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自民党の改憲における存在意義

自民党が憲法改正とダーウィンの進化論を結びつけた主張を発信したことで批判を浴びています。

引用の仕方がお粗末で、またそもそも憲法とは何の関係もない進化論を無理矢理持ち込んでいるのはみっともない限りですが、そもそも世間一般で進化論自体が誤解されているような気もします。

今回の問題でソーカル事件も想起してしまいましたが、あれは物理学者が数学や物理学の用語を適当にちりばめた社会科学の論文を適当に作成して問題提起した事件ですので、そもそも進化論を理解していない自民党関係者が起こした今回の問題はまた別ですかね。どちらかというとボグダノフ事件の方が近いでしょうか。

ソーカル事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ボグダノフ事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

理系の用語・理論・概念などを文系の分野に安易に流用する、ということは学問の世界においてというよりも、コラムやエッセイやマスメディアなどの方がよく行われているかも知れません。いわゆる疑似科学みたいなものですが、よく知らない用語を連発しているような主張は胡散臭いと思っておいてそんはしないでしょう。

ところで自民党が改憲を主張するのはそもそも党綱領に載っているように、自民党の存在意義でもあるからです。

そうはいってもずっと改憲出来ていませんので、端から見ていると改憲することが存在意義というよりは、改憲を主張することが存在意義のようになってしまっています。改憲改憲と言い続けていれば改憲勢力と見なされますので、改憲を志向する有権者の支持はある程度集められます。その一方で、実際には改憲を実施できていないので、改憲が嫌な人にとっても投票することに罪悪感は覚えないという見方も出来ます。

福本伸行の漫画「賭博黙示録カイジ」に出てくる利根川幸雄の台詞になぞらえると、

「この自由民主党、こと憲法改正に限り虚偽は一切言わぬ 改憲する・・・・・・! 改憲するが・・・・・・今回まだその時と場所の指定まではしていない そのことをどうか諸君らも思い出していただきたい つまり・・・・我々がその気になれば憲法改正は10年20年後ということも可能だろう・・・ということ・・・・!」

とこんな感じでしょうか。

今回の件で自民党は改憲に関して世間的に悪い評判が立ってしまったでしょうが、それほど気にしていないかも知れません。改憲しなくても自民党は存在できるのですから。

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