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愛校心の強化から創造へ。近畿大学の同窓会コミュニティ支援から考える、これからのホームカミングデイの役割

大学の秋の風物詩といえば、やっぱり学園祭?いえいえ、それもありますが、もう一つあります。そうホームカミングデイです。卒業生たちが大学に訪れるこのイベント、なんで秋に多いんでしょうね。やっぱり気候がいいからでしょうか。今回、近畿大学のホームカミングデイを伝えるプレスリリースを見つけて、ここまでやるのかと驚いてしまいました。卒業生とのつながりづくりは、大学にとってやはり重要トピックなようです。

まるで学園祭のような、近大のホームカミングデイ

まずはどんな取り組みなのか、イベントプログラムを見てみましょう。各種同窓会の開催、近大と食べログがコラボして開催するフードフェス、近大マグロの解体ショー、子連れを意識したキッズスペースやふれあいミニ動物園、さらにはものづくり体験や物産展などなど、ひとことでは表現できないお祭り的なにぎやかさを感じます。大学によっては式典のようなプログラムのところもあるのですが、近大らしいというか、卒業生のための学園祭のような内容です。

とはいえ、このホームカミングデイで衝撃的だったのは、これらプログラムの内容ではないんですね。「同窓会企画」という、ホームカミングデイのウェブサイトで同窓会の開催を呼びかけるコーナーがあるのですが、ここの内容に思わず唸ってしまいました。

「同窓会企画」は、ホームカミングデイ特設サイトのトップに大きく掲載されている

“好き”を軸に、新たな同窓会コミュニティをつくりだす

「同窓会企画」では、大きくわけて3種類の同窓会を呼びかけています。1つ目に「学部同窓会」、2つ目に卒業後10年、20年、30年といった節目に大学に戻ろうと呼びかける「周年同窓会」、そして3つ目に「新規コミュニティ同窓会」です。……新規コミュニティ同窓会?と思った人はいるのではないでしょうか。私は思いました。これはゼミや研究室、サークルなど、何かしらの軸を立てて行う同窓会で、その軸の立て方が、かなり自由なんです。特設サイトをのぞくと「サウナ好き同窓会」や「ラーメン好き同窓会」「レコードについて語り合う同窓会」などなど。趣味のコミュニティのような同窓会も見て取れます。ちなみに「周年同窓会」と「新規コミュニティ同窓会」は、サイトから申し込めば卒業生であれば基本誰でも幹事になれるようです。

同窓会というと、学部やクラブ・サークル、さらには業界、居住エリアなど、限られた軸しかないと思っていたのですが、”好き”も軸に入れて良くなると無限にコミュニティをつくれるようになります。通り一遍の軸では興味を持てなかった人でも、自分の”好き”とマッチするコミュニティであれば、同窓会関係なく興味を持つ人というのはいるでしょう。そういう意味では「新規コミュニティ同窓会」は、これまでホームカミングデイに接点がなかった人を呼び込むきっかけになり得るように思えました。

愛校心強化から創造へ、変わりゆくホームカミングデイの役割

ここまででも、へーっと思うのですが、まだ続きます。ホームカミングデイサイトで幹事になった場合、教室貸出や軽食提供、コミュニティ用SNS提供など、さまざまな支援を大学から受け取ることができます。さらに、というか、ここが一番驚いたのですが、幹事といいながら幹事業務はすべて同窓会専門業者(!?)が代行してくれるとのこと。ここまで、へー、ほー、と思いながら見ていたのですが、同窓会専門業者が出てきて、え、どういうこと…ってなりました。そういうの、あるようなんです。

同窓会を立ち上げると、担当者がついてホームカミングデイ当日までサポートしてくれる!!
近畿大学ホームカミングデイ特設サイトより)

企業が出てくるということは、大学側が卒業生コミュニティをつくることに一定のコストを払っていて、なおかつそういった大学が近大だけでなくビジネスになるぐらいあることを意味します。実際、今回、近大が委託している笑屋株式会社が運営するAlumni Labsというサイトを見ると、有名どころの国立大、私立大の名前が実績として並んでいました。

Alumni Labsに掲載されていた実績大学。
卒業生ネットワーク活性化をテーマに幅広い支援に取り組んでいるようだ

これまでホームカミングデイというと、愛校心のある卒業生が集い、愛校心を大学や仲間と温め合う場という印象をもっていました。しかし、今回の近大の取り組みを見ていると、より能動的にコミュニティをつくり、多くの卒業生を巻き込んでいこうという意志があります。ホームカミングデイの役割が愛校心のブーストからクリエイトへ、そんな潮流の変化を感じたのですが、これはスタンダードになっていくのでしょうか。意識して見ていきたいと思います。

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