痛みを伴う経験を経て「幸せになってはいけない」という信念ができあがったのかもしれない。
もちろん「ビリーフ」は書き換え可能だ。
書き換えるには、これまでの信念が「自分の思い込みだったんだ…」と心底、納得できるまで体験を重ねるしかない。
結婚当初、幸せに怯えていた妻はその後、どうなったか?
結婚して7年。妻はもう「幸せが怖い」と言わなくなった。
「ビリーフ」が書き換わったことで、口癖が変化した。
「あなたと巡り合えて、一緒になれたことが人生で一番の幸せ」と、よく言ってくれるようになったのだ。
照れくさいが、それは僕も同感だ。
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