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【医師論文解説】全国ラーメンマップと脳卒中【OA】

背景

脳卒中と栄養の関連性が近年研究されていますが、日本における食事と脳卒中の関連性はまだ明確にされていません。私たちは、ラーメンの消費と脳卒中の死亡率との関連性があるのではないかと仮定しました。そこで、日本の各都道府県におけるラーメン店の普及率と脳卒中の死亡率との関連性を調査しました。

方法

ラーメン、ファストフード、フランス料理またはイタリア料理、うどんまたはそばの4種類の飲食店の普及率と各都道府県の年齢・性別調整脳卒中死亡率との関連性を評価するために、ピアソンの相関係数を使用しました。また、急性心筋梗塞と各飲食店の普及率との関連性も調査しました。年齢・性別調整脳卒中死亡率および急性心筋梗塞死亡率のデータは、日本の「2017年国民健康の動向」から取得し、各飲食店の普及率のデータは日本電信電話株式会社のデータベースから取得しました。

結果

ラーメン店の普及率は、他の飲食店の普及率とは異なり、男性と女性の両方で脳卒中死亡率と正の相関があることが分かりました(r > 0.5)。急性心筋梗塞の死亡率とラーメン店の普及率との間には関連性が見られませんでした。

論点

調査の結果、日本の各都道府県におけるラーメン店の普及率は、脳卒中の死亡率と有意な関連性があることが明らかになりました。特に、東北地方(日本海側)、北関東地方、南九州地方では脳卒中の死亡率が高く、これらの地域のラーメン店の普及率も高いことが確認されました。逆に、近畿地方や南関東地方では脳卒中の死亡率が低く、ラーメン店の普及率も低いことが分かりました。

地図作成

フリーソフト「白地図ぬりぬり」を使用して、日本の各都道府県における年齢・性別調整脳卒中死亡率とラーメン店の普及率を示す地図を作成しました。この地図により、ラーメン店の普及率と脳卒中の死亡率との関連性が視覚的に確認できました。

結論

ラーメンは日本で人気のある食べ物であり、高炭水化物・高塩分を含むため、脳卒中の死亡リスクを増加させる可能性があります。私たちの研究結果は、ラーメン店の普及率と脳卒中の死亡率との間に関連性があることを示しています。この関連性は、地域の食事の好みによるものと考えられ、特にラーメンの消費が多い地域での脳卒中死亡率が高いことが示されました。

研究の限界

この研究にはいくつかの限界があります。まず、ラーメンの摂取が直接脳卒中リスクを増加させるかどうかを評価していません。家庭で調理されるインスタントラーメンの消費は考慮されていません。次に、ラーメンの具体的な成分(例えば、醤油、豚骨、味噌、塩など)が脳卒中リスクにどのように影響するかは明確ではありません。さらに、ラーメン店ではラーメン以外にも餃子やご飯などのサイドメニューが提供されており、これらのメニューが栄養面での混乱要因となる可能性があります。

文献

Matsuzono, Kosuke et al. “Ramen restaurant prevalence is associated with stroke mortality in Japan: an ecological study.” Nutrition journal vol. 18,1 53. 4 Sep. 2019, doi:10.1186/s12937-019-0482-y

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所感

ラーメン店の多い地域で脳卒中リスクが高いという結果は、地域ごとの食文化と健康問題の関連性を示唆しています。公衆衛生対策の一環として、地域住民への食事教育が重要です。

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