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Episode 357 声に出すのが大事です。

私のパートナーは介護施設で働くケアマネジャーです。
急速に進む「超高齢化社会」の問題が待ったなしの実情だということは、介護が必要な人が身近にいる当事者でなくても、何となく想像できるところだと思いますが、ウチには「介護のプロ」がいるワケですよ。

ケアマネジャーの業務は、
1)要介護認定業務
2)ケアプランの作成・管理
3)給付管理業務
4)要介護者本人とその家族からの相談業務
…大体、こんなところです。
簡単に言えば、介護認定度で利用できる介護プランを作成・提示して、本人とその家族との調整を行う…という話です。

ところが…介護の現場はそんなにノンビリしてないのです。
介護が必要な方しか施設を利用しません…それは当然のはなし。
ただ、どんな介護が必要なのかはその人によって全く違うのです。
当然です…だって、半身にマヒのある方と、体は元気でも認知症がある方の介護の内容が同じになるワケがないじゃないですか!
さらに、外国人労働者を参入させるべく政府やお役所が動く介護業界の慢性的な人手不足です。
加えて圧倒的な低賃金。
パートナーが言うに「育児と介護は自宅で嫁が担ってきたことだからな」…です。
女の家での「家事」が「仕事」として分離独立したって、「女仕事」の基本給が付いてまわる。
保育士さんと介護職員が低賃金な理由は、そもそもの出だしの「労働対価の賃金設定」の基準がオカシイ。

低賃金の重労働で、職員が定着しないのは介護業界では日常的な話であって、ケアマネジャーであっても「現場の一戦力」に徹しなければならないタイミングがあるワケです。

その一方で、施設は社会福祉法人が経営することが多くて、建前上は非営利法人…だからといって採算無視ではいられないワケで、自治体との介護保険等のやり取りをした上で、赤字にならないように経営しないとならないワケです。
当然、何人でどのくらいの…という具体的な数字が経営の中には出てくるのです。
そこには利用者さんの介護度は基準にあっても、個性や具体的な特性の考慮はありません。

正直に言って、パートナーがケアマネ業に専念して的確な介護を実現するには、今の2倍以上のスタッフが必要でしょうね。

私はASDという発達障害を抱え、精神障害者保健福祉手帳を取得して生活しています。
発達障害者を取り巻く環境も、ここ最近ではメディアで取り上げられたりして大きく変わってきたとは思います。
ただ…「福祉を享受される立場の人間」としては、あまりにもマジョリティの理論だけで社会が動いていると感じざるを得ません
パートナーを取り巻く高齢者介護の問題も、単純に労働力を確保することで解決するとは思えない話です。

既成の考え方を排して根本的に考え直さないと…。
左利きを乗り越え、ASDを飲み込んで、マイノリティのイバラ道を歩いてこそ。

私はマイノリティに配慮した優しい社会を…なんて言ってません。
マイノリティのままで社会に普通に溶けこめることが希望です。
そこに遠慮とか気兼ねが発生しないこと。

私はそれを声に出す。
それが私にできる唯一のことだから。

旧ブログ アーカイブ 2019/9/6

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