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奨学金もまた広告費?部署ではなく目的にあわせて話し合える体制をどうつくるか。

新卒採用のポータルサイトというと、今年はリクナビが不祥事を起こし、どこか胡散臭いイメージを持った人もいるかもしれません。今回、見つけた記事にある採用ポータルサイト「Crono Job(クロノジョブ)」は、そんなイメージを払拭するのにひと役買いそうな、学生に喜ばれそうな採用サイトです。でも、こういうサイトを見ていると、企業であれ、大学であれ、どこにどうお金を使うのかは、なかなか難しい判断がいるなと、あらためて思いました。

「Crono Job」ですが、このサイトの面白いのは、「奨学金の返済負担を軽減する求人のみ」を集めて紹介しているところです。JASSO(日本学生支援機構)の「平成28年度学生生活調査」によると、大学(昼間部)に通う学生の48.9%が奨学金を利用しているとあります。これだけの学生が利用していて、なおかつかなりの売り手市場だからこそ、「Crono Job」は成り立つわけです。なんだかこのサイト、今の時代にとてもマッチしています。

このサイトを見て思ったのが、企業による奨学金の肩代わりや大学の奨学金というのは、良い人材を獲得するうえで、とても賢いやり方ではないか、ということです。というのも、新卒採用も、受験生獲得も、莫大な広告費をかけて行います。当たり前といえば、当たり前ですが、就活生や受験生からすると、その費用は会社や大学が自分たちのために払っているもの。いくら費用をかけようとも、そこにありがたみを感じることは、まずありません。

しかし、企業による奨学金の肩代わりや大学の奨学金は、良き人材を獲得するための支出という意味では、広告費と変わらないのですが、就活生や受験生の受け取り方はまったく異なります。自分のためにお金を払ってくれる、ありがたい企業・大学になるわけです。なら、広告費を減らしてでも、就活生や受験生支援にお金を使ったほうがいいのか。一方、これら取り組みが充実していようとも、伝わらなければしょうがありません。そういう意味では、広告費を削って、そっちにまわすというのは本末転倒なのか。

企業については、私は詳しくはわからないのですが、大学の場合、入試広報は入試課ないし広報課が担当し、奨学金は学生課の管轄になります。良き人材を獲得するためにお金を使う、という目的・行動は同じなのに、どちらを優先すべきかを意見交換する機会はほぼありません。もっと上の立場の人であれば、その判断ができるかもしれません。でもその場合、現場感覚がないため、それはそれで判断するうえでの情報が不足しているような気がしないでもありません。

大学の部署間の縦割りが強く、他部署との交流が少ないというのは、課題としてよく耳にします。これまでは、それはまぁ大変ですよね、という感想だったのですが、ひとつ具体的なテーマを挙げて考えだすと、やはり重要だと強く思います。肌感覚でしかないのですが、どのようなテーマが部署横断で考えるべきなのか、そのあぶり出しからできていない大学がとても多いように感じます。これをしっかりやると、そもそもの部署編成が現状のものでいいのかなど、いろんな疑問と発見ができそうで、だいぶ興味深いです。

最後に急に話を変えるのですが、奨学金を肩代わりするのと、奨学金を払うのでは、支払先が企業になるか大学になるかの違いでしかないものの、個人的には前者の方がだいぶグッときます。たぶん前者には、借金がチャラになるというカタルシスがあるからなのかなと。何かここらへんの演出を上手くやると、広告効果が上がるように思うのですが、どうなんですかね。今のところ一人暮らしをはじめる新入生に、領収書を持ってきたらその場で全額奨学金としてお支払いする、とか、そういう成金趣味な演出しか思いつかないです…。

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