七草なずな

一次創作作品、「星見ヶ丘坂道商店街」を ライトノベルにしてゆるりと載せていけたら。 と…

七草なずな

一次創作作品、「星見ヶ丘坂道商店街」を ライトノベルにしてゆるりと載せていけたら。 と思います。

最近の記事

さみだれとあじさい

2022.06.04〜08 永倉那々奈様主催 合同店「さみだれとあじさい」に参加いたしました。 星見ヶ丘坂道商店街の主人公4人の 梅雨時期の日常を切り取り 描いて、書きました。 会場写真 作家キャプションと作品単体写真 ここからは イラスト単体写真と文章を。 「五月雨の午後」 今日は一日中雨だろう。 ぼんやりと外を眺めていたら聞き覚えのある鳴き声が聞こえた。 声のする方へ視線を移すと全身の毛を濡らしたナツがいる。 はいれ。と声をかけてバスタオルを持ってくる。 座って

    • 幕間 2 -小林真呼-

      ゴポポ…… グワァッ バクンッ 用意した効果音を流し、余計な音が聞こえないように一瞬でスピーカーの音量を下げる。 それと同時に舞台の照明を切り、2秒後にまた照明をつける。 ヘッドホンを外し調整室から足速に出て舞台裏へ向かう。 そして今回の舞台の出番を終えた恋人の姿を見つけ手を取る。 「あ………」 怯えたような表情から、安心して、泣き出した。 優しく抱きしめて、震える背中を撫でる。 「会えましたわ…今度こそ……」 肩で泣く恋人を落ち着かせようと 顎に手を添え顔を上げさせ

      • 星見ヶ丘坂道商店街 2話-品川 蘭-①

        月のない星空の夜。駅前。煌びやかなイルミネーション。 本屋のバイトが終わり徒歩で帰宅しようとする。 冷たい強風に煽られ寒さを感じ、マフラーを付け忘れていることに気づく。 トートバッグからマフラーを取り出すと、バイト前に購入した本が引っかかったのか バッグから飛び出した。 拾う為に手を伸ばすと、先に誰かが本を拾って、渡してくれた。 お礼を言って本を受け取ろうとすると、その人は言う。 「みつけたよ。三ノ宮の王子様」 ======== いつも、そこで目が覚めて「ああ。いつも

        • 幕間 1 -高倉夜斗-

          本日は休診日。 溜まっていた洗濯物を一気に洗い、庭の物干し竿に吊るす。 1人の生活だから、溜まっていたと言ってもそう多くない。 お湯を沸かしてマグカップにいれる。 そこに直接、1杯分ずつパック包装してあるお茶を入れ抽出する。 洋兄さんの所で買った漢方茶。 ブレンドされている茶葉の名前や種類は忘れてしまったがこれを飲むと身体が1日中温かいままで、余計な力が入らずリラックスできる。 なので、休診日の朝食後は必ずこれを飲んでいる。 お茶が抽出されるまで庭に面したテラスにあるガー

        さみだれとあじさい

          星見ヶ丘坂道商店街 1話-高天原 洋-①

          星見ヶ丘は海と山に囲まれた土地だ。 その山の山頂には街の名前の由来でもある、大きな望遠鏡のある天体観測施設のある図書館と、その図書館を挟むように建つ中高一貫の大きな学校がある。 山頂に向かう一本の大きな坂道から左右に枝分かれした横道に、たくさんの店や住宅が並んでいる。 街の人々はその一帯を『坂道商店街』と呼んでいた。 ======== 初めてその女に会ったのは 桜が咲き始める3月の終わり頃。 行きつけのパン屋『ベーカリーほしみ』での事だ。 「今日から働いてもらう近藤(

          星見ヶ丘坂道商店街 1話-高天原 洋-①

          星見ヶ丘坂道商店街-prologue-

          海と山に囲まれた土地。 山の上には街の名前の由来にもなる、大きな望遠鏡のある天体観測施設のある図書館と、その図書館を挟むように建つ中高一貫校。 そこに向かう坂道に、たくさんの住宅や店が並んでいる。 街の人々はそこを 「坂道商店街」と呼んでいる。 そこに向かうには基本は歩きか自転車、もしくは車。 市が経営するバスもあるが、バス停は坂道の中程までしか通っていない。 麓の方には私鉄の電車も通っていて、海側の逆方向に3・4駅程行けば、少し発展している区間に入る。 しかしそこも、大き

          星見ヶ丘坂道商店街-prologue-