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中国で人気のドラマ『三十而已』ヒットは必然だった。裏側には何が?


こんにちは、ほーちゃんです。
初めましての方もいるかもしれませんね!

普段は日本の美容化粧品ブランドの中国市場をゼロイチで開拓する仕事をしています。具体的なブランド名は記載できないのですが、クレンジングバームで有名な某ブランドにjoinしています。
また最近、中国茶ブランドを立ち上げまして、5月ごろ本格リリース予定です。(2021年3月現在、記事公開日から肩書きが変わりましたので編集しました!)

正直文章書くのはものすごく苦手で人生の中で一番避けてきたのですが…(笑)中国のことをもっと偏見なく知ってもらえたらと初めて記事を書いてみました。読んでもらえるととっても嬉しいです…!!


それでは記念すべき第1回目は、2020年7月17日から公開しているドラマ『三十而已』の紹介したいと思います。

超絶ホットなドラマ『三十而已』とは?

『三十而已(まだ30歳)』は放送開始から18日で再生回数が40億回を超えるほど人気となり、高評価を得ている超絶ホットなドラマです!

30歳を目前にしている3人の女性のキャリア・恋愛・結婚・育児を描く物語で、この3人は「社会復帰をし始める専業主婦」と「結婚せずにキャリアを磨く女性」と「既婚でまだ子供のいない平凡な女性」というバラバラのライフスタイルを送っているので、今の時代を生きる女性の様々な側面をわかりやすく見ることができますね。

経験することは別々であっても、アラサーの女性というくくりでみると悩みの源は共通していました。

今の自分の立場や簡単に切り離すことのできない環境・条件に悩み、どのようにして立ちはだかる問題や逆境を乗り越えていくかが描かれています。3人の主人公の生活描写も非常に現実味があって共感できる点が多く、視聴者から高い人気を集めています。

わかっているけど現実を直視したくない…理想の自分と現実の自分は…など、日本の30歳の女性と比べても実際は同じ状況にいる人は多いはずです。

先月43話にて完結しましたが、“ドラマの中で度々出てくるセリフが名言すぎる”とSNS上でも話題になり、さらに出演者をみても実力者女優ばかりで、美しい映えの画面で引き込まれると大好評です。

また、『三十而已』の制作会社である檸萌影業(以下、檸萌)は同時に、まもなく社会人になろうという女子大生4人の奮闘記を描く『二十不惑(20歳迷わず)』を放送して相乗効果を生み出しました。
2つのドラマで世代間の比較ができることや、世の中の幅広い女性層にアプローチできるなど中国市場に大きな反響を与えました。檸萌が過去に制作・放送した『好先生』『小别离』『小欢喜』もヒット作品となりました。


バズりドラマを生み出した戦略

ではなぜここまでバズるほどのドラマを生み出せたのでしょうか。
作品の内容のみならず、『三十而已』を含め数々のヒット作品の制作に関わってきた、檸萌CEO兼チーフプロデューサー陳飛のインタビュー記事を読み解きながら、ポイントを抽出して簡単にまとめまていきます!

1. 人間のリアルを精密に描けるか

主人公である女性3人が直面する問題やジレンマは、実際に女性が生活の中で遭遇するのと同じような経験です。出来事は物語としてドラマ化されていますが、主人公の持つ感情は過剰な誇張や堅苦しさを感じさせずに、リアルな形で視聴者に届けられています


2. 作品ならではの価値の表現ができているか

物事における真実の裏には入り組んだ様々な感情や社会的価値観が存在していることが多いです。今回のターゲットである20~40代の女性は、30代が仕事や家庭での大きな分岐点・レース場となるのが現代では一般的です。

「現代にあるリアルな苦悩と価値観をぶつけることで、よりリアリティが高まる。それが『三十而已』では年齢というテーマを紐解いて女性の新たな欲望を見出し、新しい女性の自意識や自己実現への精神的願望を表現することである」つまり、「真実の裏を暴く」ということですね。

これは他のヒット作品である『好先生』『小别离』『小欢喜』にも共通している、檸萌ができる唯一無二の価値表現です。


3. ヒット作品を生み出し続けることは偶然ではない

良いストーリーとキャラクターで、現代的な価値観をリアルに表現しているのは、檸萌のヒット作品で共通する特徴です。

CEO兼チーフプロデューサーの陳飛氏は「ヒット作品を生み出し続けることは偶然ではなく計算づくし、成功=戦略×組織能力」と話します。近年TVからモバイルインターネットのチャネル移行などドラマ業界でも変化が起こる中で、生き残るにはリソースではなくまずは戦略が最重要だと判断したとのことです。

