見出し画像

【原千晶さん】インタビュー(2)

原千晶さんのインタビュー第2回目では、1度目のがんを終えて、再発までの当時の思いを語っていただきました。

前回のインタビューはこちら→【原千晶さん】インタビュー(1)


1日でも早くがんだったことを忘れたい。

ー1度目のがんを終えたあと、生活の変化はありましたか?

正直なところ、何も変わらなかったです。勿論いつも頭の隅で「自分はがんだった、もしかして再発するかもしれない」と考えていましたし、病院にも手術後2年間ほどは定期的に通っていました。けれど、30代前半で、恋愛や結婚、出産している友人が多くいて、自身も仕事をコンスタントにいただいていたこともあって、病気であった自分を悟られたくない、絶対に知られたくないという気持ちでいました。何食わぬ顔をして過ごして、とにかく1日1日がんだったことをどんどん過去のことにして、病気と関係なく生きていこうとしていました。

ー定期検診にはどの位、通っていらっしゃったのですか?

定期検診には月1回通うことになっていました。普通は手術後半年から1年大丈夫だと頻度が減っていくものなのですが、私は2年間通って1度も先生からじゃあ来月から3ヶ月にしようか、と言われることはありませんでした。先生は、いつ再発してもおかしくないと思っていらっしゃったのですね。周囲の友人をみても、大学病院のきちんとした診察券がお財布に入っているのは自分だけではないか、なぜ自分だけ毎月大きな病院に行っているのか、という卑屈な思いもありました。タレントという職業もあって、病院にいくときには誰にも気付かれないようにしてましたね。何人たりとも私の病気についてふれるな、という感じだったと思います。

再び悪くなる体調。やっと病院へ足を運ぶと、、、。

ー2度目のがんは、いつごろ発見されたのでしょうか?

手術から2年後の2007年の春、たまたま仕事が忙しかったこともあり、検診をお休みしました。1度行かなくなると、そのあともずるずると休みつづけ、気がつくと3年近く経過していました。
検診に行かなくなり3年が経過した2009年の年末頃、また体調の異変を感じ始めました。出血量やおりものの変化に不安になりながらも、診察券がみつからない、先生に合わせる顔がないなど、また自分の都合のいいように考えて、しばらく放置していました。でも、12月の頭に未だ経験したことのない腹痛に襲われて、倒れてしまったんですね。そこでようやく、「これはまずい」と思い、子宮頸がんの時最初にいったクリニックに行くことにしました。初めてクリニックに行ったときから5年が経っていました。
クリニックでの診察を終えて、私は思い切って「がんですか?」と聞きました。そこで先生に「今ここでははっきりとは言えない。ただ私から言えるのは、前回の診察から5年、再び診せていただいて、5年前のあなたの子宮の状態とはもう全く違うものになってしまっている。だから、とにかく大きい病院に行ってください。」そう言われたんです。その2日後には新しく紹介していただいた病院に行っていました。

ー再びがんを宣告された時のことについて教えていただけますか?

通院を中断してしまい前の病院には行きづらかったので、新しい病院にいったところ、そこでかなりはっきりとがんを宣告されました。
診察台に上がるなり、先生に「うわー、まずいねこれ」と言われました。恐怖で泣きながら、震えながら、看護師の方に落ち着けてもらいながら内診を受けたことを覚えています。
結果としては子宮頸部に腺癌が広がり、ⅠBの2期に入っていました。クリニックの時点で、がんだということは自分で分かっていたため、今度こそ子宮を全摘出しなければいけないと覚悟はしていました。でも先生から「子宮全摘するなんかでは済みませんよ。広範子宮全摘手術(※1)を受けてもらいます。」と言われたんです。今はインフォームドコンセントといって患者が治療の経過やどういう状態かを家族含めて全て説明されるので、びびりまくってしまいましたね。
さらに、標準治療として、手術が無事終了した後に抗がん剤を6クール受けてもらう、とも説明されました。「抗がん剤」という言葉が先生から出てくるとは夢にも思っていなかったので本当にショックでした。私の中で手術は悪いところをとる、というポジティブなイメージであるのに対して、抗がん剤治療や放射線治療は「本気のがん治療」「本当の治療」そんなイメージだったんです。そのときは、打ちひしがれて涙しか出ない、本当に情けないけれど、助けてください、死にたくないです、そんな状態でした。
これがきちんと検査に通わなかった、がんと向き合わなかった結果ですね。

【原千晶さん】インタビュー(1)

【原千晶さん】インタビュー(3)

※1:子宮本体だけでなく、膣の一部分から骨盤のリンパ節まで、子宮周囲の組織を広く切除する手術。

独立行政法人労働者健康安全機構九州労災病院「がん治療~子宮頸がん」https://kyushuh.johas.go.jp/cancer/disease/12-uterus_n.php , 2021/9/22 閲覧


画像1

【この記事を書いたのは】インターン生 三井日紗子 普段はHatch Healthcare株式会社で、PR活動を担当。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?