「白い衝動」

雪の中の冷めた光よ。
この体に幼い時分に刻まれた
冷たく刺すような光。

森を抜けた草むらから眺める。
指先の鈍い感覚が私に囁く。

さあ中へ。

白く見えてその実
透明な雪の原。
刺すような痛みをも超える誘い。
そんな時、
私は指の腹を強く揉み込む。
潰れてしまうほどに強く。

この体に確かに染み込んだ
雪の衝動。
腑を縮める冷気に
私の心は踊り出す。

息が白くなったなら。
私の血潮に迷いはない。

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