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「雷火」藤原カムイ




■ロマンあふれる世界観と精緻な描きこみが魅力の藤原カムイ

こんにちは、ひろつかさです。
今回の古面白い漫画は「雷火」という漫画。

前回まではどれも当時の現代が舞台であり、どうしても時代感が合わないということもあるかと思いましたので、今回は歴史ものです。
舞台は邪馬台国があったとされる紀元3世紀頃を舞台にした冒険活劇ですので、ほぼファンタジーといっていいかもしれません。
イムリやテオゴニアといった作品が好きな人は特に楽しめるのではないでしょうか。

さて、今回の作者、藤原カムイ先生はとにかく森や山、川海といった自然をそのままの迫力で描く能力に長けた漫画家だと思います。
この作品も樹木の巨大さや荒波の恐ろしさなど、今の生活などでは中々感じられない人間がコントロールできない力というものを臨場感あるスケールで描かれています。
「カムイ」という名前自体、アニミズム信仰が深いアイヌ語なので、元々自然崇拝的な意識を持っていたのかもしれませんね。
もちろん、登場人物の成長も丁寧で、同時期に描かれた「ロトの紋章」と同様に少年が大人になるにしたがって成熟していく様は漫画といえど大河ドラマを追っているようです。

■どんな作品?


紀元3世紀頃、倭の国の中心都市「邪馬台国」は、女王・卑弥呼を擁立し、彼女と魏の国より迎えた帯方軍塞曹掾史(いわゆる外交官)・張政を中心とし、新しい時代を迎えつつあった。
そんな折、邪馬台国の近く、熊木山に住む孤児たちの一員で神仙術の使い手、ライカ・オタジ・ウツキたち三羽烏は、ある日山の中で不思議な少女を目にする。少女の名は壱与。邪馬台国次期女王候補の巫女であった。その出会いはライカに強く、国というものの有り方を意識させることになる。その後国に魅せられたライカは邪馬台国へ侵入したが、張政たち魏の人間の策略にはまり、女王卑弥呼殺しの罪を着せられる。卑弥呼を暗殺した張政は魏の権威を利用し、自分に抵抗する力を持たない壱与を女王に即位させることにより、張政自身が邪馬台国を支配、魏の属国にしようと企んでいた。
徐々に明らかになっていく張政の謀略。壱与を中心とした張政とライカ達の戦いは、隣国をも巻き込む戦となっていく。
(ウィキペディアより)https://ja.wikipedia.org/wiki/雷火

古代日本の冒険活劇ということで、邪馬台国や魏といった学校で習ったような言葉が出てくるので想像力やロマンが掻き立てられるのではないでしょうか。
ストーリーとしては、キャラクターのいる世界がどんどん広がるというよりも、自分たちのいる国(日本、特に九州)の中で味方も敵もお互いが力を持つこと、それが世界を支配することやそれ阻止することに繋がっていく...という流れです。
主人公は最初3人組なのですが、やんちゃ・根明・頭脳派と物語としてもバランスの取れた3人組で、そこにヒロインと出会ってということで、話としては非常にオーソドックスながら、王道をここまで丁寧に描き切るという力強さを感じます。

■おすすめポイント


この作品において是非意識して読んでもらいたいポイントは自然の広大さ・力強さです。
話について、序盤はどちらからというと国盗り物語の様相が強いのですが、徐々に世界を我が物にしようとする敵との戦いになっていきます。
ワンピースを始めとする世界を股に掛けた冒険と比べると、あくまで邪馬台国やという一つの国を取り巻く話ですので、ともすればスケールが小さいと思ってしまうかもしれません。
しかし、現代どころか近代にも劣る文明中で生きるの人間と、ありのままに広がる自然界によって、世界に対する人の小ささという対比が際立ち、主人公や宿敵といった人間ひとりが影響を与えることの常軌を逸した力を強く感じることができます。

また、当時の作品の多くが明朗快活なヒーローが主人公であることが当たり前でした(それこそルフィや悟空のような)
それに対して、この主人公は初期の見た目はもちろん性格も明らかに悪童。終盤になって成長し、大人びてはいてもやはり見た目は変わらず鋭い目つきと深い眉間の皴と主人公らしくありません。
今でこそ主人公らしからぬ主人公というのは多くありますが、ダークヒーロー然とした主人公がヒーローになっていく熱い冒険譚としては今でも珍しいのではないでしょうか。

最後に

本作品のように古代日本やそれをモチーフにするような世界観の冒険漫画は多くありません。(私が知らないだけかもしれませんが)
普段読まないような世界観の漫画という面でも、新鮮さを感じて楽しめるかもしれません。
興味を持った方は是非手に取ってみてください!

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