檸萌の戦略立案において、業界TOPの責任者層と一般消費者の若い層の2つを重点にターゲットの焦点を絞り込んだと言います。

従来のTVドラマの視聴者は25~55歳が中心でしたが、檸萌が業界に参入するタイミングで中国国内ではスマホやipadが主流となり、その影響により特に若年層が動画サイトや動画コンテンツを利用しはじめ、大々的なチャネル移行が起きました。

そこで、短い動画などがウケる現代の市場にどのようなドラマコンテンツが必要とされるのか社内で検討を重ね、戦略方向性の軸として掲げたのが「高額投資・高品質・高視聴率」です。

従来のTVドラマの視聴者だけでなく、動画サイトを利用する若い層の新しい大衆に対してニーズを満たすことができるため、TV業界とネット業界両方の需要を取り込むことに成功しました。檸萌はこれを「スーパードラマコンテンツ」と名付け、創業から3年経った今、ドラマコンテンツの価格は10倍にまで上昇しているのです。


4. 帰するところは人と知恵の結集

戦略が明確化したら意志が強くそれを実行できる人の力が必要です。そうでなければどんなに素晴らしい戦略でも単なる空想に過ぎません。

映画やテレビ業界の競争力の核となるのは人材や人脈を含めた「人」であり、その効果を最大限に発揮するためには、強い組織力が必要であると言えます。陳飛氏も「組織能力とは、制作パートナーシップ+優秀なチーム+外部の人材だ」と話しています。

特に制作パートナーシップの点においては他の映画・テレビ会社と決定的な違いで、檸萌の成功に大きく貢献している要素です。
全てのパートナーが一貫したビジョンや信念を持ち続けること、各々には現場で熟練したプロが2人以上いるという多様性があること、協力し合いながら互いに依存することなく独立した思考と行動ができるという独立性があることこの3つを兼ね備えていることが重要です。

実は、業界ではいくつかの会社に跨り作品を制作することは非効率になりがちとされ、制作パートナーが4つもあるのは非常に珍しいのです。
常に安定したパフォーマンスを発揮できるように新メンバーや若手メンバーに加え、経験豊かなメンバーを必ず混ぜるなど様々な工夫をしながら仕事を進めているようです。


さいごに

ヒットの裏側にはもっと多くのストーリーがあったとは思いますが、重要な部分を簡単にまとめてみました。檸萌が制作するにあたっての戦略の立て方や、仕事の進め方に関しても何かとヒントになりそうだなと私自身感じました。

今後も中国のトレンドをキャッチしつつ、リアルタイムな市場の変化やユーザー動向交えた考察を書き留めたらと考えているので、欲しい情報やリクエストなど感想もバンバンお待ちしています!

Twitterで中国ビジネスやトレンドを発信しているのでよかったら見てみていただけると嬉しいです。頑張って毎日投稿しています!
ほーちゃんのTwitter ▶︎ https://twitter.com/houchaaaaan


おまけ

今回noteデビューを無事に果たせたのは、仲良くさせてもらっているうすい氏による神添削のおかげでした。うすい氏はフリーランスライターとして美容業界関連の記事を執筆していたり、WWDで記者兼編集を任せられたりと超尊敬する大好きな方です。

そんなうすい氏が最近はじめたメルマガをどうしてもご紹介したく。なんとこれ無料なのですが、本当に無料でいいのこれ!?な有益すぎる情報&考察がぎっしり入ったメルマガが週に2回届きます。内容は中国と、日本&グローバルで分けられてます。速攻登録をお勧めします。

そして中国展開を考えている企業やブランドさん、中国のお仕事に興味のある方、中国留学や中国語を勉強している学生さん…なにかご相談があればメールでもTwitterのDMでもご連絡ください!いつでも親身に相談乗りますのでお気軽にどうぞ!
ほーちゃんのメールアドレス ▶︎ houei-cherry@sky.email.ne.jp

それでは、長くなりましたが、これからまたマイペースに書き溜めて行きます〜!!

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