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西の茶トラを求めて

新居に引っ越して数ヶ月。猫ストーカー活動を続けているうちに気付いたのです、近隣にはなぜか茶トラ猫が多く暮らしていると。

すでに我が家の西側以外には茶トラ猫の存在を確認しており、未開の地である西方にはまだぼく自身が赴いていないだけ。実はすでに「茶トラ包囲網」は完成しており、やがて「四面"茶"歌」の状態に陥るかもしれない――

な~んてことを恐れてはいませんが、せっかくなので未開の地である我が家の西方へと旅立ってみました!

ちなみに、西方が「未開の地」というのはまんざら冗談でもありません。我が家を含む巨大団地群の前にはバス通りが走っているのですが、1970年代あたりまでは文字通り"先"がなく、雑木林以外にはなにもなかったということです。

大昔に設置されたと思われる、腐るほど古いバス停前のベンチ。
非常にけしからんことが書かれています。

実際、現在は延伸されているバス通りを西へ西へと進んでも、娯楽やショッピングを楽しめそうな施設がなく、こうして茶トラ探しでもしないかぎり用事を思いつくことはありません。高度成長期までに個人商店などが居つかなかった農村地帯なので、昭和の商店街の跡地すらなく、道は比較的新しいので逆に古臭くはない不思議な光景が続きます。

ところで中国伝来の「五行」の概念では、西方には"白虎"が位置します。

東久留米は竹の多い地域なので、竹やぶから茶虎ならぬ白虎が飛び出してきてもいいのよ? なんて妄想を膨らませてでもいないと耐えられない道程が続きます。

白虎のイメージ(やんのかVer.)

バス通り沿いは特につまらないし猫もいないでしょうから、畑と住宅地と小さい団地の間をかきわけるように進んでいきます。

すると、おもむろに鬱蒼とした林と、その奥へとへ続く道が現れました。

これは白虎チャンス! と期待して進んでいくと……

そこに現れたのは、農家らしき巨大なお屋敷でした。昔話の世界に迷い込んだのかと錯覚しそうです。

他人事ながら、郵便とか宅配とかが届くのか心配。あ、でもAmazonは届けてくれそうですね、"密林"は得意でしょうから!

(おしまい)

いや、オチてない。続きます。

どうやら民家へ続く隠し通路だったようなので脱出しなければなりません。せっかくだから別方向へと続く小道を進んでいくと……

むむむ
白虎発見!

いえどう見ても白黒猫ですが、貫禄十分なこの子の名前は今日から"白虎くん
"で決まりです。ハチワレそうでハチワレない感じもステキな西の王です。

白虎くん(ハチワレない)

さて、真西へ向かうと西陽が目に痛いので北西寄りに進路を変えますと、そこに現れたのは巨大団地。古い賃貸住宅のようです。

これ6月の日曜日なんですが、高齢化した団地は人通りが極端に少ない! ま、そのぶん猫たちは安心してうろつけますけどね。

探してみましょう!

許しがたい邪悪な看板

おっと、けしからん太陽十字の看板を見つけましたよ。犬と猫がナチズムに果敢に立ち向かっていますね。

だがしかし! これはフラグ!

飼い猫がいない地域は野良猫の縄張りになりやすいですからね。陽は傾き、猫たちのお散歩タイムになっていますから、もう少し粘りましょう。

誰ともすれ違わないのが不気味ですが気にせず、広い団地内を徘徊します。

すると……

日陰を行く、茶色の影を発見!

距離を保って尾行! 茶色確認!

人類が立てた卑しきフェンスに阻まれて振り返った姿は、なんとサビ猫ちゃんでした。体は茶と黒の縞々なので、「半サビ・半茶トラ」といったところでしょうか。惜しい!

去っていく半サビちゃん。
陽の光があたると、遠目には茶白猫のように見えるのが不思議です。

というわけで、西方を守る純正茶トラには出会えませんでしたが、およそ3時間の旅で猫2匹に出会えたので猫時給は0.66。まあまあの数字ですし、この日の探索はここまでとしましょう。

このあとは家路につき、近所のお団子屋さんでお団子を買って帰りました。家に帰って"お茶"をするまでが、茶トラ探しの旅ですからね。

(おしまい)

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