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記憶の継承ールワンダ大虐殺から30年ー

80万人以上が犠牲になった1994年のルワンダ大虐殺から、今年4月7日で30年を迎えました。
私は大学3年生のとき、現地のNPOにインターンとして受け入れていただき、ルワンダに1ヶ月半滞在したことがあります。
あれから5年。
私にとっては、大虐殺のことも、ルワンダで過ごした1ヶ月半のことも、忘れたくない、忘れてはいけない、みんなにもっと知ってほしいと思うことの1つです。


ルワンダで起こったこと

「ルワンダ大虐殺」で検索すると、たくさんの情報が出てきます。なぜ起こったのか、どれくらいの被害だったのか。いくつかの検索結果を見るだけで、どれだけ世界に衝撃を与えた出来事だったのかがわかります。そして、「同じことが2度と起こりませんように。」誰もが、そう願うと思います。

経験を語り継ぐ方たち

当時の大変な状況を乗り越えて、いろいろな所で自身の経験を語り続けてくださっている方たちがいます。私がルワンダに滞在中、お世話になったNPOの代表の方も、その1人です。ルワンダに行く前、大学で講演に来てくださったときのお話の中で、今でも忘れられない言葉があります。
「家族を守る、と言って男性は家を出て戦いに行く。でも本当に家族が危険な状況にあるとき、家にいないでどうやって家族を守るのか。」
「1人1人が教育を受けていれば、戦争は起こらなかった」
講演を聞いた当時、数ヶ月後にルワンダに行くことを考えていたにも関わらず、ルワンダの歴史について、私はほとんど知りませんでした。
「戦争」というものがどういうものなのか、日本で当たり前に受けていた教育が、いかに大切なものだったのかを実感しました。
実際に大虐殺を経験された方から聞く言葉の1つ1つが、ずっしりと重く感じられたことを覚えています。これが、私が初めて「戦争を体験した人から直接話を聞いた」経験でした。

現地の資料館で見たもの

ルワンダに到着した次の日、キガリ虐殺記念館(Kigali Genocide Memorial)に行きました。英語力が乏しく、書かれた説明文の全てを理解することはできませんでしたが、被害にあった方々の写真など、文章以外の資料からも、十分に被害の大きさを知ることができました。

また別の日には、研究でルワンダを訪れていた大学のゼミの先生と一緒に、地方にあるいくつかの資料館を訪れました。キガリにある資料館のような大きな場所ではなく、当時、人々が避難していた教会がそのまま資料館になっている場所もあったと思います。そこでは、資料館を管理されている方から直接話を聞くことができました。

現地で出会った方々

インターンとしてお世話になったNPOの代表の方を含めて、当時ルワンダで出会った大人はみんな、大虐殺を実際に経験した方々でした。中には、私と年齢の近い20代の方から話を聞くこともありました。この経験がなければ、ルワンダの大虐殺は私にとって、江戸時代のことと同じように「教科書の中の出来事」でしかなかったと思います。実際に経験した人から話を聞くことで、目の前にいる人の今の生活と、大虐殺は繋がっていて、全く「歴史の中の話」ではないことを感じました。

「記憶の継承」とは

ルワンダや日本に限らず、どの国、地域にも戦争の歴史があり、同じことを繰り返さないようにと、その経験、出来事を語り継ごうとしている方々がいます。広島や長崎でも、被爆者の方々やそのご家族、伝承者として学んでいる人など、本当にたくさんの方が力を尽くしていらっしゃいます。これからますます、戦争を経験した世代の人口が減っていき、戦争を知らない世代の人口が増えていきます。そして、世界に目を向ければ、戦争が起こっている現実があります。

戦争を過去の出来事として、教科書の中の話として学習するだけでは、これからも世界から戦争はなくならないと、私は思います。だからこそ、私は直接、戦争を経験された方々の話を聞いてほしいです。広島、長崎、沖縄、ルワンダ。どこからスタートしてもいいです。直接話を聞いて、感じたことを家族や友達に伝えてください。そんなことで何が変わるのか、と思うかもしれません。でも私が、ルワンダや広島について知ったことを家族や友達に話すと、みんなニュースやSNSで見聞きしたときに、以前より関心を持ってくれるようになりました。「身近な人から聞いたことがある」というのは、人が新しいことに関心を持つ、大きな1歩になると思います。そうした連鎖が続くことが「記憶の継承」になると、私は信じています。

魅力がいっぱいな国ルワンダ

日本人からの視点だと、「アフリカの国」「発展途上国」と聞くと、「貧しい国」「支援が必要な国」というイメージを持つ人が多いと思います。特にルワンダは、名前を聞いただけで、大虐殺という悲しい歴史と結びついてしまいます。確かに悲しいことが起こってしまったけれど、今のルワンダで生きている人たちは、強く、優しい人たちばかりで、街中も、海外にいるときに気をつけないといけない基本的なことを守っていれば、決して危ない国ではありません。もし興味を持ってくださった方がいたら、過去に書いた投稿も読んでみていただけると嬉しいです。


最後に

ルワンダに行ってから随分と時間が経ってしまったこと、現在オーストラリアにいて、当時書いていた日記やメモが手元になくて、曖昧な記憶のまま書いていいのかと、投稿することをためらっていました。でも、お世話になったNPOの代表の方から、ご自身が取材を受けられた新聞記事を送っていただき、このご縁と、誰かが新しいことに関心を持つ連鎖の一部になりたいと思って書きました。
興味を持ってくださった方がいたら、下記の記事も読んでいただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました💐


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