見出し画像

目の前の仕事に全力投球すれば、キャリアは後からついてくる〜人事のなべはるさんのキャリア〜

HR CAREER LABは、人事のキャリアについて深掘りするメディアです。
日々同じように頑張る「社外のライバル」や「一歩キャリアの先を行く人」を知り、彼らの歩んできたキャリアや挑戦、成功と失敗について知ることで、勇気をもらえる。明日からの業務でもう一踏ん張りできる。そんなメディアを目指しています。

今回は、アナグラム株式会社の人事担当、"人事のなべはるさん"こと渡邉さんにこれまでのキャリアについてお伺いしました。

この記事の注目ポイント💡
キャリアの語源は「轍(わだち)」なので、キャリアは"自分が歩いた後ろにできた道を振り返るもの"という捉え方もできるんじゃないか。というお話が非常に印象的でした。

会社にとって必要な仕事、会社に貢献できる仕事に全力投球した結果、スキルを手にしてきた、と語るなべはるさんに、これまでのキャリアについてお伺いしました。

インタビューの続きは、人事のための無料コミュニティ「ひつじんじ」にて限定公開しております。コミュニティへのご参加申請はこちらよりお願いいたします。


インタビュイーのご紹介(人事のなべはるさん)

<略歴>
人材ベンチャーでの営業、SIerでの新卒採用担当を経て、株式会社フィードフォースに1人目の人事として入社。人事業務全般を経験し、2021年からは主に採用広報と労務に取り組む。2023年にグループ会社のアナグラムへ転籍し、現在は労務を中心に人事業務全般を担当する。
「人事のなべはるさん」として人事・組織・漫画のことを中心に定期的にnoteを投稿している。
SNS:https://twitter.com/nabeharuj
note:https://note.com/nabeharuj

なべはるさんが「人事」になるまで

人事という仕事に興味を持ったのは、大学時代に「経営組織論」を専攻したことがきっかけでした。ゼミで論文を書くために人材マネジメントの本を読み、企業の人事の方にインタビューをしたのですが、みなさん「本に書いてあることが現場だとうまくいかない」と言っていて、理論と実践に差があることを面白いと思いました

一方で、新卒では人材ベンチャーに入社し、いわゆるヘッドハンターの仕事をしていました。新卒では人事の募集があまりなく、いきなり人事をやって人事に興味が持てなかったらどうしようかと不安に思う気持ちもあり、当時は人事には応募しませんでした。

3年程仕事をした頃に、まだ自分の中に人事をやりたい気持ちが残っていたことに気づき、次は人事のキャリアを目指して転職活動を始めました。
ただ、当時はリーマンショック後だったこともあり人事職は競争倍率が高く、書類選考すらも全然通らない時代でした。その中でご縁があった大手ITベンダーのグループ企業に新卒採用担当として入社しました。

2000人規模の会社で、年間50-60人くらいの学生を採用していました。新卒の採用担当はやりたかった人事の仕事ということで、やりがいもあり、とても楽しかったです。想定していた人事業務と実際の業務とのギャップはありませんでしたが、今振り返ると評価制度や規程等には関わらず、新卒の採用担当だけの狭い範囲に取り組んでいたので、ギャップを感じるほどの経験はできていなかったのかもしれません。

そのまま新卒の採用担当を経験して4年ほど経った頃に「人事としてより幅広い経験を積みたい」という思いが出てきました。当時は人事だけでも30人近くおり、細分化された業務しか担当できなかったんです。このまま社内で幅広い人事業務を経験しようと思うと10年以上時間がかかることに気づき、そんなには待っていられないということで、転職活動を始めました。

大企業のグループ企業は一見安定しているのですが、このまま分業された狭い範囲での経験が続いて専門性が狭くなった状態で、万が一会社がなくなったら…という風に考えると、リスクがある環境だと薄っすら思っていました。一方で、一社目がベンチャー企業だったこともあり、転職に対する心理的なハードルはありませんでした。

フィードフォースの1人目人事へ

フィードフォースへの転職は、社長と面接で1時間半くらい話して、お互いにフィーリングが合うと感じたので、すぐに入社を決めました。フィーリングが合う社長の直下で人事の立ち上げができる環境はとても貴重ですし、当時は「自分の今の実力では通用しない」ところで働いてみたい気持ちも強く、フィードフォースで1人目人事として人事の立ち上げに挑戦したいと思いました。

