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【医師論文解説】食物アレルギー治療の新たな光【Abst.済】

【背景】 近年、小児の食物アレルギーが増加している。特に卵と牛乳アレルギーは多く、これらの食品を安全に摂取できるようになることが患児にとって大切な課題となっている。しかし、効果的で安全な治療法の開発は難航しているのが現状である。

【方法】 国立成育医療研究センターアレルギーセンターの宮地裕美子氏らの研究グループが、新たな経口免疫療法の臨床研究を実施した。対象は卵または牛乳アレルギーの4-18歳の子ども217人。まず食物経口負荷試験でアレルギーの閾値を測定。次に閾値に基づき、A群は閾値の100万分の1量から開始し維持、B群は10万分の1量、C群は1万分の1量、D群は従来法に沿って閾値近い量、E群は完全除去、の5通りで経口免疫療法を行った。

【結果】 A-C群の微量開始維持法は、D群の従来法と比較して有害事象の発生が少なかった。ほとんどがかゆみなどの軽症で、アナフィラキシーショックは0人だった。一方でD群にはアナフィラキシーも見られた。B群はD群と比べて2回目の閾値上昇率が高かった。

【論点】 以上から、微量開始維持法は従来法よりも安全性が高く効果的と考えられる。ただし医療現場ではより慎重な対応が求められる。

【結論】 本研究は、食物アレルギー患児のQOL向上につながる新たな治療選択肢を提供したと言え、非常に意義深い成果である。今後の臨床応用が期待される。

まとめ

食物アレルギーの治療法が進化! 国立成育医療研究センター、微量からの免疫療法で効果高く安全性も。新手法で患児のQOL向上期待。

文献

Miyaji, Yumiko et al. “Effectiveness and safety of low-dose oral immunotherapy protocols in paediatric milk and egg allergy.” Clinical and experimental allergy : journal of the British Society for Allergy and Clinical Immunology vol. 53,12 (2023): 1307-1309. doi:10.1111/cea.14400

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