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お金を貸せば貧困を脱することができるのか?【ボランティアのジレンマ】

「チャンスがないから自分は貧しいんだ。初期投資してくれれば成功するのに」

何か成功のために初期投資が必要という考えは、昔から今も続いています。大きくてきれいなオフィスを作ったり、良い立地で店を開いたりと、お金があると自由度は上がります。確かに初期投資は必要そうです。

ではその考えを延長して、貧しい人にお金を貸してあげれば貧困を脱出できるのでしょうか?

今回は、そんな貧困国でお金を貸してあげるプログラムについてお話しましょう。

マイクロクレジット

マイクロクレジットとは、貧しすぎて信用がないから普通にはお金を借りられない人に対し、少額のお金を貸すことで貧困を脱出するきっかけにしてもらおうという取り組みです。

貧困国では、お金を借りるのはとても難しいです。いざ何かビジネスをしようとしても、担保になるようなものを持っていないので、大金を借りれないのです。それで負のループに陥っていたのを、マイクロクレジットがお金を貸すことで救ってあげるという、慈善的な活動なのです。

受け取ったお金でビジネスを始めて、貧困を抜け出すというサクセスストーリーが目に浮かびます。実際、そういったエピソードはごまんとあります。道具を買うことができれば、生産性も大幅に上がるからです。

思ったように使ってくれるとは限らない

しかし実際に質の高い調査をしてみると、イメージとは異なる結果が出てきます。マイクロクレジットでお金を借りた人の多くは食品や医療に使われてしまい、ローンを返せなくなることが多発しているということがわかっています。

生活が少しは良くなっているかもしれないが、お金を借りた人はこちらが意図した方法で使ってくれるとは限らないのです。マイクロクレジットは、教育や所得にほとんど影響がないという調査結果まで出ています。

つまり、直感で相手の行動を予想しても、相手がそう動くとは限らないわけです。それが他の国に住んでいて、所得も大幅に違う人であれば、相手の行動を正しく予想するのはとても難しいです。

私たちは狭い世界の中で、ある程度共通した価値観を持って生きています。それが、他国から見たらおかしなものであっても、意外と気づかないものです。こういった偏見から脱するためにも、調査によるデータを基にして考える癖をつけましょう。

あなたを偏見から脱してくれるのは、事実を知ることだけなのです。

参考 <効果的な利他主義>宣言! ウィリアム・マッカスキル

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