見出し画像

Episode 424 同じバージョンを求めます。

ブログというWeb上の媒体が一般的になる前、自前のホームページを持つことが流行ったことがあります。
今でこそ光回線での自宅Wi-Fi環境が当たり前な時代ですが、その当時はADSLと呼ばれる通信規格が家庭に普及し始めたころの話です。
モデムを使ったダイアルアップから、漸く常時接続が主流になりつつあった2000年前後の話ですから、今からかれこれ20年も前の話です。

ホームページ・ビルダーに代表されるWebオーサリング・ツールが羨望の的であった私なのですが、買ってみて、使ってみて…どうしても自分の思った通りのデザインにならないことに嫌気がさして、HTMLタグの勉強をして、Win98のメモ帳を使ってHPを手作りするって「お遊び」をしていたんですよ。
もちろんこれが、ASD的な過集中であることは間違いありません

その「お遊び」で一番感じたのは、ブラウザ・ソフトによって微妙に表現が変わること。
当時の主流は「インターネット・エクスプローラー」と「ネットスケープ」。
その両方で確認してからネット上にアップする…なんてことを行っていたんですよね。

言葉というコミュニケーションツールは凄く大事なのですが…これね、私はすごくHTMLタグと同じ匂いを感じるのです。
何というかな、受け取ったブラウザ側が表現を決める…ってあたり、かな。
私が言った言葉が「私のイメージ通り」にあなたのアタマの中に再現されるか…と言ったら、これは間違いなく No なのです。
つまり、私が「インターネット・エクスプローラー」で、あなたが「ネットスケープ」みたいな感じ。
それを「言葉というHTMLタグ」で繋いでいるようなイメージ。
でもね、これが「インターネット・エクスプローラー」の同じバージョンで読み込んだら、全く同じに再現されてしまうわけなのですよ。

ブラウザを超えて「如何に同じように見せるか」は、非常に重要なことでして…逆に同じように見えないと困るワケですよ。
だから、なるべく違うブラウザで同じように再現できるような配列に神経を尖らせていたように思います。
私の意図した画面が、皆様のモニタ上で表現されますように。
でもそれは、現実の言葉ではありえない世界なのです。

私は言葉が苦手です。
私が意図した脳内イメージを、あなたにお見せすることが出来ません。
それは本来、出来るハズがないことなのです。
でも…ASDの私は、それを求めていたのだと思います

私の思いがあなたに伝わらない。
白黒思考の私が求めていた「伝えたい思い」とは、同じバージョンの同じブラウザでしか再現できない思いだったのかもしれません。

あなたの脳内を私が乗っ取るとは、こういうイメージなのかもしれない…と、私は思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2020/4/15

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?