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京都橘大学父母の会の企画から考える。教職員とも卒業生とも違う、父母の役割とポテンシャル。

新年度になると100円朝食や100円ランチといった、学生たちの食生活を支援する取り組みをよく目にします。今回、見つけた京都橘大学の取り組みも、そんな食生活支援に関わるものなのですが、ひと工夫あって目を引きました。さらにこの活動の生みの親である、同大学の父母会が個性強めで面白そうなんですね。日頃あまり意識していなかったのですが、学生たちの親もまた、大学の魅力をつくる大事なアクターなのかもしれません。

お世話になったあの人に、ありがとうを伝えるキャンペーン

では、どんな食生活支援なのかというと、総計1,250個のおにぎりセットを学生たちに無料配布するというもの。これだけだと、気前がいいなあとは思うものの、めずらしい取り組みかというと、そこまでではありません。特徴的なのはこれと一緒に行う、「京都橘大学生からのありがとうキャンペーン『#橘 thanks2024』」です。

このキャンペーンは、おにぎりセットの配布会場でポストカードを配るというもので、学生たちはそのカードに、ありがとうのメッセージを書いて、日頃お世話になっている人に送るようです。会場では写真撮影ができ、撮影した写真をシールにしてカードに貼ることも可能。さらに、その場で投函できる特設ポストも設置するのだとか。

京都橘大学生からのありがとうキャンペーン『#橘 thanks2024』のポストカード(京都橘大学プレスリリースより)

父母会出資の無料おにぎりがもらえる会場で行うので、それなりに無言の圧を感じてしまいそうではあります…。でも、父母にありがとうのポストカードが届くことで、父母は喜ぶだろうし、これを機に父母会の活動を知り、関わる人が増えるかもしれません。そしてその結果、学生支援活動がさらに拡充していくのであれば、学生、父母、大学、それぞれにとってメリットがある活動になるように思えました。

”熱量の高い父母会”は、大学にとって財産になる

この父母会、正式名は「京都橘大学父母の会」というようなのですが、面白いのは今回の企画だけではないんですね。むしろ、プレスリリースを見たときに、こっちの方が気になりました。何かというと、リリースの最後に「父母の会紹介動画」のリンクがついていたんです。

どうでしょう?ハンドメイド感のある動画ではあるものの、熱量がすごい。大学への愛もじんわり感じます。大学や学生のために積極的に動く同窓会組織というのは、時折、目にしていたのですが、父母会にも熱心に活動するところがあるんだと、これを見てはじめて知りました。

父母会への知識が少なく、「京都橘大学父母の会」が群を抜いて熱心なのかそうでないのかは、今のところよくわかりません。ただ、いくつかの大学を調べた範囲だと、父母会関連のページが充実している大学HPはなくはなかったんですが、それらは大学がお膳立てしているから、のような印象を受けました。父母が自発的に動いて企画を立ち上げているののが、外部からも見て取れるのは京都橘大学ぐらいでした。

よりよい学生支援を実現するうえで、父母の視点や役割というのは、教職員とも卒業生とも違うので、大きなプラスになるはずです。また、父母会が積極的に活動しているという事実は、”保護者にとっても満足できる大学”であることを伝える、重みのある根拠になります。志望校選びで保護者の意見が強まっているなか、こういった情報は、今後さらに価値が出そうです。

外部からだと、京都橘大の父母会の熱量がなぜ高いのか、その理由はよくわかりません。しかし、熱量の高い父母会がどのように大学や学生に関わっていくのかについては、ひとつのケーススタディとして見てとれるはずです。父母会という財産をどのように活かすのか、京都橘大の動向を少し意識して見ていこうと思います。

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