ミッドウィーク・マジックが職工だったので、これまで組んだデッキを全部持ち込んで乗り込んだ話。
職工おじさん、はれのちしとどです。
よろしくお願いします。
今回は、MTGアリーナ内のイベント『ミッドウィーク・マジック』にて、待望の「ヒストリックの職工」が開催フォーマットになりましたので、これまで掲載してきた「使えそうなデッキ」が、「本当に対人戦で使えるデッキ」なのかを実戦にて検証してきました。
◆はじめに
今回は過去に考案したデッキをすべてミッドウィーク・マジックで使用しましたので、各デッキそれぞれについて「BO1での使用感(10段階)」と改善点などの雑感を交えながら感想を書き残しておこうと思います。
「BO1での使用感」については、今回のイベントでは、対戦形式が1本先取(Best Of One)であり、サクッと3勝を挙げるために、【赤単果敢(バーン)】や【呪禁オーラ】などのメイン戦で有利が付きやすいアーキタイプが人気ですので、それらとマッチしたときの評価が基準になります。
改善点などについても、あくまでBO1を基準として環境に上記のデッキが多い前提にはなってしまいますが、結局メイン戦1本目を取れるデッキはBO3でもそこそこ強いので、多少なり今後の参考にはなると思われます。
それでは、次項より本題を始めます。
※実際に対戦したライブ配信のアーカイブを先にご覧になりたい方は、以下のリンクよりどうぞ。全部で4時間弱ありますが、タイムスタンプもおおまかに付けていますので、大体見たいデッキのところから視聴できます。
◆菓子職人の奥の手コンボ(黒緑フード)
・BO1での使用感 4/10点
やはりコンボに使うパーツが多いため、準備に手間取っている間に走り抜けられてしまいます。序盤に《よろめく怪異》を立てるよりは、単純に軽い除去を増やして時間を稼いだ方が強いかも。
【呪禁オーラ】を想定するのであれば、新たに《税血の刃》を採用することで《命取りの論争》などとも噛み合いが良く、《熱狂的な献上》も追加されているので、よりアーティファクトを使う方向に振り切ることも考えておきたいですね。
また、実戦では《奥の手》で少しずつライフを詰めていく場面が見られたので、コントロールしながらゆっくり20点を削るプランに舵を切れるようにも考えておいた方が無難だと思います。
◆きらきらジンジャー(白青グリッター)
・BO1での使用感 6/10点
こちらの戦術を押し付けていくタイプのデッキなので、BO1の環境にはある程度順応していたと思います。しかし、良くも悪くも多色のデッキの特徴が出てしまい、特に色が噛み合わなかったときのテンポの悪さは改善したいところです。
テンポの悪さについては、配信中に試してみた青単への変更にて緩和できそうですので、《きらきらするすべて》などの白のカードについては諦めることになりますが、『イクサラン:失われし洞窟』で登場した《生命ある象形》など置き換えられるカードもありますし、単色にしてスピード感を得るのも悪くないでしょう。
また、身を守る手段として打ち消しである《金属の叱責》をメインに採用していますが、強化したクリーチャーで押し切ったら勝ちなので《とんずら》や《潜水》などの1マナで除去を回避できる呪文の方が、よりコンセプトに合致している気もします。
◆緑単液鋼ランプ
・BO1での使用感 8/10点
事故の少ない単色の構築であり、加えて土地の破壊を目論むアンフェアな動きもある特殊なデッキ。【赤単】にはライフ回復とサイズで対抗できますし、【呪禁オーラ】に対してはメインからオーラを剥がす手段が豊富にあるため、BO1での立ち位置は悪くなかったと思います。
どんなパーマネントであろうと《液鋼の塗膜》でアーティファクト化して破壊できる点も、柔軟性があってBO1でコントロールをやる上での安定感を生んでいます。
特に現状で改善したい点は見当たりませんが、20枚まで絞っているのに《耕作》や《豆の木》で引き込んでしまって土地が手札に余るので、そこをアドバンテージに替える手段があればより伸びそうだと思いました。今後の課題です。
