誰得ドット絵メイキング『毒の沼地』
今日は『毒の沼地』ドット絵メイキングです! ドット絵雑談とメイキングを続けてやるなら、前編・後編にすれば良かった!
毒は紫で!
前回お話ししたように「毒は緑か紫か」には議論の余地があるとしても、マップパーツとなれば"草原の緑"と対比する都合もあり、毒沼の色は"紫"で決まりです!
以前作成した草原パーツ(キャンバスは24x24)をもとに、緑を紫に塗り替えるところから作業を開始しましょう(手順①)。
手順②では、まず上面に沼の「うねうね」感を出すため線を描きます。
ここで大切なのは、暗色の線を引くときに、線で囲まれた部分がいくつかの"丸いエリア"になるように意識しておくことです。ファミコンRPGの「海」でよく見た、"水紋"っぽい表現にするのです。
これだめ小さいパーツで海との違いを強調するのはなかなか難しいのですが、今回は線の先をちょっと丸めた「くるりんポイント」をいくつか作ることで「沼っぽさ」を演出してみました。
続く手順③では、側面にも暗色の線を入れていきましょう。
沼の「ドロドロ感」もほしいので、側面の土部分に影を落とすことで境界をハッキリさせ、毒沼部分を少し浮かせてみました。
あとは沼の上面に"気泡"が浮いている様子を加えたいところ。とはいえ気泡をリアルに描くドット数はないので、明色の"点"をいくつか散りばめることにします(手順④)。
気泡は、手順②で意識して作っておいた"丸いエリア"を中心に配置していきました。1色しか足してないわりにはファミコンからスーパーファミコンくらいの進歩があった気がするのでこれで良しとしましょう(ポジティブ思考)。
さて、これにてできあがり……
と言いたいところなのですが、沼の描き込みが強く情報量が多いので、土部分が「ベタ」なのが気になります。となりに草原パーツを置いたときもバランスが悪くなりますから、この際、土や草原も描き込みを増やしましょう。
こうやって、ドット絵は段々とタイヘンになっていきます。
土をアップデート!
世間では「自分をアップデートせよ!」なんて"煽り"をよく目にしますが、なんだか疲れちゃいませんか? あまり上ばかり見ても仕方ありませんから、地に足がつくところからやっていきましょう……というオチそうでオチないことをぼんやり考えつつ、基礎となる「土」パーツの描き込みを始めます。
ドット絵は、ぼんやりやりましょう(大事)。
土は基礎として大切なパーツではあるのですが、基礎だけに「あまり目立たせたくない」という事情があります。そこがちょっと難しいかもしれません。
描き込みは、ベタだった土面に"粒々"を置いていくことで行ないます。置く位置は「大体ランダム」という感じでいいのですが、問題は色。毒沼の気泡のように明度に違いをつけてしまうと、目立ちすぎるんです。
そこで今回は、ベースの土色よりも少し"黄色寄り"にしたものと、少し"赤色寄り"にしたものをそれぞれ粒として加えることにしました。黄色寄りにするだけで少し明るめに、赤色寄りは逆に少し暗めになるので、「ザラザラ感」は出るけど、「凸凹感」までは出ない、という目論みです。
また、側面は上面と違ってあまり情報量を増やしたくないので、ベースの土色部分に少しだけ暗めの色を加えることで"ベタ感の解消"を行ないました。黄・赤の粒々も、上面との境界あたりにしか配置していません。上面は乾いたイメージ、側面は湿ったイメージにしたつもりです。
草地もアップデート!
続いて草地もアップデートして、情報量を増やします。
草地の場合は土とは逆で、立体感をつけたいので明暗差を出していきます。
ただし、色味が近い色だけで構成すると"人工芝"っぽくなってしまうので、色味の違いも必要です。ベースの緑色はそれなりに青味が強いので、新色にはより黄色味が強い色を使うことにしました。明色は彩度が高い黄緑、暗色は彩度が低い黄緑です。
また新色の配置は、毒沼とは逆に"丸いエリア"を作らないようにすることで、草同士が密集している感じを損なわないようにしました。
合体!
さて、あとはアップデートした土と、毒沼・草地を合体させるだけ。
毒沼は色が濃いので、かえって側面の方が乾いたイメージになりました。でも、これでいいと思います。地面の上から「毒が染みてくる」という感じが出ますからね(超ポジティブ思考)。
草地の方は、草と土との境界線を中間色(緑だかかった茶色)にしました。これは、草が浮き上がっているようには見せたくないためです。
原発も修正
ところで、毒の発生源である福島第一原発のドット絵も、実は以前描いたものを描き直して使っています。
このように古い方は少し低い視点で見ているため、マップパーツとは角度があっていなかったわけです。杜撰な作りの方がリアルな原発らしくはあるのですが、説明しないとただの駄目駄目ドット絵だと思われるだけですから修正!修正!
ま、古くても新しくても危険性は同じ……それどころか、近年になって原発事故当時の甘~い想定よりもひどいことが起きていたことが続々と判明しています。そのことを象徴的に表すために、チェレンコフ放射(ヤバイ青光)を足しておきました。サービスですよ。
最後に、今回描いた3種類のパーツを並べてみましょう。
なんだかまるで「事故前」→「事故後」→「廃炉後」という過去・現在・未来を示しているようですね。
事故を起こした東京電力は、廃炉には最低40年を要するとしていました。しかし度重なるトラブルで順調に進んでいるとは言えない状況のうえ、「廃炉」がゴールというわけではありません。
果たしてぼくらは、廃炉後の「解毒された大地」を見ることができるのでしょうか。それとも――
そんなことを考えると、なんだか顔色が悪くなってきてしまいます。日本で毒を紫で表現するのは、"毒を飲んだ人の顔色"なのかもしれませんね。
(おしまい)
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