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【詩】駅をひとつ乗り過ごしたら

駅をひとつ乗り過ごしたら
変わり映えのしない日常に
少しの余白があるのに気づいた
たった一駅なのに
見慣れない街と耳慣れない足音
いつも外を向いているつま先は
今日は少し縮こまって
それでも前に進んでいく

本来ならわたしのいない
どこか他所で起こり得た物語の中に
迷い込んでしまったような
画風の違う絵の中に
墨で書き足されたような
おぼつかない心持ちだが
どこか心地いい

いそいそと夕飯の支度をする
いつものわたしを背中に覗き
まな板をトントンと叩く
小気味よい刃音が
カビの生えた日常を細切れにする
今日は珍しい食材でも買って
さて、何を作ろうか?

縮こまっていたつま先は
少しずつ外を向いて
歩調が早くなる
人より少しだけ長いまつ毛が
見慣れぬネオンに揺れ
まだ見ぬ明日を示している















大事なお金は自分のために使ってあげてください。私はいりません。