◆ボロス・シンセサイザー(守護者特化型)
・BO1での使用感 6/10点
腐っても【ボロス・シンセサイザー】なので安定して戦えている感じはあったのですが、如何せん《大いなる扉の守護者》を4枚積みしているのが危なっかし過ぎました。ただでさえ不安定な《実験統合機》がよりピーキーな装置になってしまうので、併用するのは考え直した方がいいかも知れません。
【ボロス・シンセサイザー】系のデッキはこの後も2つあります。
◆鬼流艦隊(グリクシス海賊)
・BO1での使用感 4/10点
「動き始めたら強い」の典型でしたので、別に3色にしてまで《鬼流の金床》を足さなくても良かったんじゃない?という印象。コントロールではないので、テンポの悪さをカバーできないのも良くありませんでした。
今だと『アルケミー:イクサラン』で《土地伝承の案内人》が追加されましたので、青赤の2色に絞ってガンガン攻撃しながらサイズを上げる海賊+アーティファクトのアグロの方がまとまりがありそうです。
◆緑単探検
・BO1での使用感 5/10点
やはり、単色は色事故に悩まされないのが強い。「探検」とエルフたちによってマナが伸びやすいので、《ヒカリタケのランタン》の装備コストも問題なく払えていました。
赤単相手には《野茂み歩き》を生き残らせるのがキーですので、対処されないようにクリーチャーを展開する順番に注意した方が良さそう。また《ランタン》や《一往一来》の対象をすべて除去されて「探検」自体を封じられる展開も厳しかったので、除去コントロールとして動ける相手は全般に難しいかも。
《獣群のベイロス》の最速展開を狙うブン回りは楽しいデッキでしたので、あくまでカジュアルな立ち位置という印象でした。
◆ケイヴ・フォール(アブザン洞窟)
・BO1での使用感 1/10点
配信中におそらく唯一「ムリ」なので使用をやめたデッキ。
速攻デッキの多いBO1環境では分が悪すぎました。
赤を触って《壊滅的な陥没》を数枚採用して中盤からの巻き返しができるようにするなり、黒の除去を増やして序盤の立ち上がりを安定させるなりの変更を加える必要があります。
《コウモリの群棲》と各種洞窟で粘り強く戦えるテーマだけに、もう少し活かせるように考えてあげたいですね。
◆ゾヨワ・バーゲン(赤黒サクリファイス)
・BO1での使用感 9/10点
スタンダードやパイオニアの構築シーンで活躍する強力なカードをふんだんに投入してあるので、《ゾヨワ》がどうこう以前にベースにあるデッキが強い。さすが【ラクドス・サクリファイス】。
《波乱の悪魔》を筆頭に勝ち筋がたくさんあるので、除去の的になりやすい《ゾヨワ》から対象が散ることになり、結果的に盤面に残りやすかったのも良かったです。各種システムクリーチャーを回収できる《ダンバロウの復興論者》も、狙い通り置き物が多いこのデッキと噛み合っていました。
贅沢を言うなら2枚くらいは、もう少し範囲の広い除去に枠を取っておきたいかなと思います。
◆青黒フェアリー
・BO1での使用感 7/10点
フェアリーと忍者の相性の良さについては、古来よりPauperで散々実証されていますが、職工でも健在と言って構わないと思います。
ただ、ドローソースが忍者頼りである部分は否めず、単体除去に非常に弱いのが気になります。職工の環境は、アンコモンがある分だけPauperよりも除去が強いので、もう少しメイン戦の防御力を高めても良いのかなと思いました。
加えて、BO1環境の速攻デッキ相手には《呪文どもり》があまり役に立たない点も厳しい。《致命的な一押し》に替えるなどして改善したいところ。
◆アブザン出来事
・BO1での使用感 7/10点
思ったより悪くなかった印象。《エッジウォールの亭主》や《クラリオンのスピリット》などのシステムクリーチャーを《森林地の侍祭》で回収できる点が光っていたように思います。
