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老子道徳経と中医学的身体観⑲


副題 還淳

一旦は捨ててみること。力み、思考、利益。

中医学的身体観としては、心、身、息

心は思考、顕在意識。捨てよう、考えないようにしようと思っても中々うまくいかないもの。

身は力み。日常生活で習慣化した力みは本人には分かりにくいもの。

息は呼吸。意識していても意識していなくても生きている限り行っているのが呼吸。

外と内の間にあって開閉しているのが呼吸。

身体にできるだけ効率良く働いてもらう為には、先ずは意識と動きを大きく行う。大きく行った後は必ず小さくなる。

正しい道や誠実な考えを捨てろと言えば、人は活き活きする。(社会の制約や自分を律する事がなく、自由に試せるから)

人への配慮や守るべきもの(法律)などを一旦は捨てろと言えば、反対に人への思いやりややってはいけないことが経験として分かる。

巧さや利益という考えを捨てろと言えば、盗むものがなくなる。

この3つは人を縛っているものだが、社会が縛っているものの代表であるだけで、まだまだある。必ず自分が居る場所、職業などが囲い、自身の考えないところまで縛っている。

何も考えず、素朴にし、日々の様々な事に感謝すれば我欲が少なくなり、本当に必要なものが見えて来る。

直訳
聖を絶ち智を棄つれば、民利(みんり)百倍す。

仁を絶たち義を棄つれば、民孝慈(こうじ)に復す。

巧を絶ち利を棄すつれば、盗賊あることなし。

この三者は、もって文にして足らずとなす。故に属する所あらしむ。素を見(あらわ)し樸を抱き、私(わたくし)を少なくし欲を寡(すくな)くす。


原文
絶聖棄智、民利百倍。絶仁棄義、民復孝慈。絶巧棄利、盗賊無有。此三者、以爲文不足。故令有所屬。見素抱樸、少私寡欲。

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