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属人化と構造化という対極

日本企業の非効率性は、この十数年ずっとあらゆるところから指摘され続けていますが、それほど効率性は上がっていないっぽいです。

1980年頃には、「ジャパンアズナンバーワン」と称えられた日本式企業経営は、バブル崩壊で年功序列・終身雇用という特性が破壊されましたが、欧米に比べて硬直的な労働市場と、「かかせない人」に頼る属人化した業務は変わっていません。

日本企業は終身雇用が前提でしたから、従業員の辞める時期が予測できました。その人がやっている業務がその人にしか分からないようなプロセスや技術によって行われているような属人化が起きていたとしても、その業務を他の人に引き継ぐのは退職する前でいいわけです。

そして終身雇用が崩壊して、いつ誰が辞めるか分からなくなったのに、業務の属人化が減らない状態が続き、誰かが辞めると引き継ぎ時にパニックが起きます。

パニックが起きないまでも、多大な時間と労力がかかりますし、引き継いだ人が業務を言語化・構造化して、誰でも引き継げるようになればいいのですが、そういう企業はえてして人手不足なので、習得した特殊業務を他人に引き継ぐ準備をする余裕も無く、結局また同じ悲劇が繰り返されます。

企業側だけではなくて、従業員側でも問題はあって、属人化した業務ばかりで成り立っている企業を辞めて、他の企業で勤めたときにはまたその企業独自のやり方に慣れる必要があります。

そこで、「うちの会社のやり方」が企業ごとによって大きく異なると、結局は労働市場の硬直化につながります。新しい企業で働くのが大変、上手くやれないと思った人は転職に対して前向きになれません。

逆に、どの会社でも似たような方法で管理していたら、その企業の独自性の肝の部分はともかく、どの企業も似た業務になる部署の従業員は流動的になるでしょう。

その一方で、労働市場が日本よりはるかに流動的な欧米式の企業では終身雇用など無く、従業員がいつ辞めるか分からないため、業務が特定の人の特殊な技能で回さないようになっているんじゃないでしょうか? 外資系企業に勤めたことなどないので知らんけど。

業務が属人化されず構造化されていれば、パソコン業務もRPAツールによって自動化しやすくなります。人口減少、特に労働者人口が減ってくる今後の日本では、効率性向上と合わせて労働者不足を補える自動化ツールは必須だと思います。

労働市場の流動化と業務の構造化は鶏と卵の関係みたいなものでしょうけれど、この非効率性のサイクルを突破しないと、RPAの大々的な普及はないですよね。

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