入社半月後にあった全社会議で全てのチームが「採用が課題だけど、人事が入社してくれたのでこれで大丈夫です!」と言っていて、ものすごくプレッシャーを感じたことを覚えています。「大変であること」と「やりがいがあること」は表裏一体だと思っていたので、プレッシャーもやりがいだと捉えていましたが、一方で「3ヶ月頑張って全然成果を出せなかったら、会社の迷惑になるから自分から辞めよう」と心の中では思っていました。今思えば、結構追い詰められていましたね(笑)。

そのようなプレッシャーの中でも頑張れた理由は、「自分が頑張って結果を出せば、みんなが喜んでくれて、会社が成長していく」という、頑張りやすい構図になっていたことです。仕事で、自分の頑張りと会社の成長がイコールになるような機会はなかなか得られないので、やりがいは充分にあり、あとは自分が頑張るだけだと思っていました。

その後も、採用以外の組織課題や人事に限らないバックオフィス業務など、会社にとって必要なものは何でも引き受けることで、結果的に自身の経験やスキルの幅が広がっていきました。新卒を採用したから新卒研修をしないと!上場を目指すために情報セキュリティをしっかりしないと!コロナ禍に対応するためリモートワークを整備しないと!といった形で、特に「キャリアやスキルを広げよう」と計画してやった訳ではなく、会社にとってその時々に必要な仕事を引き受けた結果、スキルが広がっていきました。

アナグラムへの転籍と労務の楽しさとの出会い

上場後、フィードフォースはM&Aによってホールディングス企業になりました。「せっかくホールディングス化したんだから、フィードフォースにこだわらずグループ内で役に立てることがあればやります」とあらかじめ伝えていたところ、現職のアナグラムとご縁があり、転籍しました。

最近は、労務は実はとてもクリエイティブな仕事かもしれないと気づいて、とても楽しいです。例えば法改正に対応する際、法律を保守的に解釈して機械的に運用するのは実は簡単なんです。ただそうすると、運用が面倒になったり社員が働きにくくなってしまう可能性があります。

そこで、法律はしっかり守りつつ、運用が楽になったり社員が働きやすくなるよう自社の規則や制度に落とし込む方法を考える。ここが労務の腕の見せどころで、楽しいと感じています。

今後についても、明確な目標やこだわりは設けずに、会社の役に立てることだったら何でもやりますというスタンスで仕事を続けたいと思います。その上で、強いて言えば労務は今面白いと思っているので、もう少し深めてみたい気持ちがあります。労務で継続的に情報発信している人は少ないので、その辺りにも興味があります。

目の前の仕事に全力投球すれば、キャリアは後からついてくる

キャリアについては何か確固たる方針や戦略はなくて、その時会社に必要なことや会社に貢献できることをやれれば、後でついてくるものだと思っています。

以前にnoteで書いたのですが、キャリアの語源は英語の馬車「carriage」の「轍(わだち)」からきている説があり、そうするとあくまで自分が走った後ろにキャリアはできるもので、計画するものではなくて、振り返るものだと思っています。

もちろん、自分で将来の目標から逆算してキャリアをプランニングできる人はキャリアの先を考えても良いと思うのですが、自分のように将来の目標を立てるのが苦手な人は無理に立てなくて良いと思うし、できない方が普通だと思います。その代わり、会社にとって必要な仕事だったり、目の前のことを頑張ってやっていればそれでよくて、自然とその後ろにキャリアはできてくるものだと思います。

自分のキャリアをふと振り返ったときに、「圧倒的な専門性がない」「器用貧乏になってしまった」ことに、悩みかけた時期がありました。ですが今は「器用貧乏」は褒め言葉だと思えるようになりました。なぜなら、「器用貧乏」は裏を返せば、会社にとって必要なことをやってきた証明でもあるからです

転職市場の市場価値に表すのは難しいかもしれませんが、今の会社にとって必要なことを見つけて対処できるのであれば、それは会社にとって大事な人材だし、自分自身は「器用貧乏」と言われることは悪くないなと思っています。


キャリアインタビューを最後までお読みいただき、ありがとうございました。インタビューの後編は人事のための無料コミュニティ「ひつじんじ」にて限定公開しております。コミュニティへのご参加申請はこちら よりお願いいたします。

後編目次
ー1人人事で孤独にならずに成長を続けるための「コツ」
ー経営と目線を合わせるためにやっていることは?
ー人事のなべはるさんとして、アウトプットを続ける理由

また、HR CAREER LABでは今後もHR・人事の方のキャリアの参考になる情報をお届けしていきますので、よければぜひいいね・フォローもお願いいたします!