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想いを手放す

その日は、珍しい晴れの日だった。

私の暮らすところは、冬はずっと曇天が当たり前。
雪が降らなければ晴れ、なんて言ってしまう程。

だけど、その日は本当に晴れだった。

育児と家事でずっとバタバタしてて、
やっと時間ができたのが夕方。

もう遅いけど、せっかく1人時間を貰ったので
散歩に出かけてみよう。

晴れとはいえ、寒空の下を歩く。

・・・

そういえば、久しぶりに外に出た。

子育てが始まってから
ペースを掴むまでなかなか外に出れず。

それでも散歩に出かけるようにしていたけれど、
冬になってからは寒すぎるので、
子供を連れ出すのも気が引けて、家の中。

周りに誰もいないことをいいことに、
少しだけマスクをずらして、
冬の空気を思い切り吸い込む。

肺が冷えるけど、澄んだような心地。
ああ、冬ってこんなだったな。

・・・

雲一つない、
青と橙の溶け合った夕空。

なんだか夢心地になるような空気。

そんな中、1人で歩いていると、
心も素直になれる。

ああ、今日はなんだかイライラしてしまったな。
言葉の節々に棘があったな。

こんなことに悩んでたけど、
冷静になって、一つずつ整理してみようかな。

家にいるのもいいけど、
たまには子供を連れて何処かに行きたいな。

いろんな思いが浮かんでは、空に溶けていく。

想いや考えを手放した身体は、なんだか軽い。

・・・

帰りしなに、コンビニのコーヒーをすする。

心が空っぽになった身体に、沁みていく。

夫と子供の待つ家に帰ろう。

・・・

明日からも、母だし、妻だけど、
私自身も続いていく。

私を大切にする時間を、忘れないように。

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