革命は続くことで革命として成就する

アラブの春と呼ばれた中東・アフリカのイスラム諸国における革命運動は、曲がり角に来ているとも言われています。

しかし、かつての各国で起きた革命やそれに類する歴史的事件も、たった一回・数年感だけの活動で社会が一変したわけではありませんでした。

現代の民主主義国家につながる、世界最初の革命があったイギリスでは、17世紀中頃に清教徒革命が起きましたが、そこでガラリと民主政治が始まったわけではありません。同世紀に名誉革命がありましたし、その後も少しずつ革命ではありませんが改革が進められて、今の立憲君主制に基づく議会民主主義が形作られていきました。

フランスではフランス革命が1789年に起こりましたが、その後のナポレオンによる帝政、そして共和政と王制が入り交じった19世紀があり、ナチスドイツに占領され、その後の解放・独立、第四共和政そして第五共和政と続いてきました。

アメリカ合衆国においては、独立宣言、そしてイギリスからの独立戦争を経て独立を果たしましたが、その数十年後には南北戦争によって国家が二分されてイデオロギー間の闘争も起こりました。結果として北軍が勝つことによって今のアメリカ合衆国が改めて成立したと言えます。

ロシア革命とその後のソビエト連邦成立は、民主主義国家につながったものとは言えませんでしたが、いわゆる「短い二十世紀」における壮大な社会主義国家の実験が失敗に終わった後、一応は選挙が行われる民主主義国家となりました。プーチンの強大な権力によっていろいろありますが、最近の政変もプーチンが絶対的な独裁者ではないからこそ権力維持に躍起になっていることから生まれたものと言えるでしょう。

日本では明治維新で大きく変わりました。維新後に憲法発布、議会設立と続き、大正デモクラシーと着実に民主主義国家への道のりを進んではいました。しかし、昭和初期の満州事変から日中戦争、軍国主義化、そして太平洋戦争の果て、今の憲法に基づく日本となりました。

これらの国々の歴史を見ていると、一度の革命・政変などで全てが変わって今の政治体制が出来上がったわけではありません。革命の後、揺り戻しや逆行は大なり小なりどこでもあります。歴史はまっすぐ進むわけではありません。進んでいるときは分かりませんが、終わってみれば曲がりくねった道を作っていった結果が現代となります。

今の中東やアフリカにおいて、2011年のチュニジアで始まり周辺諸国に広がったジャスミン革命が、挫折して独裁者や軍事政権による抑圧が復活したとしても、今後もずっと民主化が出来ないとは限りません。一度の革命で成立するものではないのですから、むしろ挫折の後に、その国に革命と民主化の萌芽を残し続けることが重要でしょう。

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