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「わが子の母校はわが母校!」。支援者を2倍、3倍に増やすかもしれない、関西大学の父母の捉え方・関わり方

前回、「京都橘大学父母の会」の取り組みを紹介し、その熱量の高さと、教職員でも卒業生でもない視点での支援の大事さ、みたいなことを書きました。父母会自体、そこそこニッチなテーマなので、しばらく取り上げることはないだろうと思っていたのですが、まさかの二回連続での父母会ネタです。関西大学の父母会関連の取り組みなのですが、こっちはこっちですっごいです。

日本最大の参加者数を誇る、関西大学の父母会

今回、プレスリリースで取り上げられているのは、関西大学が「父母の一日大学」として取り組んでいる、教育後援会総会&学部別教育懇談会についてです。リリースに書かれていたのですが、関西大学は父母会の参加者数が全国1位(朝日新聞出版発行『大学ランキング』調べ)とのこと。

昨年の本イベントに、およそ5,000人の父母が参加したようで、その規模感はかなりのものです。関大の学部生数が、27,722人(2023年5月1日現在)。仮に、大学院生の親がこない、父母二人ではこないとしたら、学部生5.4人に1人、お母さんないしお父さんが、このイベントに参加していることになります。一人ひとりの距離感の近い小規模大学ならまだしも、大規模総合大学でこれだけの父母が関わっているというのは、かなりすごいことのように感じます。

昨年度の関西大学教育後援会総会の様子(関西大学プレスリリースより)

自分の母校より恩義を感じるかもしれない、子どもの母校

関大のプレスリリースを見て、これはパワーワードだと感じたのが、「わが子の母校はわが母校!」というフレーズです。ものすごく極端なもの言いですが、この言葉を額面通りに実践できたら、いろいろな家庭環境があるとはいえ、自大学を母校と感じてくれる人が、現状の2倍、3倍に増えることを意味します。

で、あらためて「わが子の母校はわが母校!」…なのか?と、自分ごととして考えてみたのですが、そうかもな、と思いました。

自分については、自己責任というか、自分の頑張りや頑張らなかった結果が今だと思ってしまうのですが、子どもの場合、コントロールできない分、育ててくれた環境により恩義を感じる気がするんですね。もちろん「母校」という言葉には、成長の場という観点以外に、一生涯の仲間との出会いや甘酸っぱい記憶などなど、いろいろな要素が含まれていると思います。しかしそうはいっても、ここで子どもが成長したと実感できたのなら、「母校」とは少し違うかもしれないけど、「母校」と同じくらい(場合によってはそれ以上)、何かを返したいと思える場になりそうです。

でも、ですよ。自分の子どもが成長したときに、どれくらい大学が関わっているかって、あんまりわからないんですよね。子どもが大学生になったとき(うちは高校生と中学生ですが)、子どもとしっかり会話できているわからないですし、話していたとしても、子どもから「大学のこのプログラムが役立ってさ…」みたいなことを言うのかというと、言わんやろ……という気がします。子どもが卒業して働き出したあと、どこかのタイミングで、あの大学に進学させてよかったなあと、もしかしたら思うかもしれません。でも、そのときはすでに時遅しで、よっぽど能動的に動かないと、子どもの出身大学に恩返しすることなんてできません。

そう考えると、過剰に言う必要はなくても、学生たちの成長に大学がどう関わっているのか、また今後どう関わろうとしているのかを、父母に都度ちゃんと伝えておくというのは、とても大事な気がします。そういった場って、どの大学にもあるとは思うんです。ただ、どういった価値を置いていて、それをどれだけ学内関係者が理解しているかというと、大学によってけっこうな差がありそうだと感じました。

総会の看板の大きさ一つをとっても、関大にとってのこのイベントの重要さが感じ取れる
関西大学プレスリリースより)

学費をもらっているので、その分のアカウンタビリティを果たす、といった事務的なものではなく、大学のサポーターを2倍にも3倍にも増やすための活動だと捉えると、大学のなかでの位置付けは自ずと上がります。関大は、ここらへんの意識づけがちゃんとできているから、「わが子の母校はわが母校!」といったキャッチコピーが生まれたんだろうし、全国トップ規模の父母会を組織できているのだと感じました。前回noteで「外部からだと、京都橘大の父母会の熱量がなぜ高いのか、その理由はよくわかりません」と書きましたが、今回の関大の取り組み(というより意識の持ちよう)は、この熱量を上げるための一つのアンサーだと言えそうです。

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