粘り強くアドバンテージ勝負を仕掛けることも、小粒で速攻を仕掛けることもできることから、職工環境での立ち位置は存外に悪くないのかもしれません。もう少し突き詰めてもいいな、と思ったアーキタイプでした。
◆ボロス・シンセサイザー(アッシュ型)
・BO1での使用感 7/10点
「祝祭」に全力で寄せたので、《アッシュ》が生き残ると強いし、《アッシュ》がダブると弱い。そもそも、【ボロス・シンセサイザー】がパーマネントの出し入れをしながら戦うことに長けていますので、ノイズになる恐れはありますが、今後の同タイプのデッキを組む際にも《アッシュ》を1~2枚採用しておくことは考えられるかもしれません。
《刃砦の戦鞭》に関しては、実戦に持ち込むとやはり重さが目立ちましたので、《アッシュ》同様に枚数を減らすなり《逆棘の叩拳》に替えるなりの工夫が必要かなと思いました。
また、このデッキではタップインの2色土地を基本土地に替えつつ、《予言のプリズム》を採用することで、「テンポ」と「色の安定」の両立を図りましたが、これに関しては割と成功かなと思います。
◆カササギ・ガーデン(青黒コントロール)
・BO1での使用感 7/10点
重コントロールなので、高速環境ではきつい立ち位置ではありますが、対応力の高さから切り抜けられることも多かったので、アグロを狩りにきたミッドレンジを狩ってメタを回し、たまにアグロにも勝てていた印象。
ミッドウィークで使用したデッキは《覆いを割く者、ナーセット》を3枚、《宝船の巡航》を1枚採用して、すでに形を変えた状態ではあったのですが、それらのカードも大変良い働きをしてくれました。
Pauperの【青黒テラー】に倣って、メインボードから《予想外の牙》を採用するなどしておくと、赤を相手に火力1発の致死圏から離れることができるので、まだまだ弄り甲斐のあるデッキです。
◆青緑探検型マーフォーク
・BO1での使用感 6/10点
対応力の低い力押しのマーフォークになっちゃった感じでした。土地が伸びるので、その点では非常に戦いやすかったですが、それを理由に採用した《遠くの旋律》は4枚もいらなかったかなと思います。
メインに《野茂み歩き》の採用がないので、《陥没穴の偵察》に関しては《霧まといの川守り》の枚数を優先してライフを詰める手段を増やした方がいいかなと思います。いっそ、全部抜いて《マーフォークのペテン師》辺りも採用していいかも。
結局、《トンネル案内》さえいてくれたら「探検」はできるので、従来使われてきた強いマーフォークを抜いてまで、探検型に寄せ切る必要はなさそうです。
◆黒単吸血鬼
・BO1での使用感 9/10点
強いクリーチャー、強い除去、強いサポートカードが揃って、単色でテンポも良いので使用中のストレスがとても少ない。
赤単とマッチしても絆魂持ちのクリーチャーでライフレースを許さないので、BO1環境での立ち位置も良い感じです。
ただ《闇の後見》に関しては、赤相手に置いているヒマがないので、BO1では枚数を減らして除去を足すのが無難。
◆マルドゥ・シンセサイザー
・BO1での使用感 9/10点
【シンセサイザー】系デッキの個人的な集大成にしたかっただけあって、なんでもできて満足度は非常に高かったです。ちょっとタップインの土地が多いかなとは思ったので、そのあたりに手入れは必要かもしれません。
《道の探求者》のおかげで赤単相手にも強気に出られるので、BO1でも十分戦える構成になっていたと思います。
◆おしまい
今回は、これまで構築してきた様々なデッキを、実際にイベントで好きなだけ試すことができ、想定していたものとは違うBO1環境ではありましたが、得られた使用感は今後の職工探究へのかけがえのないフィードバックになると思います。
ここまで読んでいただいた皆様も、よき職工ライフを。
ご清聴ありがとうございました。
※各デッキの掲載記事内に、MTGアリーナに直接インポートできるテキストファイルを添付してありますので、よかったらご利用ください。
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