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Episode 55 諸刃の刃でもあるのです。

「ダルマ落とし」って最近はやるんですかね。
私が小さかったころは、どこの家にも必ずあった気がします。
おもちゃ箱の中に詰め込まれて、ブロックと一緒になっていた気もしますが…。

ダルマ落としの必勝法は「安定して素早く水平に叩く」という点です。
斜めの力が加わるとダルマが崩れるから、地面と水平に木づちを入れることがポイント…だから地面に接している最下段を叩くのが一番簡単なわけです。
宴会芸とかである「テーブルクロス引き」とかも同じ原理ですよね。
テーブルに沿って水平に引き抜く…これが成功のポイント。

ルーティンワークはこれに似ているんだと思うんですよね。
守るべきポイントを押さえて行動すれば安心安定して目的を達成できるってワケです。

私はASD的な処世術としてルーティンがあることを、私の朝の生活を題材にしてお話ししました
幾つかのマルチタスクを折ませながら、作業の塊を叩き落としていく…まさにダルマ落とし的ですね。
ただ、これには大きなポイントがもう一つ隠されています。
それは「ひとりで作業している」ということです。

これからダルマ落としをするって想像してみてください。
水平な台に何段かの座布団が重ねられ、その上にダルマさんが座っている…その状態って、たぶん周りは静かで邪魔するものはないでしょう。
もしも、そこに誰かが現れたとして、準備されたダルマにイタズラを仕掛けたらどうなるか?
恐らく、ダルマ落としは出来ないか、しても失敗に終わるか…そんなところだと思います。

もしも私の朝のルーティン作業中に、いつもと違う「何か」が起きたらどうなるか?

例えば、今年はサッカーW杯の年で、明け方に試合中継があったりしたわけですよ。
サッカー大好きの子どもが、早起きしてリビングでサッカーを見ている…私は朝のブログ更新中…。
聴覚過敏のある私は、サッカー中継や子どもの気配が気になって、ブログ更新に集中できない…。
組み合わせが狂ってマルチタスクが出来なくなる、作業のペースが狂って終了時間が読めなくなる…時間厳守派の私にとって、終了時間が読めないって致命的な状況です

その後は…メルトダウンですね。
辛うじて目の前の作業をひとつひとつこなすのだけで精一杯…やがて撃沈。

社会のペースに合すために編み出したルーティンの脆さ…って言うんでしょうかね。
自分の苦手を克服する方法として編み出したルーティンが、逆に自分の首を絞めることになる皮肉な現象が起こりうるワケです。

自分自身を律するために必要なルーティンが、逆に自分自身を振り回す「諸刃の刃」になりうる…。
ASDの人がルーティン中にイライラしているとしたら、きっとこれじゃないかと、少なくても私はそうだと理解しています。

ひとりでダルマ落としに向かっている…そう想像してください。
結果的にひとりの世界で作り上げたモノ、それ故に他者との係わりに弱いのがASDのルーティンだと思うのです。

旧ブログ アーカイブ 2018/11/8

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